推理小説読書日記(2022/11)
2022年11月02日
方舟<夕木春央>
2022年の作品だ。帯に並ぶ推薦人の数の多さが目立つ。地下施設「方舟」の中に3グループが岩で閉じこめられる。そこから脱出するには、装置を 操作する1名が取り残される。その状況で殺人が起きて、犯人に残る役をさせる為に犯人探しが始まる。タイムリミットまでに、犯人が見つかり脱出できるか?。
2022年11月02日
探偵さえいなければ<東川篤哉>
2017年の作品集で、2020年に文庫化された。通称・烏賊川市シリーズであり、明確な主役は固定されていないがシリーズに登場するキャラクターが登場する。 街が舞台の短編集で共通するのは、ユーモアと本格ミステリで、犯罪が似合う街の烏賊川はユーモアも似合う。
2022年11月02日
九龍城の殺人<月原渉>
2022年の作品で、1980年代の香港の九龍を舞台にし、さらにそこの裏社会の魔窟の九龍城での事件を描く。主人公は母が死に骨を届けに香港に行く。 そこで複数の人物に会い、母の過去をたどると九龍城に辿り着く、そこで事件が起きる。
2022年11月02日
メゾン・ド・ポリス3<加藤実秋>
2019年作品で、副題が「退職刑事とテロリスト」の長編だ。退職刑事のシェアハウスと女性刑事での警察小説シリーズの3作目で、初めての長編だ。 爆弾事件からテロの疑いが起きる。迫田元刑事の家庭と息子の関係が絡んで進行する。
2022年11月02日
100億人のヨリコさん<似鳥鶏>
2017年の作品で、2019年に文庫化された。ホラーに分類されるのだろう。架空設定であるがSFとは異なる。壊れかけた奇妙な寮から始まり、幽霊現象から その原因がキノコを食べた時の幻覚症状かと思われるが・・・。幻覚の世界がホラータッチで展開する。
2022年11月08日
仕掛島<東川篤哉>
2022年の作品だ。クローズド・サークルの島に建つ奇妙な建築物が舞台に殺人が起きる。題名から仕掛けがある場所でそれが関わる犯罪だと解明される展開だ。 探偵役とワトソン役の女性の掛け合いがユーモアミステリの色が濃い。過去の事件と現在の事件が、仕掛けを通じて解明される。
2022年11月08日
稲妻左近捕物帖2<九鬼紫郎>
1949年から1952年の短編を、2022年に再編集して復刊された。江戸の同心・稲妻左近が岡っ引き・吉五郎が奇妙な事件を解決する。時代小説ならではの 狐憑き・陰陽・霊・厄除け等が絡む事件と動機の比率が多い。論理的解決ではなく、思い付き的な解決が多いと感じる。
2022年11月08日
ランチ探偵 彼女は謎に恋する<水生大海>
2022年の作品でランチ探偵シリーズの3冊目の短編集だ。ランチで合コンして安楽椅子的に謎を解くのが出発点のシリーズだ。本集ではコロナ・ウィルス感染 問題が起きて、同席食事制限が始まり、次にリモートワークが始まり、テイクアウトでの合コンがあり、そして感染問題が収束して行く。結果的にバラエティに 富んだ作品集となった。
2022年11月08日
白い悲鳴<笹沢佐保>
1991年の作品で2019年に文庫で復刊された。4作からなる短編集だ。犯罪小説的な展開のなかで、ミステリ的などんでん返しを設定した短編を集めた。 人間心理の謎とも言える。
2022年11月08日
大鞠家殺人事件<芦辺拓>
2021年の作品だ。舞台は昭和19年kら21年の大阪で、化粧品販売で大きくなった豪商一家が、戦争の影響等で一家も環境も激変する。その中で起きる事件では、 過去からの原因か、一家の中の問題か、外部からの問題か広すぎる。さらに大空襲で被災した中で探偵役が登場して解明に向かう。
2022年11月14日
阿津川辰海読書日記<阿津川辰海>
2022年に出た、読書日記・解説・エッセイを集めた個人読書日記だ。登場する本と作者は多彩で、しかも膨大な数になる。未読の作者も多数あり、辞書の 意味合いも強い。未読の作者については深く読まず、あるいは読めずとなる。それはやはり辞書的だ。
2022年11月14日
シャーロック・ホームズ ジュニア翻案集<>
2022年のアンソロジーで、1932年から1951年のホームズの翻案集だ。翻案とは海外小説の翻訳で、人物や舞台を日本のものに置き換えた小説で、明治・ 大正・昭和初期に有った。山岡宗八、島田一男、大倉てる子、大下宇陀児が収録されている。
2022年11月14日
ゼロ計画を阻止せよ<西村京太郎>
1977年の作品で2000年に文庫版復刊された。私立探偵・左文字進と妻・史子が主人公のシリーズの1冊だ。首相を誘拐拉致して、政府に身代金を要求した 犯人グループと警察と左文字らの闘いを描く。だが犯人グループ内で食い違いがあり、首謀者の本当の狙いが判らない展開となる。
2022年11月14日
断罪のネバーモア<市川憂人>
2022年の作品だ。警察が不祥事から民間組織に活動を委託した、その世界での捜査員の薮内唯歩が主人公だ。連作短編の警察小説の形態で進むが、設定と 連作構成から最終話が反転した展開となり、警察小説で本格ミステリと紹介されている。
2022年11月14日
誤ちの絆<堂場瞬一>
2022年の作品で、警視庁犯罪被害者支援課シリーズの後継シリーズの警視庁総合支援課シリーズの第1作だ。主人公は新しく加入した柿沼晶で、彼女が 全シリーズからのメンバーらと加害者支援を試行錯誤で開始する。
2022年11月20日
自分だけの一冊<北村薫>
2010年のエッセイ集だ。副題が「北村薫のアンソロジー教室」で、カルチャーセンターで話した記録だ。出席者が最後にアンソロジーのリストを作成する事で 3回の講義が終了する。作者が印象に残るアンソロージーと自身が組んだアンソロジーを語る。
2022年11月20日
呪縛伝説殺人事件<羽純美雪・二階堂黎人>
2022年の作品で、2人の合作だ。ある村で子供が神隠しから死体で見つかる事件が続いた、本当か伝説か?。2つの旧家が対立する村に主人公が行くと、許嫁が 密室で自殺?する事件が起きた。主人公はそこで暮らし始める。その中で第2・3の事件が起きる。過去と風習と対立の村の事件が半分閉ざされた雰囲気で展開する。
2022年11月20日
ダンガンロンパ霧切6<北山猛邦>
2014年の作品で、シリーズの6作目だ。霧切響子と五月雨結が宿敵の委員会と争うが、そこに他の探偵と犯罪者が加わり、殺し合いが激しくなって来た。霧切は あえて挑戦状を無視したが、勝つと思っていた側が死んだ?。その中で新たな依頼があり、争いの中に呼び出されて行く。
2022年11月20日
透明人間は密室に潜む<阿津川辰海>
2020年の短編集で、2022年に文庫化された。連作ではなく独立した長めの短編4作が収録される。架空設定のミステリ、裁判員裁判のミステリ、特殊な耳の能力を 持つ主人公のミステリ、船で開催されたミステリ・ナイトを描いたミステリが集まり、多彩な内容があふれている。
2022年11月20日
九人の偽聖者の密室<H/H/ホームズ>
1940年の作品で雑誌別冊宝石で「密室の魔術師」として翻訳されていたが、2022年に新訳で出版された。雑誌は見つけやすい部類だが読みやすいとは思えなかった。 今回は再読になるが、尼僧とカーの事くらいしか記憶がなかった。読み終えて内容が整理出来た、新訳の効果なのだろうか。再読したくなる事も大事だろう。
2022年11月26日
お客さまのご要望は<水生大海>
2022年の作品で、副題?は「設楽不動産営業日誌」で4話からなる連作長編だ。主人公の真輝は祖母が営む不動産屋で働く。そこでは不動産屋に関わる色々な トラブルに巻きこまれる。不思議なトラブル・事件に関わるうちに、自分自身の幼少時の誘拐事件の過去にも関わって行く。
2022年11月26日
きみのために青く光る<似鳥鶏>
2015年に出版され、2017年に改題して文庫化された。連作ともオムニバスとも言える連作長編だ。特殊な能力を持つ人らが主人公で、架空設定とも幻想ともサスペンス とも言える。さらに能力を持った少年少女が成長する家庭をも描く事で青春小説の一面も持つ。
2022年11月26日
殺しへのライン<ホロビッツ>
2021年の作品で、2022年に翻訳・商業出版された。元刑事の探偵役のホーソーンと筆記者で作家のホロビッツが登場するシリーズの1作だ。本作は島で開催されたフェス に2人が参加して、そこで起きた殺人事件を解決する。一応は限定された空間での捜査であり、他のシリーズとはやや趣が異なる。
2022年11月26日
invert 城塚翡翠倒叙集<相沢咲呼>
2021年の作品で、城塚翡翠が主人公のシリーズの2作目だ。犯人側から描く倒叙ミステリの方式をとる3話の連作だが、連作長編の形をも持つ。目次に『「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」の結末に触れている』との注意があるので注意が必要だ。翡翠側からも並行して描かれて、収束して行く。
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2022/11に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。