推理小説読書日記(2024/04)
2024年04月01日
突然の明日<笹沢左保>
1963年の作品で、2022年に復刊された。両親と息子2人と娘2人の家庭だ、長男が死ぬが同時に殺人容疑がかかる。家庭崩壊状態で、娘が兄が無実と思い 調べる。さらには父も調べ始める。すると続々と色々な謎が登場して、意外な展開が続く。
2024年04月01日
中野のお父さんと五つの謎<北村薫>
2024年に出版された作品集で、「中野のお父さん」シリーズの短編5作からなる。シリーズは当初は日常の謎から出発して、その後に書物等の謎が加わった。 本集では5作全てが書物等の謎だ。編集者の主人公・田川美希が関わる謎に、最後にその父が加わる。本集では「清張のておくれ」がミステリファンには うれしい「点と線」の謎だ。
2024年04月01日
パレードの明暗<石持浅海>
2016年に出版された短編集で7作を収録する。副題が「座間味くんの推理」でシリーズ4作目だ。女性警察官・南谷結月と署長と座間味が毎回会食して 、事件を話す。最終的には一度解決した事件の、裏の真相を座間味が解き明かす、安楽椅子探偵作品集だ。
2024年04月01日
黒後家蜘蛛の会4<アイザック・アシモフ>
1984年の連作集で1985年に日本に翻訳紹介された。食事会で謎が提示されると、給仕のヘンリーが最後に謎を解く。短い短編からなり、本集は12作を 収録する。さらには毎話に「あとがき」があるのも特徴だ。さらには本集は解説が鮎川哲也なのもうれしい。
2024年04月01日
剣の八<ディクスン・カー>
1934年の作品で日本に翻訳、さらに文庫化された、それを電子書籍で読んだ。冒頭からギデオン・フェル博士が登場する。館、銃声、足跡と続ぞくと カー作品につきものの謎が展開する。題名由来のカードの図柄に関しても話題が展開する。
2024年04月07日
ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション<川出正樹>
2023年に出版された研究書で、副題が「戦後翻訳ミステリ叢書探訪」だ。有名な叢書からマイナーな叢書までのガイドブックであり、マイナーなものは ミステリか?、翻訳か?自体の謎がある。初めて知った叢書もあれば、その中には知らなくとも良かった叢書もある。
2024年04月07日
絶対正義<秋吉理香子>
2016年の作品で、2019に文庫化された。異常なまでに正義感が強すぎる女性と、それに関わり人生を滅茶苦茶にされた複数の周囲の人達4人が登場する。 そこまで異常だと、もはや架空設定状態だ。それで4人は女性を殺害するが、のちに何故か手紙が届く。
2024年04月07日
シニカル探偵 安土真2 七草館の大冒険<齋藤飛鳥>
2023年の長編で、ジュブナイルのミステリシリーズの2冊目だ。第一巻で探偵団に個性的なメンバーが集まったが、二巻目でもさらに新メンバーを集める ために事件を解決しようとする。幽霊屋敷の謎を解明して、メンバーを増やすとともに事務所もそこに設置しようと考えた。ただ、語り手・さくらの トラブルを招く能力はそれを超える。
2024年04月07日
瀬越家殺人事件<竹本健治>
2023年の作品で、外観も内容もあらゆる面で普通では無い本・作品だ。ページを外して表紙の前に移動して差し込める本だ。カバーで「ひらがな48文字を重複 なく使い一首に仕上げるいろは歌で48のシーンを描き切った超絶技巧のミステリー」と紹介される。だが実物を見ないと、紹介も理解は難しい。
2024年04月07日
生還せよ<福田和代>
2016年の作品で、電子書籍で読んだ。主人公の航空自衛隊の安濃は同僚とシンガポールで大戦での遺骨を調査する。ただし実は、極秘任務を持っていた。 産業スパイの動きに対処する任務だったが、人が死に、消える、さらに同僚も行方不明になる。過去と現在とを繋ぐ、スパイ組織とそこの人物が暗躍する。
2024年04月13日
軍隊ミステリ集<蒼社廉三>
2024年に出版された作品集で、1961年から1965年に雑誌発表された軍隊を舞台にした短編を集めた。背景が軍隊だが、それぞれは個別の短編で多様だ。 軍隊を特殊設定とは呼ばないとも思うが、独自のルールが存在する世界であり、今後も書かれて行く分野かも知れない。
2024年04月13日
本格・結婚殺人事件<辻真先>
1997年の作品で、2024年に文庫で復刊された。ポテトこと牧薩次とスーパーこと可能キリコが主人公で、その他にもお馴染みのキャラクターが登場する。 公募短編賞の第1回に牧が受賞した、婚約者のキリコとそれを機会に結婚を考える。だがその審査員らに続々と事件が発生する。新人賞に謎があるのか?。
2024年04月13日
放課後ミステリクラブ3 動くカメの銅像事件<知念実希人>
2024年のジュブナイル向けの中編だ。小学生のミステリ仲間が主人公のシリーズの3作目で、日常の謎の本格ミステリだ。題名どうりに、動く筈がない カメの銅像が動く謎を、小学生仲間が調べて、解き明かす。
2024年04月13日
鉄路の恐怖<鷲尾三郎>
1958年の長編で、国会デジタルコレクションで読んだ。自殺事件への疑問の後に、轢死殺人事件が起きた。捜査を行うが、さらに容疑者や関係者が 連続して轢死殺人事件が続く。当時の鉄道、踏切等の事情のもとでのトリックの解明が行われる。
2024年04月13日
城崎殺人事件<内田康夫>
1998年の長編で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1作で、浅見は母・雪江のお共で城崎へ温泉旅行に行く。そこでの幽霊ビルでの死に関わる。 浅見はかるい気持ちで土蜘蛛伝説に興味を持つが、何故か自分自身が命を狙われる事になる。幽霊ビルと、土蜘蛛伝説と、浅見が襲われる事件に繋がりは あるのか。
2024年04月19日
刑事の枷<堂場瞬一>
2021年の作品で2024年に文庫化された。神奈川県警所轄の新人刑事・村上と署内で避けられている刑事・影山のコンビが主人公の警察小説だ。ただし、 影山は組織を無視して一人で行動しており、村上はそれに巻き込まれた形だ。課の捜査と影山の捜査の双方を掛け持ちする村上は、2つの事件の関連性にきずく。
2024年04月19日
映画編集者・長田千鶴子が語る 市川崑X金田一映画の思い出<長田千鶴子・松本健男>
2023年のインタビューを文章化した本で、2024年に増補された。映画編集者が語る、その仕事の内容だ。さらに監督・市川崑を語りさらには、その中の横溝正史 作品の映画化作品と、そこでの金田一を演じた役者を石坂浩二中心に語られる。市川監督と金田一映画ファンには楽しい本だ。
2024年04月19日
黄土館の殺人<阿津川辰海>
2024年の作品だ。「紅蓮館の殺人」「蒼海館の殺人」のシリーズ作で大学生・葛城が探偵役になる。地震により孤立した館で事件が進むが、その外でも何かが 起きる。探偵は外にいるしあるいは犯人も外なのか?。館と外で交換殺人が行われているのか。
2024年04月19日
十二秒の誤算<山村美紗>
1994年の連作集で、電子書籍で読んだ。短編4作からなり、主人公は会社を上司との不倫で辞めて興信所の調査員になった片山由美だ。仕事は主に地味な不倫 調査だ。先輩・石上英子と所長らと同僚と共に調べて行く。そこに殺人事件が起きて、京都府警・狩矢警部が登場する。
2024年04月19日
愛と哀しみのみちのく特急<西村京太郎>
2008年に編まれた作品集で、電子書籍で読んだ。西村の短編から本の題名に合う作品を集めて編まれた作品集だ。十津川警部シリーズだが、亀井刑事や 十津川直子が中心になる作品も含む。舞台は東京中心に各地に拡がるが、東北地方も中心的な舞台となる作品群だ。
2024年04月25日
泡沫の歌<小金井喜美子>
2018年の本で、副題は「森鴎外と星新一をつなぐひと」で森マリナ編だ。ミステリとは無関係で、星新一のエッセイ、鴎外と新一を含む6代の家系図、 編者のエッセイから始まり、第一部は和歌であり、第二部は小金井喜美子のエッセイと日記だ。そこには星新一ほかのエッセイ等も収録した。
2024年04月25日
レイヴァンズスカー山の死<アルバート・ハーディング>
1953年の作品で2023年に翻訳して紹介された。訳者・小林晋によると作者の情報が無くて、有名作家の別名義かもしれない印象を述べている。元社員と 偶然出会った女性作家とが探偵役だ。男が山で転落死した事を調べると、数か月後に同じ場所でさらに転落死が起きて、真相を調べて行く。
2024年04月25日
名探偵誕生<似鳥鶏>
2018年の作品で、2021年に文庫化された。主人公の小学生・星川瑞人は子供の頃から近所の年上の千歳に助けられて憧れている。中学生になっても 、高校生になっても、大学生でも同じだった。だが千歳の婚約者が殺人を自供して逮捕されると千歳に代わって、星川が事件解決を図る。5話構成の連作長編だ。
2024年04月25日
スパイ失業<赤川次郎>
1999年の作品で、電子書籍で読んだ。主人公・伊原ユリは某小国の草の根スパイで、外国語が得意で通訳や翻訳を行っていた。ところが小国が破綻して、 大使館が閉鎖されてスパイを失業した。通訳の仕事にせいを出すが、その周囲で次々と異変・事件が起きる。国家消滅の裏の謎とは何か。
2024年04月25日
日光殺人事件<内田康夫>
2000年の作品で、電子書籍で読んだ。浅見光彦は雑誌の仕事で取材に行くと、日光?に関わる事件に出会う。ただし、日光とは地名かどうかは判らない。 雑誌「日光」や地名「にっこう」も登場してゆく。短歌に関する謎を中心に、浅見の勘による捜査が繰り広げられる。
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2024/04に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。