推理小説読書日記(2023/03)
2023年03月02日
ブレシットン海岸の死<レオ・ブルース>
1959年の作品で、1991年にファンクラブ会誌で翻訳され、2022年それを基に復刊された。教師・ディーンのシリーズの1作だ。田舎町で殺害された作家の事件を、 教師が休暇を取って調べる。いつもは反対の強い校長が、何故か乗り気?。証拠の見つからない事件は解決できるか。
2023年03月02日
蒲団<橘外男>
2022年に再編集で復刊された作品集だ。副題が「橘外男日本怪談集」であり、この分野の代表作を収録した。それ故に既読作も多く、7作中の4作が既読だ。 入門の位置つけと思うが、ファンならば既読作が多くなるセレクトだ。単行本や、文庫版短編集とほぼ重複している。
2023年03月02日
四国情死行<西村京太郎>
2000年の作品集で、2003年に文庫化された。十津川警部シリーズの短編集で4作収録する。トラベルミステリとサスペンス色の双方があり、さらには十津川の 解決のための強引とも言える捜査と作戦が目立つ。
2023年03月02日
ギガース2<今野敏>
2002年の作品で、2008年に文庫化された。宇宙海兵隊ギガースシリーズの第2作だ。ガンダム型戦闘機が参加する、地球連合軍と木星等の外惑星軍との闘いを描く。 海軍と空軍との食い違いや、新兵器ギガースの操縦者の女性との食い違いのなかで、出会いと同一隊としての集まりと闘いを描いて行く。
2023年03月02日
空をこえて七星のかなた<加納朋子>
2022年の作品で、個別短編集を思わせる5話と、それらが繋がる形で展開する2話からなる、連作長編だ。キーワードの星があるが、連作かどうか?。 それぞれが日常の謎を含んで展開されて終わる。そこに登場した人物が、最後に再度登場して繋がる。七星は1話の少女の名であり、北斗七星でもある。
2023年03月02日
呪殺島の殺人<荻原麻里>
2020年の作品だ。作家・赤江神楽の住む赤江島、通称・呪殺島の館に閉じ込められ起きた殺人事件を描く。記憶喪失の容疑者の一人称で描かれるのが特徴だ。 さらに救助に来た筈の巡査も死体で発見されるが、どうやって来れたのが疑問だ。内部犯か外部犯か?。
2023年03月08日
殺人はフルコースのあとで<辻真先>
1992年の作品で、副題は「長良川鮎づくしツアー死体つき」だ。記者・可能克郎と妻・智佐子が主人公のシリーズだ。行く先先に事件が起きる、さらにそれを 解決するのが「居合わせた誰か」で、その力を借りて謎が解決される、勿論それが誰かはその時まで判らない。
2023年03月08日
クローン・ゲーム<横関大>
2019年の作品で、2022年に文庫化された。クローン人間が存在するがそれが隠蔽されている架空の世界での事件を描く。クローン作りの狙いは何か、それを監視する 組織の目的は、クローンがいると何が起きるか。そしてその行くつく先は何か。
2023年03月08日
稲妻左近捕物帖6<九鬼紫郎>
1953年から1956年書かれた短編作品で、2023年に再編集出版された。同心・稲妻左近と岡っ引き・吉五郎が活躍するシリーズで、全集6冊の最終巻だ。ジュブナイル 作や、稲妻左近は登場しなく吉五郎が活躍する作品も収録された。ホームズ的なミステリの捕物帖だ。
2023年03月08日
夢の終幕<堂場瞬一>
2022年の作品で警視庁特殊能力班シリーズの2作目だ。本作では最年少の最上刑事の視点で描かれる。バンドメンバーの失踪事件から始まり、殺人事件に展開する。 音楽業界とバンドとメンバーと芸能界の世界の中で、担当部署が曖昧な事件を担当する特殊班が捜査する。
2023年03月08日
老虎残夢<桃野雑派>
2020年の作品だ。舞台は中国のチンギス・カン登場直前で、海の孤島の中の湖の中にある小さな島だ。老武侠の死体が雪の中のその島で見つかり、僅かな距離だが 船でのみ行ける。武芸の優れた弟子には空間を跳んで行ける能力を持つ者もいる。弟子らは内部犯を調べるが、動機も犯人も島に行く方法も不明だった。
2023年03月08日
密室殺人<楠田匡介>
1959年の作品集だ。田名網警部が探偵役の短編集だ。密室事件や意外な凶器、死体処理やアリバイ等が登場する。舞台がばらばらで、なぜか田名網が登場する のか不明な作もある。本の題はやや紛らわしい。国会図書館デジタルコレクションで読んだ。
2023年03月14日
首切り島の一夜<歌野晶午>
2022年の作品だ。孤島に40年ぶりに同窓生があつまり修学旅行の再現を行う。だが荒天で閉ざされた夜が過ぎ、死体が発見される。そこから参加した人物の回顧と 現在の思いが描かれる。だがそれは捜査とも言えない。再後半8割くらいが過ぎて、救助が来て一気に捜査が始まる。その展開は意図が判ら難い。
2023年03月14日
温かな手<石持浅海>
2007年の連作作品集で、2010年に文庫化された。人間のエネルギーを吸う謎の生命体の兄妹が登場し、それぞれのパートナーの人間とで事件を解明する。 さらに2組が会うと次の展開が起きて行く。特殊設定からはさらにその奥にある設定が隠されている、その解明が全体のテーマとなっている。
2023年03月14日
きみの正義は 社労士のヒナ子<水生大海>
2019年の作品で2021年に文庫化された。「社労士のヒナ子」シリーズの2作目だ。主人公・ヒナ子は2年目になり成長しているが色々な労働問題とその会社で の事件にかかわる。労働トラブルとその会社での事件が繋がるか、別なのか?。依頼者の会社と労働者双方を考えて、さらには事件も解決する。
2023年03月14日
あれは子どものための歌<明神しじま>
2022年の作品集だ。2010年の「商人の空誓文」、2013年の「あれは子どものための歌」に2019年の1作と2022年の書下ろし2作からなる短編集だ。架空の時代と場所 を舞台に、同じ名前の人物が登場するが連作を意識するかは微妙だ。書かれる時間が長かった作品集だ。
2023年03月14日
ローズマリーのあまき香り<島田荘司>
2021年から2023年に雑誌連載された作品で、御手洗潔が登場する。ビルの高層階の劇場で、公演中に世界一のバレリーナが殺された。死んだ後にも踊ったとも言う。 複数の密室状態の死の謎は世界中の関心となるが解明されなかった。後日に御手洗が謎を世界各地を調べて解く。作者らしい膨大な謎だ、ただし高層ビルの事件は 島田の前作に既視感はある。
2023年03月14日
黒衣の魔女<高木彬光>
1954年の作品で国会図書館デジタルコレクションで読んだ。古沢三郎博士と古沢美和子と三千夫姉弟の家族が魔女事件に巻き込まれる、あるいは積極的に関わる。 神津恭介がそれに協力して解決する。人間改造から信玄の宝捜し、毒蛇と毒トリックと拡がる、ジュブナイルのミステリだ。
2023年03月20日
森江春策の災難<芦辺拓>
2022年の作品集で個人作品集には未収録の短編の連作集だ。「日本一地味な探偵」と作者が言うが、登場作は基本は本格ミステリだ。ただし本作品集に関しては 飛び道具というかパロディと言うか、地味で落ち着いた作品は少ない。そこには発表先や注文等の事情があったようだ。作者は災難よりは、楽しんだように見える。
2023年03月20日
シュレーディンガーの少女<松崎有理>
2002年の作品集で、6編からなる短編集だ。作者は本作を「絶望に満ちた世界で戦う女たちを描いた作品集」と言い、女性が主人公だ。架空設定と言うか 純SFであり、題名も内容も科学からの取材と展開があふれていて、雑学的な知識も多数盛り込まれている。そこにはユーモアもある。
2023年03月20日
人狼ユーグその他の奇譚集<エルクマン・シャトリアン>
2022年に同人出版された、中編と短編11作からなる作品集だ。怪奇と幻想の作品だろう。この作者の日本紹介作品は少ないようだ。短編では内容的には、ジャンル 的には明確でなく、奇妙な話といえる掌編の」集まりだろう。
2023年03月20日
誘拐屋のエチケット<横関大>
2020年の作品で、2022年に文庫化された。誘拐のプロの、誘拐屋が主人公だ、それがプロモーターから命じっれて新人と組み合わされてその行動に悩まされる。 その結果で次々事件に巻きまれて行く。連作集だが、最後に全体を貫く事件と結果が待っていて、長編となって終わる。
2023年03月20日
死にたがる女<笹沢左保>
2000年の作品集で、2019年に文庫化された。所轄久我山署刑事らと捜査1課とが5短編で事件を解決する。多数の刑事らが登場して、捜査する。警察小説だが やや変わった展開と視点で、描かれる。
2023年03月20日
ゴリラ裁判の日<須藤古都離>
2022年の作品で、雑誌掲載後に2023年に単行本化される。手話で人間との会話が出来る様になったゴリラが主人公で、その1人称で語られる。架空設定と読むか 近未来の科学と読むかは読者で異なるだろう。人間社会から見たゴリラと、ゴリラから見た人間とが描かれて行く。
2023年03月26日
サム・ホーソーンの事件簿4<ホック>
1935年から1937年に書かれた短編を再編集して翻訳した日本独自の短編集で、シリーズ4作目だ。医師・ホーソーンの1人称で新任看護師のメリー・ベスト とで事件を解明する。不可能犯罪や不可解犯罪が中心であり、当時のアメリカの情勢と共に描いている。
2023年03月26日
不可能な過去<堂場瞬一>
2023年に出版された、警視庁追跡捜査係のシリーズの11作目だ。沖田は裁判で無罪になった男の事件を調査する。一方、西川は神奈川県警でアドバイザーを勤め ると未解決事件に出会う。無関係な双方が、繋がり会う展開となる。追跡係の新課長・水木京佳に2人は悩まされる。
2023年03月26日
魔法使いと最後の事件<東川篤哉>
2019年の作品で、2022年に文庫化された。八王子署刑事・小山田と魔法使い・マリィのシリーズの4作目だ(帯では完結編となっている)。魔法では犯人が 直ぐに判ってしまうのだが、厄介な上司・椿木警部も絡んでいて簡単には終わらない展開となる。
2023年03月26日
妖異川中島<西村京太郎>
2011年の作品で、2021年に文庫化された。武田信玄と上杉謙信の川中島の闘いの故事を背景にしている。社長が信玄と謙信を信奉する企業が対立して、ついには 現代の川中島合戦を企画した。その中で双方で殺人事件が発生して、十津川警部らが調べると意外な展開になる。
2023年03月26日
月夜行路<秋吉理香子>
2022年から2023年に雑誌連載された作品だ。専業主婦・涼子は夫の浮気を疑い、追うと女性姿の男性のクラブに着く。そこのママと話す中で初恋の相手を大阪に 行き探す事になった。ママは行動派で推理力もある、さらに文学おたくで文学碑等を併行して訪ねて歩く事になる。急造2人組の珍道中となった。
2023年03月26日
地獄の旅券<鷲尾三郎>
1958年の作品集で、長編「地獄の旅券」に短編2作が加わった本だ。国会図書館デジタルコレクションで読んだ。長編は主人公のバンドマンが殺人事件の遭遇し、 犯人と疑われて、調べ始める。さらには誘拐事件が起き、国際ギャングの密輸に関わる、ハードボイルドスタイルの探偵小説だ。短編は「こうけつ(漢字が難しい) 警部補が登場する。
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2023/03に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。