推理小説読書日記(2024/02)
2024年02月01日
案山子の村の殺人<楠谷佑>
2023年の作品だ。回文のペンネームの作者が、同名の合作ペンネームを持つ推理作家を主人公にした作品だ。執筆担当の宇月理久がワトソン役で、 プロット担当の篠倉真舟が探偵役で、取材で訪れた村で雪の密室に遭遇する。
2024年02月01日
聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた<井上真偽>
2016年の作品だ。少年探偵・八ツ星とその師匠の上笠が活躍するが奇蹟を信じているのだろうか。登場人物の多数が容疑者でもあり、推理も行う。 パーティー中に8人の中で3人が毒殺される事件が起きて、色々な推理が異なる犯人を指摘しては、否定されて行く。
2024年02月01日
角田喜久雄捕物小説集第三巻 花太郎行状記<角田喜久雄>
1951年から1957年の短編を、再編集して2023年に出版された。時代小説で伝奇小説の色合いが濃い。主人公は怪盗葵小僧こと花太郎で、いくつかの 作品ではその幼馴染の捕物小町・お絹と捕物する。それに加えて、何らかの形で花太郎が登場する作品も多くならぶ。
2024年02月01日
肉食の食客<森村誠一>
1974年の短編集で後に文庫化も復刊もされた、電子書籍で読んだ。純粋の短編集で11作が収録されている。分野・内容は多彩で、犯罪小説味が濃く、 さらには全体にサスペンス色が濃い。視点を巧妙に操る事で、内容に意外性を加えている作品が多い。
2024年02月01日
キリストの石<九鬼紫郎>
1960年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。検事・安西の個人的出会い・検事としての仕事・上司の検事との会話等を通しての、事件への 対応と捜査が描かれる。仕事以外の関わりの比率が高いのが読者的には悩ましい。正義の考え方に宗教も関わり、タイトルにも繋がる。
2024年02月07日
物件探偵<乾くるみ>
2017年の連作集で、2021年に加筆して文庫化された。東京の不動産物件がテーマであり、それを購入しようとする人物の視点からそれにまつわる、謎・ 事件・トラブルが描かれる。そして、不動尊子という謎の宅地建物取引主任が登場してそこでの謎を解き明かす。
2024年02月07日
禁断の罠<>
2023年のオリジナルアンソロジーで、新川帆立・結城真一郎・斜線堂有紀・米澤穂信・中山七里・有栖川有栖の短編を掲載している。雑誌掲載短編の共通 点以外はテーマはないが、逆に多彩な内容だとは言える。本の題名には特に意味はなさそうだ。
2024年02月07日
騙る<黒川博行>
2020年の連作作品集で、2023年に文庫化された。骨董・古美術をテーマにして、鑑定や贋作などが絡み、それを巡っての詐欺や騙しの世界を描く。そこでの 引き回し役は美術雑誌編集長の肩書を使う佐保である。美術専門家のミステリだが、その知識が無くとも説明を読みながら、同時に詐欺の世界にも入りこむ。
2024年02月07日
「須磨明石」殺人事件<内田康夫>
1993年の作品で、電子書籍で読んだ。「旅と歴史」の女性編集者の失踪事件を浅見光彦が調べる。その目撃者で女子大生の崎上由香里とともに足跡を追い、 明石原人を調べ、さらに過去の事件も掘り起こす。阪神淡路大震災の2年前の神戸明石付近が取材に応じて描かれる。
2024年02月07日
三毛猫ホームズの四季<赤川次郎>
1995年の作品で、電子書籍で読んだ。三毛猫ホームズシリーズの1冊で、片山義太郎刑事と妹・晴美と刑事・石津らが登場する。題名通りに、章が春夏秋冬 の4章に分かれていて、時間的にも分かれている。だが事件に絡む登場人物の4姉妹の春子・夏子・秋代・冬美の意味もある。
2024年02月13日
身代わりの島<石持浅海>
2014年の長編だ。アニメ映画の舞台の島でのイベント開催の準備で5名が訪れる。その島人には賛成・反対の双方がいる。さらにそこにはアニメの主人公 の中学生と似たイメージの女子もいた。参加者の1人が主人公のコスプレで殺害されて、島にも訪問者にも動揺が起きる。そして個人の事情が明らかに なってゆく。
2024年02月13日
鴉の箱庭<麻見和史>
2023年の長編で、警視庁捜査1課11係シリーズの1冊だ。刑事・如月塔子は先輩刑事・門脇と組み、係メンバーらと捜査する。右手が見つかり捜査すると、 さらに別の左手が見つかる。さらには如月らが襲われる。犯人には背後に操る黒幕がいるのだろうか。
2024年02月13日
名探偵犬コースケ1 消えた女神像<太田忠司>
2023年の連作集で、4話からなる。さらに「1」となっているから続編もあるのだろう。中学生の凱斗が母・桜山紫緒の探偵事務所の仕事を手伝う。さらには そこの飼い犬のコースケも加わる。少年少女向けの「ナゾノベル」叢書の1冊で、謎はかなり薄味だが本格のスタイルを取る。
2024年02月13日
呪文塔の恐怖<九鬼紫郎>
1957年の長編で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。「怪奇時代長編小説」と紹介がある、伝奇小説ではよくあるが、文章の謎を追い、宝さがしに 行き着く。登場人物がほぼ怪しく、話が進むと実はXXだったと明らかになってゆく。
2024年02月13日
死にゆく者の祈り<中山七里>
2019年の長編で、電子書籍で読んだ。拘置所で教誨師を行う僧が主人公で、対象の死刑囚が過去の知人であった。無罪を信じて職権を使い、ルールもさらには法 も無視して事件を調べ始める。その視点で描かれるのだが、宗教観・法律感・・・等に意外性よりも不快感が強く、強いイヤミスだ。
2024年02月19日
ユニット<佐々木譲>
2005年の作品で2023年に復刊された。未知の人物らがたまたま出会い組み合う、その集まりがユニットだ。それは犯罪者がわにも、それ以外にも起きる。 妻子を殺された男が復讐を狙う、夫の暴力から妻が子と逃げる、その二人が偶然に出会う。復讐相手が逆に命を狙い、夫が追うとその2人が出会う。そして・・。
2024年02月19日
異人の守り手<手代木正太郎>
2023年の作品で3話からなる連作集だ。江戸時代末期に日本に来た外人(異人)たちは反対勢力から命を狙われる。だがそれらから陰で守るグループもあった。 異人たちと、狙う者たちと、守る者たちの対決が描かれる伝奇時代小説だ。
2024年02月19日
野心 ボーダーズ3<堂場瞬一>
2023年の作品で、警視庁特殊事件対策班のシリーズの3作目だ。今回はチームの参謀役の女性警部補・朝比奈由宇が主人公で、自身のトラブルでの怪我や 、周囲との葛藤のなかで、事件に向き合う事になる。堂場作品の他のシリーズの主人公たちが多数共演して重要な役を果たす。
2024年02月19日
死んだ山田と教室<金子玲介>
2023年に雑誌・メフィストに掲載された作品だ。交通事故で死んだ高校生・山田のクラスの教室のスピーカーから山田の声が聞こえた。声だけ残った 山田について、クラスメイト達はそれぞれに山田に関わる過去や、死の真相や、声だけ残る訳を考えていく事になる。奇妙な架空設定の展開が続く。
2024年02月19日
婚活中毒<秋吉理香子>
2017年の作品集で電子書籍で読んだ。婚活がテーマの独立した短編「理想の男」「婚活マニュアル」「リケジョの婚活」「代理婚活」が掲載されている。 主人公がアラサーの女性、出会いを求める男性、計算とデータで婚活する女性、代理婚活を始めた親と多岐でストーリーもそれぞれ多彩だ。
2024年02月25日
密室の如き籠るもの<三津田信三>
2009年の作品集で、2012年に文庫化された。短編3作と長めの中編「密室の如き籠るもの」からなる作品集だ。密室でのこっくりさんの中での事件を 描いた表題作が量的にも中心だ。そこでは「カーの密室講義」が長々と展開する、この密室はその中の分類にはないという展開になる。
2024年02月25日
迷犬ルパン異世界に還る<辻真先>
2023年の作品だ。懐かしの迷犬ルパンシリーズのキャラクターが集結して、異世界に行く。そこは魔法・魔力が強い所で、そこで大冒険が展開する。 それは面白いのだが、タイトルはルパンだがやや表に登場しない。犬だからではなく、代わりに恋人犬のサファイアが大活躍する。
2024年02月25日
幽世の薬剤師2<紺野天龍>
2022年に出版された、漢方薬剤師・空洞淵霧湖が迷いこんだ別世界の幽世で、巫女らと怪異の中で事件を解決して行く。架空設定の中で薬と病気への 知識を利用して、怪異現象の中の謎を解いて、さらには解決して行く。
2024年02月25日
魔女を探せ<九鬼紫郎>
1959年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。記者・白井青児が探偵役で、魔女と呼ばれる女性とその娘を探す。すると次々と事件や 謎が起きて、あるいは現れてくる。そして多彩で色々な要素を含んだ展開が続いて行く。
2024年02月25日
北の街物語<内田康夫>
2015年の作品で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1冊だが後期にあたる。全国を回る旅情ミステリシリーズだが、本作は浅見家のある東京都 北区滝野川の近くの赤羽等が舞台だ、浅見家のメンバーが度々登場して、さらには同級生も登場する。そして殺人ではなく、ブロンズ像の盗難からはじまる。
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2024/02に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。