推理小説読書日記(2024/07)
2024年07月06日
遺書配達人<森村誠一>
2010年の作品集で、2024年に文庫化された。短編9作からなり、全てに棟居刑事が登場する。森村作品に登場する他のキャラクターもいくつかに登場 する。牛尾刑事、作家・北村直樹、調査員・岡野らであり、桐子の名も思い出的に登場する。
2024年07月06日
芦辺倶楽部 創刊号<>
2024年の芦辺拓編集の雑誌形態の同人誌だ。中心となるのが、村瀬継弥の「藤田先生と二つの密室」であり、村おこしイベントの企画で村の過去から の謎を、藤田先生が解き明かす中編が2作収録される。藤田先生は謎の出題者ではなく、解答者となる。
2024年07月06日
沈黙の終わり(上)(下)<堂場瞬一>
2021年の長編で、2024年に上下巻の2分冊で文庫化された。千葉と埼玉の県をまたぐ、長年の未解決の誘拐殺人事件が警察で捜査されていない可能性が あった。新聞記者2人を中心に調べるが、社内でも抑える圧力もあった。事件にもならず隠されたのか、県をまたぐと見落とされるのか。
2024年07月06日
探検!髑髏城<篠田真由美>
2024年のムックだ。ディクスン・カーの「髑髏城」が好きな二人がその思いを語り合うと、そこから小冊子の本が誕生した、文、漫画、イラストを 駆使して、愛好家が思いを語りつくす。
2024年06月06日
罪人よやすらかに眠れ<石持浅海>
2015年の作品集で、2018年に文庫化された。札幌市の中島公園の近くにある館に複数の人たちが住んでいるが、どれも謎多き人たちだ。そこに 紛れこんだ人は住人によって、罪や真実を暴かれて行く。逆に謎や秘密を持つ人が、その館に誘いこまれるのだろうか。
2024年07月06日
白虹<大倉崇裕>
2021年の作品で、電子書籍で読んだ。山岳ミステリの部分が大きく、元刑事で山小屋で仕事して生活している五木が巻き込まれ的に謎を追う。 進展とともに五木の周辺にいる人物らも謎に関わっているらしいと判ってくる。
2024年07月06日
悪魔が見ていた<鷲尾三郎>
1960年の作品集で、長編「悪魔が見ていた」と短編「宿命」からなる、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。「悪魔が見ていた」は消防士 ・菅谷が主人公で、連続した事件に巻き込まれて行くサスペンスだ。
2024年07月12日
ウナギの罠<エクストレム>
1967年の長編で、2024年に翻訳された。スウェーデンのカーと紹介されているが、日本への紹介は2作目だ。密室状態の不可能犯罪を描く本格 ミステリーだ。翻訳者はスウェーデン語等の専門らしい。15作の著作リストが掲載されているので、継続した翻訳して欲しい。
2024年07月12日
スフィアの死天使 天久鷹央の事件カルテ<知念実希人>
2015年の長編だ。医師・天久鷹央と、ワトソン役・小鳥遊優のシリーズで、連作長編よりもボリュームアップされている。宇宙人の被害を訴える 患者がいて、さらに病院内の殺人が起きる。宇宙人を信仰するという宗教団体があり、鷹央と小鳥遊が潜入捜査を開始すると、事件は拡大してゆく。
2024年07月12日
六色の蛹<櫻田智也>
2024年の連作集で、「えり沢泉」が主人公のシリーズの3冊目だ。昆虫好きで神出鬼没的な主人公があちこちで事件と謎とに出会う。短編6作が 収録されるが、一部で登場人物が重なり、そこでは時間も経過しているので、目次の順に読むのが良い。短編ならではの面白さのある作品集だ。
2024年07月12日
江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ<山本巧次>
2020年の作品で、オーソドックスな捕物帳のスタイルを取る長編だ。主人公のおみわ(美羽)は長屋の大家の娘だが父の代わりに長屋の管理の 仕事をしている。その中での周囲のもめごとや事件を調べる。
2024年07月12日
夢魔<戸川昌子>
1969年の作品で、国会図書館デジタル・コレクションで読んだ。雑誌ライター・渋谷が記事の取材で浮気・女あさりする男らを追い、そこで出会う 女らを追う。その中で「夢魔」の存在が判り、そして催眠による犯罪が疑われて行く。
2024年07月12日
ボーダーライト<今野敏>
2021年の作品で、電子書籍で読んだ。神奈川県警少年課の高尾らはみなとみらい署の諸橋らの情報と協力で、非行少年の事件に絡む。そこで教師や 生徒の賀茂に出会う。賀茂は人格に役小角の降臨して来たオズヌだと言う。彼らは否定的な世間等から、生徒らを助ける為に動いて行く。
2024年07月18日
幽女の如き怨むもの<三津田信三>
2012年の作品で、2015年に文庫化された。遊郭を舞台にして遊女が絡む怪異と謎の事件が起きる。戦前、戦中、戦後の3時代に初代緋桜、2代目 緋桜、3代目緋桜がそれぞれに登場する。その後に刀城言耶がまとめて全ての事件の謎を解き明かす。
2024年07月18日
暗黒女子<秋吉理香子>
2013年の作品で、2016年に文庫化された。女子高校での文芸サークルの生徒の死、サークルのメンバーが求められて死者の生前をテーマに小説を 書いて、その中で事件の真相や犯人を指摘して行くが、6名の証言は互いに異なる真相と犯人だったく。
2024年07月18日
腸詰小僧 曽根圭介短編集<曽根圭介>
2019年の短編集で、2022年に文庫化された。短編「腸詰小僧」「解決屋」「父の手法」「天誅」「成敗」「母の務め」「留守番」の7作からなる 純粋の短編集だ。それぞれが異なる手法、趣向で描かれている。
2024年07月18日
真実はベッドの中に<石持浅海>
2014年の連作集で、2022年に文庫化された。官能小説連作集だが同時にミステリでもあり、官能ミステリが展開する。男と女が絡み、異なる設定 での話が展開する。閉じた空間、特異な設定、安楽椅子探偵の色が濃い、それはこの作者の世界でもある。
2024年07月18日
西から来た死体 錦川鉄道殺人事件<西村京太郎>
2018年の長編で、電子書籍で読んだ。広島発東京行きの新幹線で女が殺害される。どこから来たか?。岩国と錦川を繋ぐ錦川鉄道は、山口線の日原と 繋ぐ岩日線としての計画があったが中止になっていた。被害者は、その計画を推進しようとしていた。
2024年07月18日
3000キロの罠<笹沢佐保>
1970年の長編で、雑誌・小説クラブに連載されたものを国会図書館デジタルコレクションで読んだ。鹿児島から稚内まで、自動車を陸送する話だ。 車と運転する主人公の男に、不審な人物が隠れて付きまとう、さらには行き先で次々と女が近づいて来る。ついには殺人が起きる。
2024年07月24日
浅香主水捕物帖 第二巻 踊る紅蜘蛛<佐々木杜太郎>
1946年から1953年の作品を再編集して、2023年に出版された。短編13作を収録する連作集だ。八丁堀の捕物名人と呼ばれる浅香主水とその世話を する半鐘徳が主人公の捕物帖だ。女嫌いの主水に対して、徳が生活も捕物も一緒に行う。
2024年07月24日
幻影の手術室<知念実希人>
2016年の長編で、副題は「天久鷹央の事件カルテ」だ。研修医・鴻ノ池舞に別の病院で起きた麻酔医殺害容疑がかけられた。手術室という密室での 手術中の死亡事件を、医師・天久鷹央とその部下の医師・小鳥遊優が調べる。監視カメラ映像と証言からは、他の容疑者はいない。
2024年07月24日
歌人探偵定家 百人一首推理抄<羽生飛鳥>
2024年の連作集で、5話からなる。平家の生き残りの平保盛が事件で検屍を行い、事件の謎を青年時代の藤原定家が解く、九条家の次男・九条良経も 関わる。死体に和歌が添えられており、そのような和歌の使い方に定家が怒り、謎を解く。そして連作全体に流れる謎もある。
2024年07月24日
眠れる美女<秋吉理香子>
2020年の長編で、2024年に文庫化された。バレーが舞台の2作目だ。主人公の如月花音が所属する新設バレー団で著名だったダンサーが演出を行う事に なり、さらに著名なプリマの参加も決まるが、練習が始まると参加者らの関係に軋みが生まれて行く。その中で連続して死者が出る。その結末は?。
2024年07月24日
ムシカ 鎮虫譜<井上真偽>
2020年の作品で、2023年に文庫化された。音大生らが訪れた無人島の筈が、色々な虫に襲われる。そこに現れたライターらの集まりと出会う、さらには 不思議な巫女が現れる。虫を鎮める祭りとは?、その音楽とは何か。音楽家らが巻き込まれた、虫が関わるSF・ホラーが進行する。
2024年07月24日
日蓮伝説殺人事件<内田康夫>
1989年の長編で、電子書籍で読んだ。山梨の見延山周辺を主な舞台に、日蓮の調査に来た浅見光彦が事件に出会う。宝石と宝飾品を作る近代的メーカーが 登場し、そこのデザイナーの死という事件が起きる。同僚の宝石鑑定士の女性を含む複数の視点で、謎が多い事件が描かれて行く。
2024年07月30日
ルパン三世 小説版<辻真先>
1980年の作品で、2022年に文庫化された。モンキー・パンチの原作の漫画を小説化した。原作者とテレビアニメの演出家と辻との鼎談と、辻のあとがき が掲載されている。原作のキャラクターたちに加えて、白乾児(ばいかる)というライバルキャラも登場する5話からなる連作集だ。
2024年07月30日
天狗屋敷の殺人<大神晃>
2024年の作品で、公募賞の候補作で帯文は「横溝正史へのオマージュ」だ。なんでも屋助手・古賀の視点で店主・樋山との事件遭遇と解決が描かれる。 15年前に恋人・平澤翠に連れられてその実家・天狗屋敷に行くと遺言状開封から遺産争いが始まる。そして奇怪な事件も始まる。
2024年07月30日
ひとつむぎの手<知念実希人>
2018年の作品だ。巨大大学病院の外科医・平良が主人公で、その中での権力争い、医療問題、医師派遣と転勤問題、研修医指導、家族の等の問題が 次々と起きる。それぞれへの対応を描く中で、主人公の医師の理想とその生き方をも描いて行く。
2024年07月30日
五匹の赤い鰊<セイヤーズ>
1931年の作品で、1996年に翻訳された。ピーター・ウイムゼイ卿が探偵役のシリーズの1作だ。冒頭の登場人物リストは恒例だが、加えて舞台の ギャロウエイ地方の地図が掲載されている。知らない所の地図を読むのは難しいが作品を読むのにかかせない。事件と共に姿が消えた6人の画家、 後半にそれらが見つかる事で一気に話が進む。
2024年07月30日
花牧竜之介捕物帖 第二巻 満月に参上<北園孝吉>
1954年から1957年の作品を再編集して、2024年に出版された。旗本の三男で私立探偵の花牧竜之介とその取り巻きらが、色々な事件を頼まれて調べる。 短い長編「満月に参上」と、短編6作を収録する。短編はミステリ味が強く、長編は伝奇色が濃い、それは「若さま侍」とも似ている。
2024年07月30日
幽霊認証局<赤川次郎>
2022年の作品で、電子書籍で読んだ。おもに宇野警部の1人称視点で描く永井夕子のコンビ探偵のシリーズの1冊で、短編7作からなる連作集だ。 色々な事件を捜査するが、圧倒的には宇野と夕子のプライベート中に遭遇する事件が多い、それが普通だと馴染んでしまっているシリーズだ。
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2024/07に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。