推理小説読書日記(2022/10)
2022年10月03日
急行アルプス殺人事件<西村京太郎>
2011年の短編集だ。十津川警部シリーズの短編4作を収録した。いずれもトラベルミステリであり、題名に鉄道路線名や列車名が付いている。鉄道は時代で 変わるので、現在では運行していない。ただし鉄道トリックかどうかはそれぞれで異なる。
2022年10月03日
振袖小姓捕物控4<島本春雄>
1952年-1954年の作品と1960年の作品を、2022年に再編集して復刊された。同心・振袖美祢太郎が主人公の捕物帳だが内容的には伝奇色が濃い。1954年で一旦 連載が終わったが、1960年に短い長さの短編で連載が再開した、短い故に伝奇色は弱くなり捕物帳に近い内容となった。
2022年10月03日
執着<堂場瞬一>
2013年の作品で2015年に文庫化された。県警捜査1課の澤村慶司が主人公のシリーズ3作目だ。澤村が長浦南署に異動が決まるが、その直前にその署でストーカー 被害届を受理しなかった女性が新潟県で殺害された。警察の大失態で大騒ぎの中で、新潟県警とその所轄の捜査が始まり、非公式に県警と長浦南署の捜査も始まる。 異動前の休暇中の澤村もなぜか加わる。
2022年10月03日
帝都争乱<今野敏>
2020年作品で、2022年に文庫化された。明治時代の警視庁を舞台にした警察ミステリで、サーベル警視庁のシリーズ2作目だ。第1作目で登場した警視庁の刑事ら に加えて、藤田五郎・城戸喜子・西小路臨三郎らのメンバーが登場する。日露戦争後の政治への不満が暴動に発展しつつあった、その時に首相の妾宅で起きた事件を 捜査する事になる。
2022年10月03日
冤罪犯<翔田寛>
2017年の作品で、文庫化を電子書籍で読んだ。船橋署の刑事・香山と新人女刑事・増岡が登場するシリーズ作だ。児童殺害事件の捜査中に過去の似た事件との関連が 出て来た。偶然か、模倣犯か、さらには過去の事件は冤罪だったのか憶測が出た。過去の事件との関連を否定する上層部と、疑う香山らがそれぞれ捜査する。
2022年10月09日
情無連盟の殺人<浅ノ宮遼・眞庵>
2022年の作品で、初長編で合作となった。架空の病気により、情が無くなった人が集まって生活する中での事件が描かれる。全てが理のみで動き、殺人事件 への対応も同じだ。そもそも感情がない所で、何故に殺人が起きたのか。僅かに情が残る主人公が調べる事になる。
2022年10月09日
サム・ホーソーンの事件簿6<ホック>
2009年に日本の独自編集で出された作品集で短編12作を収録する。医師・ホーソーンシリーズの最終作品集となった。時代設定は1941年から1944年の アメリカで、真珠湾攻撃から太平洋戦争のニュースの中だ。その中でホーソーンは獣医師のアナベルと結婚するが、戦争が始まり新婚旅行は中止になった。 そしてこのシリーズは、作者の死で中絶となった。
2022年10月09日
熱望<水生大海>
2013年の作品で、2020年に文庫化された。清原春菜は田舎から都会に飛び出して自立を目指した。だが目途が立たずに結婚を目指すが逆に結婚詐欺にあう。 逃げ出して詐欺師になるが、次々にトラブルに巻き込まれて逃亡生活になる。その先でもさらにトラブルが続く・・・。
2022年10月09日
シャーロック・ホームズの不均衡<似鳥鶏>
2015年の作品だ。名探偵の遺伝子を持つ妹・七海を兄・直人は庇おうとする、見かけは探偵だが実際は妹の推理に頼る。秘密機関から能力を狙われ、 さらにそれは妹に向けられる。その中で兄妹は生き残れるのか。
2022年10月09日
薬屋のひとりごと<日向夏>
2014年の作品で、2017年に文庫化された。電子書籍で読んだ。猫猫(まおまお)は薬師で底辺に住む娘だが知恵はある。それが後宮に呼び出されて、 毒味役にさせられた。だが薬と毒は詳しく、毒を僅かづつ飲んで強い体質を持っていた。知恵で後宮での問題を解決して行く事になる。
2022年10月15日
人間じゃない(完全版)<綾辻行人>
2017年の短編集で、2022年に再編集して文庫化された。短編の少ない作者の単行本未収録短編を集めた短編集だ。1993年から2016年の短編を集めたが、 文庫化時に2017年の短編が加わった。個別には過去に読んだ記憶がある作品もいくつかある。多彩な内容と言える。
2022年10月15日
風神館の殺人<石持浅海>
2018年の作品で。2022年に文庫化された。風力発電機会社から被害を受けた10人が保養所に集まり責任者3人への復讐を始めた。1人目を殺害したが その後にメンバーが殺害された。復讐続行かを悩むと、さらに殺人が起きて行く。犯人探しを行いながらも復讐計画も進めて行く。
2022年10月15日
メフィスト2022夏<>
2022年10月21日
ネクスト・ギグ<鵜林伸也>
2018年の作品で2022年に文庫化された。作者の最初の長編で、ロックバンドとそこが出演するライブハウスが舞台だ。そのライブ中に殺人事件が起きた。 そこの女性スタッフ・梨佳の視点でバンドの人々とライブハウスと事件が描かれる。音楽の比重も大きいが謎もしっかり設定されている。
2022年10月21日
2022年8月の雑誌「メフィスト」の増刊号だ。内容は「あなたへの挑戦状 阿津川辰海X斜線堂有紀 ミステリ競作録」で、後に単行本になった。 阿津川「水槽城の殺人」と斜線堂「ありふれた眠り」が掲載されているが、競作についてとか挑戦状の意味は、ネタばれ極秘となっている。
2022年10月15日
殊能将之未発表短編集<殊能将之>
2016年の連作集で、2022年に文庫化された。作者は2013年に死去したが、その後に未発表作3作と日記風エッセイが作品集にまとめられた。 当然に内容もバラバラであり、長編とも異なるが、作品数の少ない作者故に貴重とも言える。
殺意の雨宿り<笹沢左保>
1998年の作品で、2019年に文庫で復刊された。遠野市で雨宿りで偶然に出会った女性4人が、その後に交換殺人を企てる。その出会いから、犯行計画、 そしてその経過と結果までを描く。4人での交換殺人のアイデアと顛末がテーマだ。
2022年10月21日
稲妻左近捕物帖1 花火車<九鬼紫郎>
1942年から1948年の作品を、再編集して20022年に復刊された。南町奉行所同心・青山左近こと通称稲妻左近と岡っ引きの脂下りの吉五郎が活躍する捕物帖だ。 執筆期間は長いが、第1巻は戦前作に一部戦後作が加わった。第1巻は内容的には謎解きを含む捕物帖だと言える。
2022年10月21日
兇人邸の殺人<今村昌弘>
2021年の作品だ。葉村譲の視点で描く剣崎比留子の探偵談の3作目だが、そこにもう一人の登場人物・剛力京の視点が加わる、さらに正体不明の私の追憶が 加わる。架空の怪人との争いの中での殺人事件が描かれるが、サスペンス色が濃くなっている。剣崎の行動が制限され、かつ葉村と会話はあるが離れて進行する。
2022年10月27日
華麗なる誘拐<西村京太郎>
1977年の作品で、2000年に復刊された。私立探偵・左文字進のシリーズの1作だ。日本国民全員を殺害すると脅迫して人質にして、政府に身代金を要求する。 拒否された犯人は意外な方法で国民から金を集めようとした。西村作品でしばしばある、複数犯人グループの大きな犯行が描かれる。
2022年10月27日
煉獄の時<笠井潔>
2022年に出版された。矢吹駆とナディア・モガールが主人公のシリーズ7作目で(番外2作を除く)、雑誌掲載後長く停滞していたので一気に読んだ。 大長編だがシリーズ内では読みやすい作品だ。小説の現在は1978年で、過去の1939年も描き、そこから以降を調べて語る。第二次世界大戦のドイツのフランス 侵攻時期の首無し死体事件と、似た事件が現在に起きる。駆らは手紙の消失と首の消失と指の消失を、過去を含めて調べて行く。
2022年10月27日
代診医の死<ジョン・ロード>
1951年の作品で、2017年に翻訳・商業出版された。作者は膨大な作品を書いて、作品の出来にばらつきがあると言われているらしい。個々の作品の評価が別れるようだ。 本作は穏やかな進行の中に大きなトリックが仕掛けられる。内容を語り難いのが厄介な作品だ。
2022年10月27日
逸脱<堂場瞬一>
2010年の作品で2012年に文庫化された。捜査1課・澤村慶司シリーズの第1作目だ。澤村とプロファイル担当の橋詰の設定がかなり歪んでいると、次第に判ってくる。 堂場作品には時々に厄介な主人公が登場する。主人公以上に厄介な人物を登場させる必要になり、荒れた小説内容になる事は避けられない。
2022年10月27日
クスノキ番人<東野圭吾>
2020年の作品だ。東野作品の1ジャンルの架空設定の元での、複数の人間模様を描く小説だ。クスノキに祈念して、想いを伝えて行く、それに関わった主人公 が多数の人の持つ問題に関わって行く。そこから自身の問題へも繋がって行く。
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2022/10に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。