推理小説読書日記(2022/05)
2022年05月06日
密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック<鴨崎暖炉>
2022年の作品だ。「このミス・大賞」受賞のデビュー作であり、「疑わしい状況でも、現場の密室状況が解けなければ無罪の判決が出て、密室を作る動機が 無罪を得る為になり、結果として密室が急増した」世界での密室事件を描く。密室自体が目的になり、続々と密室事件が登場する。
2022年05月06日
沈黙のエール<横関大>
2013年の作品で2015年に文庫化された。小さな和菓子店を行う父と遊び人風の兄とパティシエ修行中の妹の家族、店の火事での父の死での、妹の思いと不思議な 兄の行動を中心に進行する。捜査する老刑事と、兄の同級生で怪我で休業中の警察官が事件を調べ始めると、家族の謎が現れて来る。
2022年05月06日
影絵の街にて<新井素子>
単行本未収録作品や文庫化されていない作品を、再編集して2022年に出版された作品集だ。「絵本・季節のお話」と「ショートショート集・ちいさなおはなし」 と他の本に掲載されていないか入手が難しい短編が集められた。作者あとがきと、詳細な解説と、著作リストがあり、多彩で複雑な内容が判り易くなっている。
2022年05月06日
九州特急「ソニックにちりん」殺人事件<西村京太郎>
1996年の作品で、1999年に文庫化された。総選挙の候補者と言われる人物が失踪して、十津川たが捜査を始めるが、本人と対立候補の捜査には政治的に否定的な 意見が警察上層部にあった。マスコミの対応も必要で、しかも十津川らのスキャンダル報道もあり、捜査妨害があり苦境に陥る。。
2022年05月12日
護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧<時武里帆>
2022年に出版された作品だ。海上自衛隊に関するノンフィクションを書いた後にその題材の小説でデビューしたという。その系統の新シリーズとなる。護衛艦の 艦長就任が決まってから、艦艇に行きいくつかの引き継ぎ式を経て、港から出航するまでが描かれている。既にトラブルは複数起きている。海上での事は続編になるようだ。
2022年05月12日
本と幸せ<北村薫>
2019年に出版されたエッセイ集で、エッセイの内容は多彩だ。そこに文字の読書に加えて、音を聞く・朗読等の興味も描かれており、その延長で「自選短編ベスト12」と自作朗読が話題になりそのCDが2作付属している。さらに高校時代に書いたショートショートと、著作リストが掲載されている。
2022年05月12日
指切りパズル<鳥飼否宇>
2021年の作品で、綾鹿署での事件だ。アイドルの指先が動物にかみ切られる事件が起きる。事故か事件か疑問のままに、指先が切られる事件が次々起きる。 3人組のアイドルのグループで何が起きているのか、誰が嘘をついているのか。
2022年05月12日
零れた明日<堂場俊一>
2018年の作品で、刑事・一之瀬拓真を主人公にしたシリーズの1作だ、新人刑事だった主人公は、所轄から本庁に移動になり後輩も出来た。結婚して子供が 生まれる事にもなった。前作で班は護送犯人の逃亡という失態を招いたが今度は他の犯の失態の応援に回る事になった。新しい上司は苦手なタイプで、悩む。
2022年05月18日
きたきた捕物帖<宮部みゆき>
2020年に出版されて、2022年に文庫化された。4作からなる連作捕物帖集だ。有名な岡っ引きが死に、それに養われた主人公・北一を中心に描かれる。北一は十手を 継げなかったが、岡っ引きの盲目の妻と事件に関わり解決する展開になり、さらに腕っぷしの強い喜多次と出会う。二人の「きた」がコンビになった。
2022年05月18日
墓碑銘<橘外男>
2021年に橘外男の未収録作品集が3冊出版された、その時の予約特典となった小冊子がこの「墓碑銘」で1940年初出の中編だ。アフリカ北部の砂漠で起きた 黒人解放事件と、それに絡む兄妹の逃亡事件を中心に描いているが、展開と事件は多彩だ。
2022年05月18日
ダチョウは軽車両に該当します<似鳥鶏>
2013年に出版された。動物園とそこの飼育係等を中心にしたオムニバス方式の連作長編だ。色々な動物が登場するが、特に「ダチョウ」「ペンギン」「オオワシ」 が章題となり、さらには鳥インフルエンザが事件に繋がって行く。
2022年05月18日
悪魔のラビリンス<二階堂黎人>
2001年の連作長編で、「寝台特級あさかぜの神秘」「ガラスの家の秘密」の2つの事件を3部構成で描いた。二階堂蘭子は国内事件解決後に、ヨーロッパで「人狼城」 事件を捜査する、この本はその前の時期に日本で起きた2つの事件を解決するのだが、黒幕のラビリンスが登場して、それは後の帰国後の事件に繋がる。
2022年05月18日
留萌本線、最後の事件<山本巧次>
2020年の作品だ。廃線になる夕張支線の最後の列車から描かれて、まもなく廃線になる留萌本線へと移る。主人公は鉄道ファンで廃線前に撮影と列車に乗りに来た。 だが留萌本戦で列車ジャックが起こり、そこの人質乗客となる。ローカル線での列車ジャッとその顛末が描かれ行く。
2022年05月24日
少年探偵とドルイッドの密室<麻生荘太郎>
2012年の作品だ。ドルイッドとは一族とか宗派とか教徒とか個人の名称だが日本では馴染みがない。大昔にスコットランド北西部をダーク・ドルイッドが襲った、 それからのスコットランドの神話から物語が始まる。主人公・深町と友人・小波涼がスコットランドを旅行して色々な謎にあう。
2022年05月24日
再会<横関大>
2010年の作品で2012年に文庫化された、江戸川乱歩賞受賞作で作者のデビュー作だ。4人の小学生がタイムカプセルを埋める。4人が成長してからが舞台で刑事 を含めた4人が事件に関わり、そこに小学時の事件が絡む。4人の視点を変えながら事件が展開する。伏線が多いが隠された事もまた多い。
2022年05月24日
高山本線殺人事件<西村京太郎>
1997年の作品で2000年に文庫化された。十津川警部が登場するシリーズであり、さらには「本線」シリーズでもあるがその地が舞台となる。西本刑事が交通事故死した 父の事件に不審で単独捜査する。その過程で別の事件も発生する。所轄が事故とする死に西本と、十津川らが関わって行く事になる。
2022年05月24日
ランチ探偵 容疑者のレシピ<水生大海>
2016年の作品で「ランチ探偵」シリーズの2冊目だ。短編5作からなる連作集だ。探偵役の天野いかと同僚・阿久津麗子がランチ時に話を聞いて、その中の謎を 解くのが基本形のシリーズだ。それと異なる展開の話も含まれている。安楽椅子探偵の派生バージョンであり、料理・グルメミステリであり、色々な要素を含む。
2022年05月30日
霧に溶ける<笹沢佐保>
1960年の作品で、2020年に何回目かの復刊で文庫化された。ミス・コンテストの最終選考にのこった5人には色々な事情があり、是非優勝したいと考えた。その中で 候補者が死んだり怪我をする事件が起きる。倉田警部保らも捜査を進める。複数の視点から全体が描かれ展開するうちに大きな展開に進む。
2022年05月30日
ヨルガオ殺人事件(上)<ホロビッツ>
2020年の作品で、2021年に翻訳された。2018年に翻訳紹介された「カササギ殺人事件」の続編となる。そこでは編集者のスーザンが作家のコンウェイが書いた小説 「カササギ殺人事件」の結末部が無く追う事になる。作中作も本格ミステリで、それを含んだスーザンのパートも本格ミステリだった。続編は難しいとの意見もあった。
2022年05月30日
ヨルガオ殺人事件(下)<ホロビッツ>
ヨルガオ殺人事件も前作に続いて2分冊の大長編で、スーザンがコンウエィの小説「愚行の代償」を読んだ死者の謎を追う事になった。作中作「愚行の代償」はやはり 過去のイギリスが舞台の本格ミステリだった。スーザンは小説を再読してその謎を追う、このパートもやはり本格ミステリだ。2本格長編で1作になっているのだ。
2022年05月30日
ボーダース<堂場瞬一>
2021年の作品で警視庁特殊事件対策班(SCU)が新設されてそこの5人が活躍する新シリーズになるようだ。その第1作であり個人の見た目から紹介され、主人公・ 八神の視点から事件が描かれて、八神自身と他のメンバーの個性と特徴が次第に判ってくる。メンバー紹介とともに、特殊事案も描かれる。
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2022/05に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。