推理小説読書日記(2024/03)
2024年03月02日
1(ONE)<加納朋子>
2024年の作品だ。帯文は「『ななつのこ』から始まる駒子シリーズ、20年ぶりの最新作」だが作者前書きで「ストレートな続きではない」と なっている。母娘と犬を中心に、過去と現在を繋ぐ日常と生活が、いくつかの謎を含みながら描かれて行く。
2024年03月02日
怪盗ニック全仕事2<ホック>
2015年に出版された作品集で、独自再編集の怪盗ニックのシリーズの作品集だ。価値の無い物を専門に盗む怪盗ニックが、如何に盗むかの方法と 共に、依頼者が何故に価値の無い物を盗みたいかの謎が描かれる。不可能犯罪と不可解犯罪が混ざって描かれる。
2024年03月02日
十津川警部捜査行 愛と幻影の谷川特急<西村京太郎>
2008年に出版された鉄道ミステリの短編集で5作を収録する。十津川警部と十津川班が関東を中心に捜査で駆け回る、全国が舞台のシリーズでは東京 以外の関東はそれほど多くないようだ。鬼怒川、吾妻線、上越線、内房・外房線、成田エクスプレスが舞台となっている。
2024年03月02日
恋人形殺人事件<山村美沙>
1991年の連作集で電子書籍で読んだ。探偵役のキャサリンとワトソン役の浜口一郎のコンビのシリーズの短編集で、5作を収録する。京都で起きた事件 に興味を持ったキャサリンが狩矢警部らに無理に聞きこみ捜査を始める、浜口も巻き込まれてしまう。
2024年03月02日
ムッシュ・ジャポネ<佐野広実>
2022年の作品で、電子書籍で読んだ。第二次世界大戦時のナチスドイツに占領されたフランスが舞台の時代サスペンスだ。画家で留学生・片岡哲夫が 事件に巻き込まれて贋作製作グループに入ってしまう。そして独仏を巻き込む、美術品の持ち出し競争に巻き込まれて行く。
2024年03月08日
浅香主水捕物帖1 河童地獄<佐々木杜太郎>
1931年から1953年の作品を再編集した作品集で、2023年にオンデマンド版で出版された。徳川五代将軍の頃に江戸南町奉行所同心・浅香主水は独身で 、岡っ引き半鐘徳が一緒に住んでいて、捕物だけでなく普段の身の回りの世話も行っている。このコンビの捕物物が13作収録される。
2024年03月08日
大義<今野敏>
2021年の作品集で、2024年に文庫化された。横浜みなとみらい署暴対係のメンバーが活躍する短編の7作が掲載される。係長・諸橋以下のどのメンバー も特徴的であり、既にこのシリーズではお馴染みだ。この作品集でも全員が、魅力的に描かれていて、さらにチームとしての魅力が溢れる。
2024年03月08日
シニカル探偵 安土真1<齋藤飛鳥>
2023年の連作タイプ長編で、ジュブナイルのミステリだ。第一巻では探偵団に個性的なメンバーが集まってくる。性格が悪い真に、トラブルが集まるさくら、 運動神経の優れた歌樹、情報収集の能力が高い久美穂らが探偵団を結成して行く。
2024年03月08日
ミス・パーフェクトが行く<横関大>
2021年の作品で、2024年に文庫化された。厚生労働省勤務の真波莉子は総理大臣の隠し子でさらに陰のブレインで、そつがなくミス・パーフェクトと 呼ばれた。隠し子が発覚して、転職しながらもそれぞれでパーフェクト振りを発揮する。元SPの警備員・城島は莉子の運転手兼警備を担当して行く。
2024年03月08日
「雪国」殺人事件<西村京太郎>
1998年の作品で、電子書籍で読んだ。一応は十津川警部も登場するが、全編が元刑事の私立探偵・橋本豊の視点で描かれる。さらに川端康成「雪国」 を背景にして、越後湯沢を舞台に小説が進行する。文芸ミステリであり、そこでの芸者との出会いが描かれる。
2024年03月14日
黒い獣<渡辺啓助>
2023年の作品集で、1950年から1959年に雑誌発表された少年小説をまとめた。探偵小説、冒険小説、怪奇小説、空想科学小説等であり、あるいは それを組み合わせた怪奇探偵小説等の副題?がついている。この作者のジャンル別の作品群の紹介が解説されているので理解がしやすく面白い。
2024年03月14日
姫四郎流れ旅 東海道つむじ風<笹沢左保>
2023年に復刊された時代小説連作集だ。西洋医術名医の父を受け継ぐ医師だが事情があって渡世人になった主人公だ。その技術は時代を先駆けている。 その意味では架空設定の医療ミステリとも言える。それらを組み合わせた時代ミステリ連作であり、笹沢らしさが溢れる。
2024年03月14日
あらゆる 薔薇のために<潮谷験>
2022年の長編だ。幼児の架空の病気であるオスロ昏睡病と、その治療とその後の後遺症?と生活が描かれ、不明点が多いままで進む。そのなかでの 事件をその病気の刑事が捜査する。その病気は治療後も薔薇のような痣が残り、その痣には複雑な特性があるようだった。そこでのロジックが展開する。
2024年03月14日
怒れる老婦人たち<レオ・ブルース>
1960年の長編で2023年に翻訳が出版された。村の教会で、その運営に老婦人2人が対立していた。その片方が死体で発見されて、教師のキャロラス・ ディーンが捜査する。その中でさらにはそのライバルの老婦人が死ぬ。その捜査も行うなかで、キャロラスの選択は意外だった。
2024年03月14日
上野谷中殺人事件<内田康夫>
1991年の長編で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1作で浅見は作家・内田経由の依頼で、上野の事件を調べる。東北・上越新幹線の上野から 東京延伸・乗り入れの賛成派と反対派が意見が対立していた。浅見はタウン誌編集者女性と知り合う。最後の章はシリーズでは珍しい密室殺人となる。
2024年03月20日
不老虫<石持浅海>
2019年の作品で2022年に文庫化された。架空の寄生虫である不老虫が設定されて、それが女性に寄生して日本に侵入した。主人公の農水省職員が、専門家 とされる外人女性のハンターとで駆除をはかる。架空の性質が次第に明らかになり、背景に会社人間の企みが重なる。サスペンス色も濃い。
2024年03月20日
天久鷹央の推理カルテ2<知念実希人>
2015年の作品で3話からなる連作集だ。変わり者の天才女医・天久とその部下の新米医師の小鳥遊とのコンビニに、女性研修医・鴻ノ池舞が加わり、 医療ミステリーが展開する。医療の謎に加えて、人的な犯人の謎が加わる。
2024年03月20日
角田喜久雄捕物小説集第四巻 悪魔屋敷<角田喜久雄>
1955年頃の作品を再編集した作品集だ。岡っ引きや同心が登場する時代小説集だが、捕物帳かどうかは微妙な作品も多くある。舞台は江戸だし、捕物 帳の定義も難しい。角田としてお馴染みの、伝奇時代小説として書かれたと思われる。 。
2024年03月20日
大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 北斎に聞いてみろ<山本巧次>
2017年の作品だ。現代のOLが江戸時代にタイムトラベルで行き来して、江戸時代では女岡っ引きとなり事件を調べる。そこでの証拠を現代に持ち還り 、そこで科学的に分析して参考にする。ただし江戸では証拠に出来ない。今回は北斎の娘の絵師の阿栄の協力を得る。
2024年03月20日
花嫁は容疑者<山村美紗>
1995年の作品集で電子書籍で読んだ。ミステリー作家でテレビキャスターの秋野夕雨子が主人公の連作集で、お馴染みの狩矢警部らも時々登場する。 主に取材先の京都の各所での事件を報道しながら、解決してゆく。必ずしも安楽椅子探偵ではないが、その雰囲気はある。
2024年03月20日
戸隠伝説殺人事件<内田康夫>
1985年の作品で電子書籍で読んだ。長野県警捜査1課の竹村岩男警部が主人公のシリーズの1作だ。竹村の視点と、登場人物の一人の立花の視点からが 交互に描かれる。前半は広義のミシングリンク風に進み、後半は警察小説風に手掛かりが繋がって行く。伝説が背景にあって進むが、捜査妨害や戦中の事件 が背景のサスペンス的に展開する。
2024年03月26日
倉田慶明 文集 附 一圓タクシー<倉田啓明>
1912年から1932年の作品を再編集して、2023年に復刊された作品集だ。「倉田啓明 文集」と中編「探偵小説 一圓タクシー」からなる。書かれた時代 を考慮して読むべき作品であり。前者は2014年に復刊されておりその時の「解説」も収録されている。
2024年03月26日
陰からの一撃 警視庁追跡捜査係<堂場瞬一>
2024年の作品で、警視庁追跡捜査係シリーズの1冊だ。本作では主人公の一人の刑事・西川が罠で呼び出されて襲われる。追跡係は捜査に参加できないが 西川が過去の事件で怨みを持たれた可能性の調査だとして捜査する。退院した西川も強引に捜査に加わるが・・・。
2024年03月26日
涜神館殺人事件<手代木正太郎>
2023年の作品だ。遠く離れた北の湿地帯にある館に、当主の作家が世界から霊能力者を集めて、交霊会を開く。それに呼ばれたいかさま霊媒師・エイミー を主人公として話が進む。過去にいまわしい何かがあった館で起きる事件を、集まった霊媒師らが超常現象を含めて調べて行く。
2024年03月26日
銀髪少女は音を視る<天祢涼>
2016年の作品だ。語り手の巡査・道明寺と探偵役の音宮美夜が事件を追い、解決してゆく。少女・音宮は銀髪の外観で音が見えると言う共感覚の持ち主 との設定で、それを生かした捜査を警察から依頼される。超能力物とも言える架空設定のミステリーだ。
2024年03月26日
ダブル・ダブル<エラリー・クィーン>
1950年の作品で、2022年の新訳版を電子書籍で読んだ。探偵役・クィーンが登場する1冊であり、ライツビルを舞台にしたシリーズの1冊だ。エラリーが 個人でライツビルを訪ねて、そこでの事件を単独で調べる。ニューヨークの警察も父の警視も関わらない。背後にマザーグースの歌詞が存在する。
2024年03月26日
君が護りたい人<石持浅海>
2021年の作品で、電子書籍で読んだ。碓井優佳シリーズの長編だ。サークルのメンバーが集まりキャンプに集まる。結婚する男女を含むが、 そこには殺意があり、さらにはそれから護る動きがある、そしてその状況を観察する者もいる。事故や危険が始まって行く。
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2024/03に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。