推理小説読書日記(2022/06)
2022年06月05日
姿なき怪人<横溝正史>
1958-1960年の作品を再編集して、2021年に復刊した少年小説作品集の第6巻だ。連作長編「まぼろしの怪人、連作長編「姿なき怪人」、連作長編「怪盗X・Y・Z」 が掲載されている。三津木俊助と御子柴少年(探偵小僧)が活躍する。昭和30年代の作品で少年小説としては最後期だ。
2022年06月05日
新編 夢の棲む街<山尾悠子>
2022年の作品集で、復刊1作と新作2作の短編からなる。1976年の代表作「夢の棲む街」と、その世界をモチーフにした「薔薇色の脚オード」「漏斗と螺旋」 からなり、中川多理製作の人形と、川野芽衣の解説と、作者の後書きがそれに加わる。ピンク色の紙が使われていて奇妙な読書感が生じる。
2022年06月05日
影ぼうし<岡田秀文>
2003年の作品だ。火事現場で見つかった記憶がない男だけが事件の手がかりだった。男は1年後に記憶以外は回復して働きはじめたが脅迫電話がかかって来た。 薬剤師・里村千尋と男が出会い、双方の抱える問題に追われながら、失った記憶を求めて行く。自身は被害者か加害者なのか?。
2022年06月05日
かがやき荘西萩探偵局2<東川篤哉>
2019年の連作作品集で、2022年に文庫化された。短編4作からなる連作集で、シェアハウスに住む3女性とその大家の資産家女性とその秘書青年が、色々な 事件に関わり解決してゆく。探偵役の小野寺葵が、のこりの2人にかき回されながら活躍する、ユーモア本格ミステリだ。
2022年06月11日
振袖小姓捕物控 第1巻<島本春雄>
2022年に出版された再編集の復刊作品集だ。雑誌に1949年から1950年の掲載された作品を後の単行本も参照して復刊された。南町奉行・遠山金四郎のお抱え 小姓・振袖美弥太郎が直属与力格となり活躍する捕物帳だ。内容的には伝奇時代小説であり、連作との連作長編的な面もある。
2022年06月11日
ユーカリの木の蔭で<北村薫>
2020年に出版されたエッセイ集で、2006年から2017年の長期に渡り、雑誌連載されたエッセイを集めた。作者は「日記を書かないので記憶だけが残る」状態で 主に本や読書に関する記憶を元に書き残したエッセイとなる。「以下次号」という雑誌連載スタイルの文章で、書き繋がれている。
2022年06月11日
僕はいつも巻きこまれる<水生大海>
2018年の作品だ。主人公の新入社員の視点1人称で巻きこまれた事件が描かれている。本人の問題もありそれが拡がってゆくが、登場人物が増えて行き、 さらには元彼女の女性と再会して、事件を共に調べ始めると一気に展開が拡がって行く。自覚なき巻きこまれ視点が読者も惑わせる。
2022年06月11日
世界推理短編傑作集 6<>
2022年のアンソロジーで、「江戸川乱歩選の5冊を補完する」6巻目と編者は言う。発表年では、全13作中で2作は乱歩選5冊の後だが、他は重なる。 その意味では補完だが、謎解き本格はそこには無くジャンル的にはバランスが悪い。それならば、全て5冊の後の時代で編んで欲しかった。
2022年06月17日
呪護<今野敏>
2019年の作品で、2022年に文庫化された。お祓い師・鬼龍光一のシリーズだ、ただし中心となるのは警視庁少年事件課・富野で、刑事事件だが怪奇な伝奇事件を その専門の鬼龍ら複数人と調べて謎を解決して行く。異なる要素の結合を行った警察小説だ。
2022年06月17日
青春の条件<森村誠一>
2010年の作品で2011年に文庫化された。上下2巻だが1冊単位はそれほども長くない。主人公・倉地は不思議な経歴の人の集まりに参加して、そこが事情のある 人を匿っていると知る。某国独立運動亡命者を匿い、暗殺者らとの争いが起きる。それらの事件が拡がり、棟居刑事らが捜査を始める。複数の要素を含むサスペンスアクション小説だ。
2022年06月17日
MEMORY 螺旋の記憶<吉田恭教>
2020年に出版された。元刑事で私立探偵・槙野康平と、捜査1課・東條有紀は別の仕事だが、何故か複数の事件が重なりあい情報連絡する事になる。警察という 実務者と探偵という依頼され捜査する者で、転生という本来は無視される事件に絡んでゆく。東條は双方を繋ぐ働きを持つようだ。
2022年06月17日
掟上今日子の忍法帖<西尾維新>
2021年-2022年に雑誌連載された連作長編でその後に単行本となった。寝るとその前の記憶が消えるという、忘却探偵・掟上今日子シリーズの1作だ。 舞台はアメリカ・ニューヨークのセントラルパークで、手裏剣など忍者の絡む事件を解決する連作だ。
2022年06月23日
ミステリーは非日常とともに<未須本有生>
2021年の作品だ。中編「クルーズはミステリーとともに!」「ドライブは旧き良きクルマとともに!」からなる。作家・高沢のりおが登場する。前者では クルーズ船で、そこを舞台にしたミステリを船内のイベントで出題して参加者に解答を求める。故に小説内に複数の掌編ミステリが埋め込まれている。
2022年06月23日
チェインギャングは忘れない<横関大>
2011年の作品で2014年に文庫化された。複数の視点と無視点とで描かれる、シングルマザーのトラック運転手・水沢早苗であり、池袋署刑事・神崎と黒木だ。 そこに早苗の息子・航平の視点が加わる。それぞれが異なる事件に関わる展開から、事件が交錯する展開になり、親子の仲間らも動き出す。
2022年06月23日
竹久夢二 殺人の記<西村京太郎>
2001年の作品で2004年に文庫化された。十津川警部が登場するシリーズであり旅情ミステリだが、竹久夢二の絵画とその生涯にスポットが当てられている。 十津川も夢二に詳しい事が判り、いつもの事件とは異なる背景と展開もある。
2022年06月23日
Jミステリー2022<>
2022年に出版されたオリジナル・アンソロジーだ。参加作家は、東野圭吾・今村昌弘・芦沢央・青柳碧人・織守きょうや・知念実希人だ。テーマ別アンソロジーの 出版が多い所から、テーマなしのアンソロジーが出た。ただし、いずれは個人作品集として纏められそうな作家が多い。
2022年06月29日
江戸の影法師<渡辺啓助>
1953-60年の作品で1961年の作品集を2022年に復刊されて、9作の短編連作集だ。鼠小僧次郎吉が主人公的な存在だ。ただし視点が多彩であり、色々の登場人物 から描かれており、次郎吉との関わりや見方等も異なる。影の存在の作品も多く、ミステリ色だけでなく怪奇色が濃い作品もある。
2022年06月29日
レオ・ブルース全短編<レオ・ブルース>
1950年頃の作品でイギリスで、1992年に短編集としてまとめられた。それを2022年に日本で翻訳して出版された。全40作で、それぞれは短い掌編で、短編という よしはショートショートに近い。だが本格構成の作品も多くあり、初見作品である事もあり意外な作品集だ。
2022年06月29日
大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 千両根津の夢<山本功次>
2016年の作品で、現代と江戸時代を行き来できる優佳が江戸でおゆうとして、同心らと捜査を行う、証拠を現代に持ち帰り、科学捜査で調べる。そのシリーズの2作目だ。 ただし真相が判っても、江戸では証拠にならないから、別の証拠や解決が必要になる。
2022年06月29日
迷路の始まり<堂場瞬一>
2020年の作品で、警視庁南大田署刑事・岩倉剛が主人公だ。二つの事件の関係者の繋がりが見つかり、捜査本部は別だが関連を疑うものもいたが、無関係との 考えもあった。意見の違いから岩倉は捜査から外されかける。長い不明時期を経て、次第に黒幕的な存在が判ってきて、事件も展開して行く。
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2022/06に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。