推理小説読書日記(2022/09)
2022年09月03日
十津川警部 幻想の信州上田<西村京太郎>
2006年の作品で2009年に文庫化された。十津川警部シリーズの1作。現場にあった6枚の一文銭は、三途の川の意味か真田家の家紋なのか、手掛かりを 探すと、真田家子孫らしきが殺害される事件が起きる。事件の裏の隠された事件を十津川は疑い捜査する。
2022年09月03日
だからあなたは殺される<水生大海>
2017年の作品で2020年に文庫化された。刑事・汐崎正義は家庭の理由で離れていた妹・持田優奈を引き取り二人で生活を始めた。モデル殺害事件の捜査で 、優奈が関係者に近い場所にいると知って捜査の協力を頼む。兄と妹の視点から、生活と捜査が描かれて行く。そこでの食い違いが、意外な展開を見せる。
2022年09月03日
虹の彼方へ<榊原史保美>
1997年の作品で、「BREAK OUT SERIES」の3作目だ。学園小説で恋愛小説で、音楽小説の要素もある。寡黙な人物の一人称で語られるだが、その人物自身が 奇妙な人物との設定で、それは判り難い視点とも言える。
2022年09月03日
円居挽のミステリ塾<>
2022年のトーク集だ。円居がゲストと対談して作家デビューを聞き出す。ゲストは、青崎有吾・斜線堂有紀・日向夏・相沢沙呼・麻耶雄嵩の5人だ。 困った事に読んでいない作者が複数いて、さすがに内容は理解できない。一般論ではないから当然だ。
2022年09月03日
モリアーティ<ホロビッツ>
2015年の作品で、2018年に文庫化された。コナン・ドイル財団公認作品という。ホームズとモリアーティが滝に落ちた日の、5日後に現場に2人が来る。 探偵社調査員とスコットランドの警部が、モリアーティと近い裏組織を追う事から始まる。パステーシュであり、意外な展開を示す。
2022年09月09日
どんでん返し<笹沢左保>
1981年に出版され、2014年に文庫化された短編集だ。短編6作が収録されるが、全て会話文だけで構成されている。どれもがミステリとしては軽いが、 それが会話だけのやりとりと合いしっくりする。当然ながら登場人物も少なく、よく整理されている。
2022年09月09日
ブラック・シャーマンと名もなき町の殺人<東野圭吾>
2020年の作品だ。父が死んだ事で主人公のその娘は故郷に戻る、そこは小さな町だが停滞した町おこし等の問題はある所だった。そこに奇術師の叔父が 現れて口八丁手八丁で周囲を驚かす。やがて娘と叔父は父の死の疑問から真相を、コロナ感染問題の最中の町で2人が調べて行く。
2022年09月09日
メゾン・ド・ポリス4<加藤実秋>
2019年の作品で、シリーズ4作目だ。5話からなる連作集で、元警官らが集まるシェアハウス住人と所轄の女刑事が色々な事件を解決して行く。ついには その元刑事に殺人容疑がかかったり、一人の刑事の43年間の思い出の真相を追って故郷に出かけて行く。
2022年09月09日
長き雨の烙印<堂場瞬一>
2007年の作品で、2010年に文庫化された、長編連作「汐灘サーガ」と帯に書かれている。茨城県付近の架空の町・汐灘が舞台だ。少女殺害未遂事件が起きて、 20年前に似た事件で服役した男が逮捕されたが、証拠がなく釈放された。その男とかっての友の刑事と、弁護士と、逮捕した刑事と、双方の事件関係者が、 巻き込まれて行く。
2022年09月15日
無垢なる花たちのためのユートピア<川野芽生>
2022年の作品集だ。中編「無垢なる花のためのユートピア」「卒業の終わり」と、短編4作からなる。最近では架空の世界・設定での作品が増えている、 あるいは閉じられた・隔離された空間を描かれる事も増えている。本作も、箱舟とか閉ざされた学園とを舞台とする。SFやミステリ風味も強いが、 むしろ幻想小説色を感じる。
2022年09月15日
月灯館殺人事件<北山猛邦>
2022年の作品だ。雪に閉ざされた館では、老ミステリ作家が訳アリの作家らに部屋を提供していた。そこで起きた連続殺人事件を、残った住民らが調べる。 それぞれが過去と曰くがある人の集まりの中で、密室トリックが次々と登場する。動機や、事件の連続性が謎となりながら進行して行く。
2022年09月15日
西郷隆盛を救出せよ<横田順彌>
1995年の作品で2022年に文庫化復刊された。中村春吉が主人公のSF秘境小説シリーズの長編だが、本作に限れば架空設定だがSF要素は少なく、冒険小説 と言える。他のシリーズ作とは中村以外の登場人物は異なっている。この本には未収録の短編も複数が収録されている。
2022年09月15日
レジまで推理<似鳥鶏>
2016年の連作集で、2018年に文庫化復刊された。主人公のアルバイト書店員が働く書店を舞台にした、本と書店で起きる事件の謎を描く。4編からなるが、 書き下ろしの最終話が加わる事で連作長編的な感触も生まれた。作者自身の注記があちこちにあり、それも目立った特徴となっている。
2022年09月21日
本格王2022<>
2022年のアンソロジーで、本格ミステリ作家クラブ選・編の2021に発表された本格ミステリ短編のアンソロジーだ。作者は、道尾秀介、大山誠一郎、 芦沢央、方丈貴恵、浅倉秋成、森川智喜だ。本格推理以外は多彩な内容の、様々なスタイルと謎の作品が選ばれていて、作者によるコメントも注目だ。
2022年09月21日
心臓と左手<石持浅海>
2007年の作品集で2009年に文庫化された。座間味くんと大迫警部が登場する作品集だが、内容は大迫が話を語り、座間味くんが解き明かすスタイルの 短編集だ。この作者でしばしばテーマとなる、テロやハイジャック等の犯罪はここでも登場する。
2022年09月21日
千五百年後の犯罪<香山滋>
2020年に香山滋の幻想文学作品を中心に再編集された作品集だ。三一書房版「香山滋全集」は全部の作品ではないが、未収録はジュブナイル等が多い、 それ故に未収録ではなく再編集の作品集となったとされている。SF色も多く幻想作品と言っても多彩な内容だ。
2022年09月21日
アロワナを愛した容疑者<大倉崇裕>
2019年の作品で、2022年に文庫化された。警視庁いきもの係シリーズの5冊目だ。中編「タカを愛した容疑者」「アロワナを愛した容疑者」「ランを 愛した容疑者」からなる。福家警部補や二岡鑑識のゲストもあり、植物も登場した。闇組織「ギヤマンの鐘」が大きく関わる展開となった。
2022年09月27日
ノゾミくん、こっちにおいで<水生大海>
2020年の作品だ。「ノゾミくんを呼び、願う」という都市伝説を背景にしたホラーだ、ホラーミステリとも言える。高校の女性教師と、生徒で恋愛相手と、 その男の妹が中心で、そこに幾人かを加えての一人称視点を繋いで描かれて行く。刑事らの視点もあるのでミステリ展開もあるのだが・・・。
2022年09月27日
オペラ座の怪人<ルルウ>
古典的な作品だが、2022年に新訳されて出版された。パリのオペラ座のイメージを如何に持てるか、支配人も知らない場所が多数あり、そこに住む怪人が 色々の事件を起こして行く。ホラー、冒険、恋愛・・・、多彩な要素を含んだ大ロマンだ。翻訳と感じない訳文であり、テンポよく読める。
2022年09月27日
マシュマロ・ナイン<横関大>
2016年の作品で、2020年に文庫化された。高校で活動中止中の相撲部員9人で野球部を創り甲子園を目指す。腕力も運動神経もあるが、足は遅く動きは遅い。 元野球選手の監督はドーピング疑惑の過去があり、その真相も並行して展開する。ひたすらパワーバッティングの単純攻撃野球の行く先は何か?。
2022年09月27日
セブン殺人事件<笹沢左保>
1980年の作品で2016年に復刊文庫化された。7短編からなる連作集だ。考えも捜査でも対立する所轄の2人の刑事が7つの事件を捜査する連作集だ。 「3文字+殺人事件」の題名が並ぶ。ライバル刑事の一方が捜査本部と他方の方針に反対して捜査する。
2022年09月27日
ワトソン力<大山誠一郎>
2020年の作品で、連作長編だ。主人公の刑事は推理能力は無いが、周囲何メートルにいる人が推理力を発揮する。そのワトソン力で刑事がいる部署は 検挙率が高い。犯人も含めて推理力が高くなる。7話の事件と、全体を繋ぐ主人公がその能力故に狙われる事件の連作長編だ。未知の能力の架空設定だ。
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2022/09に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。