推理小説読書日記(2024/06)
2024年06月06日
時空犯<潮谷験>
2021年の作品で、2023年に文庫化された。主人公の探偵・姫崎智弘ら8名は高額報酬で、北神博士の「時間遡行とそこでの1日が繰り返される」確認 実験に参加した。そこで博士が殺害されて事件に巻き込まれる。時間を操る時空犯が存在するのか。
2024年06月06日
幽世の薬剤師3<紺野天龍>
2023の作品で、漢方薬剤師・空洞淵が幽世に迷い込み、そこで出会った巫女・御巫らとその世界ならではの怪奇・怪異な事件を解決するシリーズの1作だ。 本集では鬼や、祓い屋らが加わる。悪魔祓い師「エクソシスト」や、「錬金術師」が行う奇跡の謎を解き明かす。
2024年06月06日
網走発遥かなり 改訂完全版<島田荘司>
1990年の連作長編であり、その後改訂され、さらに2024年に改訂完全版として文庫化された。「丘の上」「化石の街」「乱歩の幻影」「網走発遥かなり」 からなる。最初に短編「網走発遥かなり」が発表され、その後に前日談が書き継がれて連作長編となった。作者自身の詳細解説がある。
2024年06月06日
愛人岬<笹沢佐保>
1981年の作品だ。主人公・小手川香織は水沼雄介と不倫関係だった。ある岬で無関係の男女の死体が見つかり、接点不明で、それぞれに容疑者として 水沼と女の夫が浮かぶ。香織は水沼のアリバイを証言するが、愛人関係故に疑われる。
2024年06月06日
高島太一を殺したい五人<石持浅海>
2022年の作品だ。塾講師・高島太一は生徒の枝元絵奈が連続子供殺害犯と築いて殺害した。それを知った同僚の塾講師たち5人は個々に高島の殺害を 計画する。それにきずいた5人は手を結ぶが、誰かが何かを隠していると疑う。枝元の罪も高島の罪もさらに自分らの殺人も隠蔽したい、その方法を 議論する。
2024年06月06日
再雇用警察官 究極の完全犯罪<姉小路祐>
2022年の連作集で、電子書籍で読んだ。再雇用警察官・安治川シリーズの1冊で、大阪府警の消息対応室が舞台だ。「唯一の証明」「二度の死亡」 「第三の判定」の中編からなる。一度は完全犯罪に終わった事件が、対応室の失踪人調査がきっかけで真相が明らかになって行く。
2024年06月12日
殺人小説大募集!<辻眞先>
1986年の連作長編で、2024年に文庫化復刊された。作者のあとがきによれば、雑誌に発表した多数の短編に手を加えて、それを並べるとともに、 プロローグとエピローグを加えて連作長編に変えた作品だ。短編集として読み、最後に長編の仕掛けが現れる。
2024年06月12日
天久鷹央の推理カルテ5<知念実希人>
2017年の連作長編だ。医療能力だけは高い医師・天久鷹央と、ワトソン役の新人医師・小鳥遊優が不可解な病気と事件の謎を、医療的に解明する。 副題は「神秘のセラピスト」で、人混みで身体が腐る事件、鍼灸師の若返る施術、聖痕を持つ預言者の奇跡、の謎を解く。
2024年06月12日
殺し屋、続けてます。<石持浅海>
2019年の連作集で、2021年に文庫化された。殺し屋シリーズの2作目で、主人公の殺し屋・冨澤充が、仲介者が持ち込む依頼を実行する。さらにシングル マザーの殺し屋・鴻池彩花が請け負った仕事を行う。互いに知らない2人の殺し屋の仕事に、交点が生まれて事件が展開する。
2024年06月12日
内通者<堂場瞬一>
2014年の作品で、2024年に文庫化復刊された。舞台は千葉県警捜査2課で係長・結城は内通者の情報を元に贈収賄容疑を内偵捜査する。併行して結城の 娘・若葉の視点からも描かれる、母の死後に不審電話で脅迫される。結城は内通者から担当者を飛び越えて直接に接触されるが・・・。
2024年06月12日
大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 北からの黒船<山本巧次>
2019年の作品で、現代のOLがタイムスリップで江戸時代と行き来して、科学技術を使い女目明しとして活躍する。シリーズ6作目はペリーよりも 前にロシアからという船員が日本に漂流して着いた。さらに江戸に潜入したと判り、秘密裏に探すがそこにおゆうも加わる。歴史に残っていない事件の 真相は??。
2024年06月12日
鼠、地獄を巡る<赤川次郎>
2016年の連作作品集で、電子書籍で読んだ。鼠小僧治郎吉とその妹・小袖が主人公の時代小説でミステリ味も強い、本作は9作目で短編6作を収録する。 本集では凄腕の女医師・仙田千草の存在感が強く、度々に死にかける人を手術で助ける。治郎吉とお袖もかなり強い。
2024年06月12日
在原業平殺人事件<山村美紗、西村京太郎>
2003年の作品で、電子書籍で読んだ。山村、西村の合作だが、内容的には山村作品だ。京都と周辺を舞台に、大原の十輪寺にある在原業平の墓から 伊勢物語等が背景にして事件が展開する。主人公・早川明子は彼氏から一方的に判れられた所だった。事件捜査する狩矢警部と親しくなる。
2024年06月18日
生霊の如き重るもの<三津田信三>
2011年の連作集で、2014年に文庫化された。5話からなる連作集で作家・刀城言耶が探偵役のシリーズだ。ホラーや不可解な話を求めていると、ミステリ としての不可解・不可能な謎として解決する。本集は作家の刀城の学生時代に出会った謎を描き、阿武隈川烏も登場する。
2024年06月18日
雲なす証言<セイヤーズ>
1926年の作品で1994年に日本に翻訳紹介された。ピーター。ウィムジイが探偵役のシリーズだが、本作ではピーターの妹の婚約者が殺害されて、さらに ピーターの兄が殺人容疑で逮捕される。まともに証言しない貴族たちに悩まされながら、ピーターが奔走する。
2024年06月18日
花牧竜之介捕物帖 第1巻<北園孝吉>
1955-1958年の短編を再編集した連作集だ。浪人・花牧竜之介が探偵役の捕物帖で、元掏摸の清元師匠・お富が花牧に付きまとい時には探偵役にもなる。 同心。佐野七九郎通称が下駄の七九郎の絡みで花牧が事件を解決する。ミステリの謎の色合いがやや濃い、短編も多い。
2024年06月18日
白鳥とコウモリ<東野圭吾>
2021年の作品で、2024年に文庫化された、上下巻分冊だがそれほどは長くない。弁護士・白石が殺害されて、容疑者・倉木がその事件と30年前の容疑者が 自殺していた事件との犯行を自供したが、自供以外の証拠はなく刑事らは物証を探す。倉木の息子・和真と白石の娘・美令は倉木の偽証を考えて真相を探す。 美令は被害者参加弁護士制度の利用を考え、弁護士・佐久間梓と知り合う。
2024年06月18日
黒後家蜘蛛の会5<アシモフ>
1990年の連作集で、同年に日本にも翻訳紹介された。会のメンバーがそこでゲストが語る謎を考えて、給仕・ヘンリーが謎を解くシリーズだ。日本人 には難しい謎もあるが、作者自身の個別のあとがきも助けになる。シリーズの最終巻だ。
2024年06月18日
屍臭の家<鷲尾三郎>
1963年の長編で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。最後から2番目の作品で、探偵・南郷の不在時に、作家。牟礼順吉が捜査する展開だ。 牟礼は美女の依頼を自身で解決しようとする、過去からの消失の謎や色々の疑惑を調べて解決に向かうが、・・。南郷の登場で、大きく変化する。
2024年06月18日
夜に挑む者<大河内常平>
1961年の長編で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。山野路広が主人公のハードボイルドのアクション小説だ。秘密クラブ、謎の女、謎の 外人とその組織等が登場して展開する。ミステリ色は薄い。
2024年06月24日
ミステリな建築 建築なミステリ<篠田真由美>
2024年のエッセイ集だ。第一部が「建築のミステリを読む」で建築物のエッセイで、第二部が「ミステリを建築で読む」でミステリをそこに描かれる 建築に焦点を当てて読む。長沖充のイラストもポイントとなっている。著者は翻訳ミステリではしばしば、訳が適切でないとして自身での訳文を載せ ている。
2024年06月24日
玩具店の英雄<石持浅海>
2012年の連作集で2015年に文庫化された、副題は「座間味くんの推理」だ。語り手の科学警察研究所職員と先輩警視正が、座間味くん(通称)と食事 する。過去の事件を話すと、そこら意外な真相を座間味が解き明かすという、安楽椅子探偵の短編7作からなる。
2024年06月24日
本を読む女<ジヴコヴィッチ>
2006年の連作集で、2024年に日本に紹介された。旧ユーゴ出身の作家でSF小説・幻想小説に近い作風だ。作者の指定で英語訳を定本としている。8話から なり主人公のタマラの不思議な体験が描かれる。作者は平行世界の別の女性が登場するのだと言う。
2024年06月24日
降るがいい<佐々木譲>
2020年の連作集で、2024年に文庫化された。短い作品が13作収録される。日常の謎とサスペンス的な内容であり、叙述の中の嘘とその展開とを描く。 人間関係の謎であり、その中には新型コロナ感染問題の異なる生活環境の中での日常も描かれる。
2024年06月24日
バイバイ、サンタクロース<真門浩平>
2023年の作品で、6作からなる連作集で、副題は「麻坂家の双子探偵」だ。小学生・麻坂圭司と有人の双子と、山口頼子と外山桜が探偵団を形成して クラスメートらと事件に向かう。日常の謎から始まり、成長も描かれる。だが事件は大きくなって行き、ミステリ的にやり放題になってゆく。
2024年06月24日
妖ファンタスティック2<>
2020年の連作集で、電子書籍で読んだ。「伝奇ルネサンス・アンソロジー」で歴史小説界に風穴を開ける作家集団だと言い、伝奇時代小説がテーマだ。 秋山香乃・芦辺拓・安萬純一・彩戸ゆめ・獅子宮敏彦・杉山大二郎・図子慧・高井忍・鷹樹烏介・永井紗耶子・日野草の作品がある。
2024年06月24日
君待秋ラは透きとおる<詠坂雄二>
2019年の作品で、電子書籍で読んだ。架空設定として、特殊能力の世界が描かれる。特殊能力を持つ者「匿技士」が絡み、それを集めた組織が描かれる。 主人公は自身を含めて透明化できる。そしてその仲間らに強力な相手が登場する。
2024年06月30日
盤上の向日葵<柚木裕子>
2021年の作品で、2024年に文庫化された。やや長いくらいだが2分冊だ。白骨死体の身元が判らず側で発見された高価な将棋駒の持ち主の来歴を探す。 平行して異色の将棋棋士の幼少からの成長が描かれる。警察小説と犯罪小説とが交錯するサスペンス小説だ。
2024年06月30日
エンドロール<潮谷験>
2022年の作品で、2023年に文庫化された。生命自律思想で自殺を勧める思想家・陰橋冬が死に、その同調者らが自殺を勧める活動を行う。それに反対する 主人公らが3人ずつでネットの討論会で議論を行う。どちらの側にもそれぞれに個々に事情がある、それが明らかになりながら意外な展開が進む。
2024年06月30日
毒入り火刑法廷<榊林銘>
2024年の長編だ。魔女が登場した世界で、魔女は「箒で空を飛ぶ、猫に化ける、心を操作する」とされている。魔女は火刑法廷で魔女だと判決が出ると、 即座に火刑にされる。火刑審問官・オペラと弁護人・毒羊が度々対決する中で、魔女たちが手を結んで逃れようとする。その中では不可能犯罪が解かれないと、 魔女の犯罪と判断されて火刑にされてしまう。
2024年06月30日
剣持麗子のワンナイト推理<新川帆立>
2022年の連作集で、2024年に文庫化された。働きすぎの女弁護士・剣持麗子の一人称視点で事件を追う場面が中心で構成される。さらに武田信玄と 名乗るホストの黒丑が登場して、依頼人になったり助手的な役だったり、麗子にか深く関わってくる。
2024年06月30日
特急街道の殺人<西村京太郎>
2011年の作品で、電子書籍で読んだ。十津川警部シリーズの1作で、さらに福井の一乗谷とそこの朝倉氏の歴史と発掘と、そこでの利権問題が テーマとなっている。何故か地名や歴史が題名には使われていない。歴史ミステリの比重が高い。
2024年06月30日
三州吉良殺人事件<内田康夫>
1991年の作品で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズだがその母・雪江の活躍の比重が高い。三河湾を囲む、蒲郡と渥美半島の伊良湖岬との 特殊な地形を生かしたトリック作だが、作風からは歴史的・社会的なテーマ性の方が強い。
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2024/06に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。