推理小説読書日記(2022/07)
2022年07月05日
馬鹿みたいな話!<辻真先>
2022年の作品で、戦前から戦後までを背景とした「昭和ミステリ」3部作の最終だ。昭和36年に放映が始まったテレビ局で、テレビドラマ制作の様子が実況 的に描かれる。その生放送のドラマ制作・放映中に主演女優が死ぬ事件が起きる。混乱しながら応急に対応する現場と、次の番組の為に解決が必要な現場を描く。 抜群の臨場感に引き込まれる。
2022年07月05日
スマイルメーカー<横関大>
2015年の作品で、2018年に文庫化された。主人公・五味を中心とした3人のタクシー運転手と乗客を別々に描いて、事件と話が展開する。どんな乗客でも 対応するが、流石にそれは無さそうな客をのせてしまう。別々のトラブルが次第に結びついて、運転士たちも協力しあう展開になる。
2022年07月05日
海外ミステリ作家スケッチノート<松坂健>
2022年に出版されたエッセイ集だ。2021年に死去した著者で、遺稿が死後出版された。海外ミステリ作家のガイドブックとして書かれており、76名の作家が 登場する。元は101名を選考した所から始まったとされる。ほとんど知らない作者も多いが、切れのよい短文で書かれていて楽しめて読める。
2022年07月05日
教室の灯りは謎の色<水生大海>
2016年の連作長編で、2019年に文庫化された。全6話からなる。並木遥が主人公で高校を不登校で辞めて止めて塾で学ぶ。そこの塾講師の黒澤と、出会った トラブルや事件や日常の謎に向き合う。少女とその周囲の不安が解き明かされて行く青春の謎解きミステリーだ。
2022年07月11日
振袖小姓捕物控 第2巻<島本春雄>
2022年に出版された再編集の復刊作品集の2冊目だ。南町奉行・遠山金四郎のお抱え小姓・振袖美弥太郎が主人公の捕物帳だ。内容的には忍法・剣術・幻術が 中心の伝奇時代小説だ。戦後すぐの頃の作品で、改行とか空白が少ない文章で、通称で黒く見える文だ、見かけよりも文字数が多く読むのに時間はかかる。
2022年07月11日
オルゴーリェンヌ<北山猛邦>
2014年の作品で2022年に文庫化された。書物が禁止された架空の世界で作家を目指す少年と、書物を取り締まる検閲官とが、オルゴール制作職人らが住む島 を舞台に起きた事件に絡む。ページ数も多く、幾つかの事件が組み合わさった大長編になっている。少年検閲官シリーズの2作目だがまだ3作目は書かれていない。
2022年07月11日
明日香・幻想の殺人<西村京太郎>
2003年の作品で、2005年に文庫化された。十津川警部が登場するが旅情ミステリというよりも、明日香とそこの古代史をテーマとしたミステリと言える。奈良県 明日香の古墳で死体が見つかり、十津川らは協力依頼で捜査するが失踪し、明日香との繋がりが見つかり興味を持つ。さらに明日香に行き、事件の深く絡む。
2022年07月11日
機捜235<今野敏>
2019年の連作集で2022年に文庫化された。機動捜査隊は2人で車で街を巡回して、事件現場に最初に駆け付けて初動捜査を行う。だが本捜査は担当部署が 到着すると引き継いで終わる。指名手配犯の顔を憶えて見つける見当たり捜査人が機捜に加わった。そこでの事件と捜査を描いた連作集だ。
2022年07月17日
冷たい手<水生大海>
2015年の作品で2019年に文庫化された。登場人物の過去と現在を通じてのかかわりが微妙に描かれる。主人公の心を閉じたヒロインがその友人が殺されて 事件に関わる。一方では刑事が女性と出会う中で事件捜査を通じてヒロインを監視する事になる。徐々に登場人物が増えて、その過去のかかわりが明らかになって行く。
2022年07月17日
骨を追え<堂場瞬一>
2021年の作品で老刑事・岩倉剛が主人公の警察小説だ。所轄が蒲田から立川に異動した、新しい上司と相棒とで捜査する事になる。作者は多数のシリーズ・ キャラクターがあるが、それらの複数が登場する。特に被害者支援課・村野は中心人物として活躍する。
2022年07月17日
愛さずにいられない<北村薫>
2017年に出版されたエッセイ集だ。読書日記的なもの、書評を中心に、広いジャンルの本を対象にしている。文学賞の選考委員という役を持った立場 での書評もある。年ことのアンケートへの回答もある。そこは当然に温度差はある。
2022年07月17日
ミズチと天狗とおぼろ月の夢<川辺純可>
2021年の作品だ。日本海沿いの古い因習が残る村ではミズチや天狗の伝説がある、そこで起きる事件を描く。今は落ちた東の家と、成りあがりの西の家、 そこが祖父の代の約束で婚儀を結ぶ事になる。八つ墓村を思い浮かべる村での事件が展開する。
2022年07月23日
誘拐犯の不思議<二階堂黎人>
2010年の作品で2013年に文庫化された、名探偵・水乃サトルが解決する。題名に「不思議」と付くと学生のサトルが登場する。誘拐事件が起きて、人質は 戻ったが犯人は不明のままに終わった。その10月後に被害者女性から話を聞いたサトルが解明を目指す。
2022年07月23日
剣士燃え尽きて死す<笹沢佐保>
1975年の連作長編で2003年に復刊文庫化された。幕末の京で、新選組の初めからその展開を、沖田総司の立場から描いた。芹沢派と近藤派の勢力争いから、 暗殺と殺害という連続で近藤派が乗っとる過程を描き、沖田の病と近藤への不信感と殺害自体への悩みを描く。
2022年07月23日
難事件カフェ<似鳥鶏>
2013年の作品で、改稿・改題されて2020年に文庫で復刊された。作者は後書きで初の新装版と書いている、続編を含めて2作が文庫刊行されたようだ。 元刑事いや休職中刑事と弟が、県警秘書室女性が持ち込んだ事件を弁護士女性が絡んで解決しながら展開する連作長編だ。
2022年07月23日
南海の囚人塔<横溝正史>
1931-1950年の作品を再編集して、2022年に復刊した少年小説作品集の第7巻で最終巻だ。長編「南海の太陽児」「南海囚人塔」ち、短編4作を収録する。 さらに海野十三「少年探偵局」を収録し、海野の死で中断したが横溝が書き継いで完成させた。海野の連載の中断は、複数の作者が書き継いだとされている。
2022年07月29日
K2 池袋署刑事課 神崎・黒木<横関大>
2014年の連作長編作で2019年に文庫化された。所轄刑事2人は相棒で同期だが性格が異なる。それらが組んだり、一人で調べたりする。8話からなる連作集であり、 話に関連性はあるが、時系列も話の内容も微妙に食い違う。
2022年07月29日
青い国から来た殺人者<西村京太郎>
2005年の作品で2008年に文庫化された。2004年の日本ミステリ文学大賞記念作だ。東京と大阪と京都の連続殺人を捜査する十津川らは、四国の第1番から 第88番までの遍路にたどり付く。四国全体に別れる寺を舞台に、犯人を追う。
2022年07月29日
地べたを旅立つ<そえだ信>
2020年の作品で、第10回アガサ・クリステイ賞受賞作だ。副題が「掃除機探偵の推理と冒険」だ。死んだ姉の娘を育てていた主人公の青年が交通事故に遭う。 きずくと自走型掃除機になっていた、WIFI機能を持ちグレードアップタイプの掃除機が、姉の娘を助ける為に旅立ち、苦難の道を描く。
2022年07月29日
悪の包囲<堂場瞬一>
2020年の作品で、警視庁南大田署刑事・岩倉剛が主人公のラストライン・シリーズの5作目だ。堂場作の他からのゲスト出演が多いシリーズだ、本作はそれが目立ち、 被害者支援課・村野の活躍は大きい、さらに高城・明神、さらに大友も登場してかなり活躍する。岩倉だけでは手が足りない状況になって来ている。
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2022/07に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。