推理小説読書日記(2023/06)
2023年06月06日
福徳円満!まねき猫事件ノート<水生大海>
2018年の作品で、まねき猫シリーズの3冊目で、3話からなる連作長編だ。まねき猫で黒猫でもある、他の猫の体を借りる主人公猫は、本作ではその乗り移りに 失敗が増える。猫は少女と共に、その原因を調べるために焼き物の町や伊勢に調べに行く、そして事件に出会う。
2023年06月06日
人を呼ぶ湖<橘外男>
2023年に復刊された個人アンソロジーだ。副題が「橘外男海外伝奇集」で、色々な時代と地域での奇談を集めた。ほとんどはこの作者の代表作であり、作品集 等への採用も多い。短編8作収録だが、個人的には未読は2作のみだった。復刊の少ない作者だがさらに重なりも多いのは宿命だろうか。
2023年06月06日
名古屋駅西喫茶ユトリロ 龍くんは引っ張りだこ<太田忠司>
2023年の連作長編で、シリーズ4作目となる。名古屋名物とそれも関わる色々な謎を休学中の学生・龍(とおる)が解く。コロナウィルス感染問題で食べ物店 は困っている状況だ、さらに龍も進路に悩んでいる。その中で色々な話題が登場してくる。
2023年06月06日
偽りのシスター<横関大>
2013年の作品で、2016年に文庫化された。兄の楠見太一は職をうしない探しているが弟には隠している、刑事の弟・和也は捜査中に人を撃つが上司の指示で 隠ぺいして弟にも言えない。悩む2人の前に、妹と言う宮前麻美が現れ一緒に暮らし始めた。訳が判らないままに、それぞれが色々な問題に関わることになる。
2023年06月06日
北緯43度のコールドケース<伏見美紀>
2021年の作品で江戸川乱歩賞の受賞作だ。札幌を舞台にした警察小説だ。前半は、多数の人物と事件が登場する。沢村依理子警部補の視点が中心で進むが、本人 自身が本庁や所轄のいくつかの部署を移る。後半になると退職を考え始めた沢村はある未解決事件の解明に深く関わって行く。一気にミステリ度と警察小説度がアップする。
2023年06月06日
じんかん<今村翔吾>
2020年の作品だ。戦国時代の大和国主・松永弾正久秀の幼少から織田信長と関わる晩年までを描いた、時代小説だ。三好元長ととの出会いから三好一族の争いに 巻き込まれて行く。さらには足利将軍家や筒井家との争いの中で、信長との駆け引きが描かれて行く。
2023年06月12日
モナドの領域<筒井康隆>
2015年の作品で2023年に文庫化された。全治全能の存在を設定して、その周囲で起きる殺人事件を描く。神ではないがそれに近い存在だという。法廷やマスコミ を舞台にして、全てを巻き込んだ壮大なストーリーが広がる。その世界観と思想は難解だ。
2023年06月12日
斬新THEどんでん返し<>
2023年のオリジナル・アンソロジーで単行本未収録の短編5作が収録される。本格から変格ミステリーがならび、時代ミステリや架空設定や犯罪ミステリが並ぶ。 類似のアンソロジーシリーズの1作だ。
2023年06月12日
共鳴<堂場瞬一>
2011年の作品で2015年に文庫化された。元刑事の麻生が、引きこもっている孫・将を引き取り住み始める。麻生は近所の事件に関わっているが、その捜査の 相棒に将を任命する。麻生の視点と、将の視点とから二人の生活と事件とが描かれて行く。
2023年06月12日
スクイッド荘の殺人<東川篤哉>
2022年の作品だ。烏賊川市シリーズで、私立探偵・鵜飼と助手・戸村が登場する連作でない、通常の長編だ。岬に建つスクイッド荘で依頼者の警護を行うが 死体が発見されて事件が起きる。珍しい大雪や地下洞窟の発見などで、雰囲気が盛り上がる、そしておなじみの刑事らが登場する。
2023年06月12日
べらんめえ大名<楠田匡介>
1955年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。時代小説、伝奇小説だが、作者は時代ミステリと言うようだ。藩の世継ぎ騒ぎの中で、浪人と世継ぎが 似ている?の状況で双方の視点で展開するが、実は・・・・。色々な思惑が入り交り、謎と伝奇的な展開が繰り広げられる。
2023年06月12日
本因坊殺人事件<内田康夫>
1985年の作品で、ノンシリーズの長編だ。囲碁の本因坊・高村が挑戦者・浦上に敗れた夜に、謎の死をとげた。高村と浦上の師匠・瀬川との対立の噂のなかで、 浦上が事件を調べる。浦上と瀬川の対局の中で、二人は盤上で何を表すのか。
2023年06月18日
フライ・バイ・ワイヤ<石持浅海>
2012年の作品だ。近未来を舞台にしたロボットミステリであり、学園ミステリだ。転入生としてロボットが来た、病気の生徒が操作する実験だと言う。 生徒たちはそうなのか、あるいは自立ロボットなのかを疑う。その中で殺害事件が起きて、そのロボット?に容疑がかかる。
2023年06月18日
新ふしぎなふしぎな物語<三橋一夫>
近年に発見された作品を集めて2023年に出版された。2022年に三橋の未発表の草稿が見つかった、それは吉田健一の遺品が神奈川近代文学館で展示された 時に三橋の草稿もみつかったものだ。それをまとめて出版された。
2023年06月18日
迷いアルパカを拾いました<似鳥鶏>
2014年の作品だ。動物園の飼育員らが主人公のシリーズで、3冊目だ。動物園絡みで次々と動物が絡む事件が起きる。一方で飼育員の友人が失踪する。 双方の事件を調べて行くと接点が明らかになって行く、さらに隠れた闇が浮かびあがってくる。
2023年06月18日
時計泥棒と悪人たち<夕木春央>
2023年の連作長編ミステリだ。大正時代にワトソン役の私・井口が探偵役の蓮野と依頼された事件に絡む連作集だ。蓮野は銀行勤めを辞めて泥棒になった。 逮捕されたがその後に出獄した、そして井口と共に依頼された事件を調べて行く。
2023年06月18日
25時の妖精<大河内常平>
1960年の作品で、国会図書館デジタルコレクションで読んだ。女性の連続失踪事件から死体発見へ。サーカスの猛獣脱走事件へ。連続する自殺者の首が無い。 エジプトのミイラの謎。次々起きる事件を探偵・来栖谷が知らべると繋がりが浮かんでくる。謎の博士らが行う秘密研究は何か?。
2023年06月18日
リボルバー・リリー<長浦京>
2018年の作品で、2019年に文庫化された。大正12年の大震災とその後を舞台に百合と慎太が戦う。特殊部隊の訓練を受けた危険人物の百合は一度姿を消した、 だが慎太と出会い震災後の東京に現れる。そこで陸軍部隊との戦いが始まる。アクション小説だ。
2023年06月24日
幽霊屋敷<ディクスン・カー>
1940年の作品で1959年に日本で翻訳紹介された。2023年に新訳された。ギデオン・フェル博士が探偵役のシリーズ作品だ。幽霊が出る話がある屋敷を、購入 した人物が人を集めると、殺人事件が起きる。そこにはフェル博士も客に含まれており事件を捜査する事になる。
2023年06月24日
謎解き広報課<天祢涼>
2015年の作品で2018年に文庫化された。市役所職員・新藤結子が広報課に配属され、さらに広報誌の編集を命じられる。いやいや始めるが何故か取材先で 事件に巻き込まれてしまう。さらに上司と市長の思いにも巻き込まれて、いやいや広報誌を作るうちに状況も変化して行く。
2023年06月24日
任侠シネマ<今野敏>
2020年に出版され。2023年に文庫化された。ヤクザ阿岐本組の組長と組員が、壊れかけている事業の立て直しを頼まれて、立て直しを行うシリーズの5作目だ。 シリーズが進むうちに暴対法が変わり、ヤクザの環境も変わってきた。小説の内容もその影響で変化して行く。今回は映画館だ。
2023年06月24日
話を戻そう<竹本健治>
2023年の作品で、主に明治維新の頃の佐賀藩と江藤新平や大熊八太郎や秀島藤之助や田中岩次郎らの人物を中心に描く。本筋は時代ミステリとなっている。 だが直ぐに本筋から離れて佐賀に関する「あるある」の横道にそれる。それが驚くべき情報量だ。そして「話を戻そう」となるメタ構造の小説だ。
2023年06月24日
高座の密室<愛川晶>
2015年の作品集で、中編2作からなる。電子書籍で読んだ。落語寄席シリーズが複数ある作者の1シリーズの1作で、席主代理・希美子と従業員・義蔵の二人が 主人公だ。寄席の手品師と手品が絡む謎と、曲芸師と曲芸に絡む謎を解く。落語にまつわる話題も登場する。
2023年06月24日
向日葵は死のメッセージ<山村美紗>
1992年の作品集で、文庫化され、電子書籍で読んだ。ノンシリーズ1作と、キャサリンが探偵役のシリーズ3作からなる短編集だ。ただしノンシリーズ作でも 橋口警部補や葬儀屋・秋山が登場するので、京都が舞台の山村作品は全体がシリーズだとも言える。
2023年06月30日
虚構推理短編集 岩永琴子の密室<城平京>
2023年の作品集で、虚構推理シリーズの6作目となっている。虚構推理の概念になじまないと、理解しがたいシリーズであるし、架空設定とかSF設定とか とも言い難い、独自の世界がある。非科学的な現象、あるいは怪異現象的な世界観が強く漂う。
2023年06月30日
ガーディアン<石持浅海>
2008年の作品集で、2010年に文庫化された、中編2作からなる。ガーディアンという存在により守られている女性を主人公にし、続編では同じ状態のその娘が 主人公になる。主人公の意思では無い、だが危害がおよびそうになるとそれを排除する状況が現れる。その設定での奇妙な現象の謎が登場する。
2023年06月30日
文豪たちの妙な旅<>
2023年に編まれたアンソロジーで、純文学の文豪たち8名が書いた、旅にまつわり、さらにミステリー感のある作品を集めた。1,940年から1970年の間に死去した 作者たちを対象にしている。類似アンソロジーで馴染みの作者も多い。
2023年06月30日
闇が迫る マクベス殺人事件<ナイオ・マーシュ>
1982年の作品で、2023年に翻訳して日本に紹介された。第1部では演劇「マクベス」のリハーサルと開幕までを、そして開幕する舞台を描く。第2部では開幕後に 人気となるが、舞台中に殺人事件が起きる。舞台を見ていたアレン警部が捜査する事になる。半分がミステリー的な作品だ。
2023年06月30日
少女ミステリー倶楽部<>
2004年に出版された、 2017年の編まれたアンソロジーで、少女が登場・活躍する短編を集めた。13作が収録されるが、著名作家が多く、さらに著名な作品もいくつか含まれている。 選考理由として作品が収録されている個々の作品集が現役のものは避けている、また少女がネタばれになる作品も避けている。
2023年06月30日
警視庁アウトサイダー<加藤実秋>
2021年の作品で、連作形式であるが、全体としても個別の話以外に繋がりもある形をとる。所轄刑事・蓮見と架川とがコンビだが、どちらも曰くある経歴だ。 それが背景になりながら、個別の事件が描かれる。続々と周囲のサブキャラクターが登場する。
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2023/06に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。