推理小説読書日記(2024/08)
2024年08月05日
殺意の輪郭 猟奇殺人ファイル<麻見和史>
2024年の作品で、帯に「新シリーズ始動」とある。所轄刑事・尾崎隆文と広瀬佳純の同い年コンビが主人公だ。距離がある相棒の二人は、連続事件 を捜査する過程で次第に仲間意識が強くなって行く。連続殺人の動機と繋がりは何か、ミッシングリンク要素もある。
2024年08月05日
プラスマイナスゼロ<若竹七海>
2010年の作品で、2019年に「あとがきにかえて」の最終章を加えて新装版として出た。架空の町・葉崎の高校のコンビ3人が主人公の青春ユーモア ミステリだ。運の悪いお嬢さまと強気の不良娘に、何事も平均のわたしが奇妙なコンビを作るが、次々事件に遭遇する。
2024年08月05日
たまごの旅人<近藤史恵>
2021年の連作長編で、2024年に文庫化された。派遣の海外旅行添乗員の新人・堀田遥が主人公のお仕事小説だ。アイスランド、クロアチアとスロベニア 、パリ、北京でのトラブルや奮闘を描く。だが最終章では、コロナ感染問題で仕事がなくなり、沖縄でコールセンターの仕事を始めた。
2024年08月05日
宴の前<堂場瞬一>
2018年の作品で、2021年に文庫化された。引退を表明した知事の安川、だが後継者指名前に予定だった副知事が急死する。元五輪メダリスト女性が突然に 無所属で出馬宣言する。安川は後継者を探すが、その男に女性問題が見つかる・・・・・・。そして先の見えない選挙に突入する。
2024年08月05日
黒牢城<米澤穂信>
2021年の作品で、2024年に文庫化された。主人公は荒木村重で有岡城の籠城してからの城内の事件を描く時代ミステリだ。村重は説得に来た黒田官兵衛を 牢に閉じ込めるが、事件の解決のために相談する。周囲を包囲された不安の中での籠城と、相互不信と裏切りとの中で、力を見せる為に謎を解く必要がある 。
2024年08月05日
十津川警部 絹の遺産と上信電鉄<西村京太郎>
2018年の作品で、電子書籍で読んだ。民鉄を舞台にした作品の1冊だ。十津川警部は富岡製糸場で部下の西本刑事の死体が見つかり、意外な場所と西本 が会おうとしていた女性の捜査を始める。それは、場所的にも歴史的にも大きく拡大して行く。
2024年08月11日
ペーターヘンの月世界旅行<田村明一>
1926年の長編ジュブナイルで、2024年に復刊された。解説によれば1915年のドイツの原作「ピーターヒェンの月の旅」で、子供たちに天体や自然等への 化学的な興味を持たせる内容となっている。幼い姉妹とコガネムシが月に旅行する内容だ。
2024年08月11日
甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ<知念実希人>
2017年の長編で、医師・天久鷹央と、ワトソン役・小鳥遊優が主人公の医療ミステリのシリーズだ。題名どうりに、4年前の死者がよみがえり、 それが連続女性絞殺事件を起こしているという状況が発生した。鷹央らは密かに警察から相談を受けてその謎に関わる事になった。
2024年08月11日
放課後に死者は戻る<秋吉理香子>
2014年の作品で、2017年に文庫化された。身体と魂が入れ替わるという、架空設定での青春ミステリだ。襲われて身体が入れ替わってしまった主人公 がその姿で犯人探しを始めた。外見の差は周囲から全く異なる接触の仕方を受ける。主人公自身も異なる目で対応しがちだ。
2024年08月11日
入舟長屋のおみわ 夢の花<山本巧次>
2021年の作品で、長屋の大家の娘・おみわ(美羽)が主人公の2作目だ。話は独立だが、登場人物は前作を継承して追加されて展開する。失恋した おみわは新たに気になる男に出会う。さらに人を殺したと思い家に閉じこもった男についての相談を受けて、おみわらは真相を調べ始める。
2024年08月11日
にわか名探偵 ワトソン力<大山誠一郎>
2024年の連作集で、近くにいる人らに推理能力を与えるというワトソン力の持ち主・和戸宋志が主人公のミステリシリーズの2作目だ。本人は名探偵では ないが所属する捜査課の部署は事件を次々解決する。和戸があちこちで事件と遭遇すると、一緒にいる人物らがそれぞれに推理を語るという、多重推理 ミステリだ。
2024年08月11日
帝都一の下宿屋<三木笙子>
2018年の連作集で短編4作からなる、電子書籍で読んだ。文明開化の頃の明治の東京が舞台である下宿屋の大家・梨木桃介と小説家の下宿人・仙道湧水 とがその周辺で起きた事件を解決する。明治時代の東京の状況が詳しく描かれて行く。
2024年08月17日
乃井探偵社は今日も倫理観ゼロ<安萬純一>
2024年の連作長編だ。所長の乃井冬子と真下初音と滝上ゆかりの女性3人の探偵社が扱う事件と、所員の個々の問題を描く。特に初音と乃井の間には 過去の秘密があるようだ。題名のとうりに探偵社はアンチヒーローの立場を取り、警察を出し抜く事を目指す。
2024年08月17日
機長、事件です!<秋吉理香子>
2017年の連作集で、4話からなる。主人公の新任の副操縦士・間宮治郎が第一機長・氷室翼と第二機長やチーフパーサーやのメンバーと東京-パり 路線に乗る。行きの機内での事件、パリでの2つの事件、帰りの機内での事件に遭遇する。機長の推理と活躍を中心に描く。
2024年08月17日
秋麗<今野便>
2022年の作品で、2024年に文庫化された。安積警部補と東京湾臨海署安積班のシリーズの1作だ。海で死体が発見されて、捜査本部が出来て、その 中で安積班は本庁等の他のメンバーと合同捜査を行う。さらには新聞記者のセクハラ問題も相談されて老記者とも関わる。
2024年08月17日
錬金術師の密室<紺野天龍>
2020年の作品だ。少数の錬金術師が存在して、その存在が国家の重要事項となっている架空の世界を背景としている。錬金術の存在や、その能力は 機密事項だったり、それを抱える国王の存在にも関わる。その中での密室での最高の錬金術師の死の真相を追う。
2024年08月17日
崇徳伝説殺人事件<内田康夫>
1997年の作品で、電子書籍で読んだ。題名の崇徳上皇御陵も舞台の一つであり、俳句の会での吟行でもあるが、中心は特別養護施設であり、そこを 含めた老人医療問題だ。そこには安楽死問題がある。
2024年08月17日
悪の起源<エラリイ・クイーン>
1951年の長編で、直ぐに日本で翻訳出版された、電子書籍で読んだ。エラりイはハリウッド警察の警部補と遅れがちに連続事件を追う。展開は 異色作を思わせて、題名の由来やテーマに気づきにくい。終わり方もクイーン作でたまに見かけるが、しっくり行かない面も持つ。
2024年08月23日
夏休みの空欄探し<似鳥鶏>
2022年の作品で、2024年に文庫化された。主人公の高校生のライはクイズ・暗号・謎解き好きだが、効率重視の人気者・キヨから役に立たないと 言われていた。その二人が、夏休みに、謎解きに悩む姉妹に出会い、次々現れる謎時にチャレンジする事になる。
2024年08月23日
羅針盤の殺意<知念実希人>
2024年の連作長編で、副題は「天久鷹央の推理事件カルテ」だ。医師・天久鷹央とその部下の医師・小鳥遊優が3つの事件・謎を解決する。 鷹央は学生時代の恩師・御子神氷魚の影響で診断医になったが、氷魚は治らぬ病気になり、さらには死亡してしまう。
2024年08月23日
海底宝窟 完全版<押川春浪>
1913年の作品で、今回は1925年の幻の原稿を加えた完全版と言う。その間の事情は北原尚彦氏の解説によるが、成立過程には謎があるようだ。 主人公の高濱は、三崎ら3人の旧友と再会して、偶然得た情報から南海の怪島の探検を開始した。
2024年08月23日
密室偏愛時代の殺人 閉ざされた村と八つのトリック<鴨崎暖炉>
2024年の長編だ。「密室の不解証明はアリバイと同等」の判決がある設定化の密室事件シリーズの3作目だ。1冊ごとにトリック数が1つ増える のが注目だ。こころなしかページ数も増えている。個々のストーリーは語れない怒涛の連続密室事件だ。
2024年08月23日
誰の死体?<セイヤーズ>
1923年の作品で、1993年に翻訳出版された。浴室で見つかった男の死体は手掛かりが少なくて、誰の死体かも不明だった。その謎を貴族探偵・ ピーター卿が捜査する。ピーター卿の最初の事件であり、失踪者が居たが別人と言われた。
2024年08月23日
能登半島殺人事件<西村京太郎>
2000年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川警部の妻・直子が誘拐されて、拘留中の容疑者の釈放を要求された。十津川は極秘に捜査するが進展せず、 釈放された容疑者が行方不明となる。犯人はさらに大金を狙うようだった。
2024年08月29日
新しい世界で 座間味くんの推理<石持浅海>
2021年の作品集で、2024年に文庫化された。20年前にハイジャック事件を解決した通称「座間味くん」の連作集の5作目だ。本作ではその事件の人質 だった幼児・玉城聖子が大学生になり語り手となり、座間味くんが大迫警視長らと食事しながら安楽椅子推理を展開する。
2024年08月29日
日本扇の謎<有栖川有栖>
2023ー2024年の作品で、雑誌・メフィストに連載された。火村と有栖のコンビが主人公の国名シリーズの11作目だ。6年半前に失踪した男が記憶を 無くして見つかり家に戻った。その家で女性の死体が見つかり、戻った男が消えた。火村と有栖は捜査協力で現場で聞き込みを始めて、犯行が可能な 人物に辿りつく。
2024年08月29日
放課後ミステリクラブ4 密室のウサギ小屋事件<知念実希人>
2024年の作品で、小学生のミステリクラブ部員らが学校等で起きた事件を解決するシリーズの4作目だ。密室状態のウサギ小屋からウサギが消える 事件を部員らが調べる。中編の長さのジュブナイルで読者への挑戦もある。
2024年08月29日
奇岩館の殺人<高野結人>
2024年の作品だ。孤島の館・奇岩館で行われれる推理ゲーム・イベントを舞台に奇妙な殺人事件が描かれる。「探偵」に謎を溶かせるイベントで 、イベントスタッフと雇われ参加者らが交錯する。参加者の一人の目で殺されないために「探偵」を探すのが中心で進む。
2024年08月29日
明智恭介の奔走<今村昌弘>
2024年の連作集だ。「屍人荘の殺人」の前日談で、その事件で死んだ明智恭介が主人公で、部員・葉村とが大学ミステリクラブ員だ。自ら事件を 探して解決しようとするが、それはトラブルを自分で作るという意味だ。前日談だが、小説スタイルは同じでは無い。
2024年08月29日
高千穂伝説殺人事件<内田康夫>
1986年の作品で、電子書籍で読んだ。宮崎県の延岡の西の高千穂と、鹿児島との境の霧島の高千穂との2つの高千穂、そこでの研究者の死。浅見光彦 はその死者を調べに行ったままで失踪した人物の調査を依頼される。戦争中の出来事が絡むのか?。
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2024/08に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。