推理小説読書日記(2024/01)
2024年01月02日
幽世の薬剤師<紺野天龍>
2023年の作品だ。異世界の「幽世」は人と怪異が共存する世界だった。そこに迷い込んだ漢方方薬剤師・空洞淵霧湖が幽世の巫女・御巫綺翠らと共に、 そこに蔓延する病、あるいは怪異かも知れない・・を解決して行く。
2024年01月02日
秘境駅のクローズド・サークル<鵜林伸也>
2022年の作品集で、5作を収録する。それぞれが独立した短編で、異なるタイプの作品だ。全体としてはロジックが中心であり、さらにトリックの比重も 高い。表題作が密室的な設定で特にロジックの比重が高い。
2024年01月02日
赤の呪縛<堂場瞬一>
2021年の長編で、2023年に文庫化された。父が県知事で、その息子が勘当されて刑事になっているが父への復讐を狙っている。警視庁管轄の事件で父の 影を見つけた息子は、それをかくして密かに調べて行く。理由を偽り、出身地におもむき調べて復讐を狙うが、意外な展開になる。
2024年01月02日
筆のみが知る<近藤史恵>
2022年の連作方式の長編で、江戸時代の大阪が舞台の絵師が主人公の、ホラー味が濃い時代小説だ。幽霊が背景に登場するのでミステリなのかは微妙だ。 帯の紹介は「幽霊X絵画ミステリ」だ 。
2024年01月02日
金沢殺人事件<内田康夫>
1989年の作品で、電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1作で、浅見の近くの東京で事件が起き、それが金沢に広がる。さらには能登へも広がって行く。 冒頭に登場した女性が浅見の相手役かと思うが、直ぐに殺害される。最後には一旦容疑者がいなくなり、全体を見直して犯人に辿りつく。
2024年01月08日
八州廻り秘録<笹沢左保>
1988年に文庫化された作品集で、2012年に復刊された。江戸時代の関東八州を見回る6人の見回り役が主人公の6作の作品集だ。時代小説だが時代ミステリ味 が強く、ここでそのトリックが来るのかと感じる作品集だ。時代小説の性格を上手に利用している。
2024年01月08日
水魑の如く沈むもの<三津田信三>
2009年の作品で、2013年に文庫化された。作家・刀城言耶が探偵役の伝奇・怪奇色の濃いミステリシリーズの1作だ。今回は編集者・祖父江偲も同行する。 水害が多発する地域での人柱をともなう儀式が続いていて、儀式の中での死人も出ている。かなりの長さの長編で複数の謎をとき明かす。
2024年01月08日
死の10パーセント<ブラウン>
2023年に新訳を含めての再編集された作品集だ、短編13作を収録する。変格ミステリというか、どんでんかえしや落ちがある作品が中心となっている。 エド・ハンターが登場するハードボイルド探偵ものも含まれている。
2024年01月08日
推理大戦<似鳥鶏>
2021年の作品で、2023年に文庫化された。ある物の争奪戦の推理ゲーム合戦が北海道で行われる。それが最終5章で、そこに参加する人々がそれ以前の 章で順次描かれる。参加するのはアメリカ、ウクライナ、日本、ブラジルであり、独自の個性的な捜査方法が行われる。
2024年01月08日
アイバンホー<高木彬光>
1951年の作品で、少年少女向けの世界名作文庫と称する叢書の1冊で、原作はスコットだ。騎士のアイバンホーが十字軍に参加して行方不明となる。 祖国で事件が進行するなかで、謎の騎士が現れる、そして・・・・・、と進む、歴史冒険ロマン小説とも言うのだろう。
2024年01月14日
アイリス<雛倉さりえ>
2023年の作品で、ミステリではない。過去の映画の監督と、出演者の2人とのその後を描く。その作品を越えられない監督の苦悩を描く。主人らも 過去の子役の栄光から離れられない。幻想小説ではないが、全編を幻想味が覆っているように感じる。
2024年01月14日
会津 友の墓標<西村京太郎>
2011年の長編で、2021年に復刊文庫化された。十津川警部シリーズの1冊であり、会津の明治維新時の藩の壊滅的な戦いの歴史を背景としている。 維新時の美女剣士と、それがモデルになった人形、さらには現代の美女剣士が登場し、それに囚われた男がいる。
2024年01月14日
先祖探偵<新川帆立>
2022年の連作集で、2023年に文庫化された。主人公・邑楽風子は依頼人の先祖をたどる先祖探偵だ。依頼を受けて、全国あちこちを調べ歩く。 先祖探しの謎の背景には、現在の事件が隠されている事も多くあり、平行して描かれる。さらには主人公自身の過去も謎がある。
2024年01月14日
寒がりの死体<山村美紗>
2002年の連作集で、電子書籍で読んだ。京都府警の検視官・江夏冬子が主人公のシリーズの1作で、刑事の橋口や狩矢も登場する。検視官として活躍する 事件と、冬子の友人等の近くの人が関わる事件とが混ざっている。さらには京都以外が舞台の作品が多い事も意外だ。
2024年01月14日
黒い年輪<藤本明男>
1962年の長編で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。学校での校長と教頭の対立、さらには教師や職員らの関わりとスキャンダルと死亡事件で 話が進む。さらには過去の事件、論文疑惑と拡がって行く。意外な展開であるが、分散しすぎる所もある。
2024年01月20日
放課後ミステリクラブ2 雪のミステリサークル事件<知念実希人>
2023年の作品で「放課後ミステリクラブ」シリーズの第2作目だ。大人のミステリ小説手法で書いた児童向けミステリだ。長めの短編ミステリを読む感覚で 1冊を読める。雪の日に校庭に現れた、大きなミステリサークルの謎を解く。如何に作られたか、模様の意味は何か?。
2024年01月20日
地雷グリコ<青崎有吾>
2023年の作品で5話からなる連作集だ。運か実力か?、頭脳と戦略を駆使して、伏線と心理戦がゲーム・勝負に対して対戦が行われる。花札、ジャンケン、 ポーカー等の5つつのゲームに独自ルールを加えて、そこでの読みと駆け引きが繰り広げられる。
2024年01月20日
孔雀屋敷<フィルポッツ>
2023年に日本で編まれた作品集で、「必読短編集」となっており、代表作が集められたようだ。従って、過去にアンソロジー等で読んだ記憶がある作が 含まれる。そのジャンルも多彩となっている。
2024年01月20日
幽霊温泉<赤川次郎>
2004年の作品集で電子書籍で読んだ。主人公・は女子大生・永井夕子と宇野警部で、表題作を含む短編5作を収録する。どのような設定での事件でも有り なのだが、多くは主人公の2人が仕事以外でたまたま出会った事件となる。それはデビュー作以来のシチュエーションだ。
2024年01月20日
琵琶湖周航殺人歌<内田康夫>
1992年の作品で電子書籍で読んだ。浅見光彦シリーズの1作で、トラベルミステリだが、テーマ・背景として琵琶湖汚染問題や廃ビル等が描かれる。 琵琶湖周航の歌は哀歌として歌われ、過去からの事件との関係も描かれる。登場人物もそれに応じた年齢が高い人物が多くなっている。
2024年01月26日
煽動者<石持浅海>
2012年の作品で、2015年に文庫化された。反政府活動を行うテロ組織のメンバーがある施設に招集されて、子供に関わる武器を作って政府への不信感を 広げる作戦を感がる。そこで殺人事件が発生するが、警察に通報できずに自分らで解決を考える事になる。
2024年01月26日
天久鷹央の推理カルテ<知念実希人>
2014年の連作集だ。女医・天久鷹央が探偵役で、内科医見習いの小鳥遊優がワトソン役の医療ミステリのシリーズだ。総合病院の各科で診断困難に なった患者の真相を解き明かす。隠れた病の謎に加えて、人が行う犯罪計画や謎が隠れている事もある。
2024年01月26日
大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 両国橋の御落胤<山本巧次>
2016年に出版された、「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」シリーズの2冊目だ。現代のOLが江戸時代にタイムスリップした。過去と現在を行き来して 、江戸の事件を現在の科学も用いて捜査する。おゆうが次第に、岡っ引き役になって行く。
2024年01月26日
ファラデー家の殺人<アリンガム>
1931年の作品で、1957年に「手をやく捜査網」として抄訳が日本で出版された。2023年に完訳の本書が出版された。初出当時は初めての仕掛けがある 作品で、アリンガム初期の本格色の濃い作品とも言える。謎のある人物のキャンピンの捜査は謎もある。
2024年01月26日
嗤う淑女<中山七里>
2015年に出版され、2018年に電子書籍化されて、読んだ。各章が5名の名前であり、ある女性を中心に登場して5話が展開して、最後に連作長編として まとまり収束する。犯罪小説・詐欺小説とも言える展開であり、さらに意外な展開が約束されている雰囲気がある。
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2024/01に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。