推理小説読書日記(2022/04)
2022年04月06日
阪堺電車177号の追憶<山本巧次>
2017年の作品で、昭和8年から平成29年までの大阪と堺周辺を結ぶ阪堺電車を背景に色々な事件を描く。個別の事件であったり、どこかで繋がりがあったりする。 電車が背景にあるがそれとの関わりは、個々の事件で温度差は大きい。
2022年04月06日
雪月花<北村薫>
2020年の作品集で副題は「謎解き私小説」だ。作者の生活や感情を描く私小説に対して、読書が生活になっている作者が小説の中の謎や感情を調べて、謎解きして行く。 本から本へ探し、編集者から聞きさらに昔の本の担当者を探してもらう。さらにそこからの紹介でそれぞれの専門家を紹介しもらう。それは捜査とも思える。
2022年04月06日
奪還の日<堂場瞬一>
2017年の作品で、若手刑事・一之瀬拓真のシリーズの1作だ。警視庁捜査1課で1年たった主人公は慣れた気になった頃だ。強盗殺人事件を軽く解決したと本庁は判断して 一之瀬も同様だった。福島で身柄確保されて、軽く引き取りに行くが移送時に襲われ逃亡された。その後に次々驚きの事実が判ってくる。
2022年04月06日
女王はかえらない<降田天>
2015年の作品で、2016年に文庫化された。3部構成の作品で、「子どもたち」「教師」「真相」と題がついている。1部で子どもたちでの虐めと勢力争いが描かれて、 読むのが辛いし面白くも内容だが、それからの展開に繋がって行く。筋を紹介しにくい作品だ。
2022年04月06日
密室晩餐会<>
2011年のオリジナル書き下ろしアンソロジーだ。編者は二階堂黎人で、作品は大山誠一郎・天祢涼・小島正樹・安萬純一・麻生荘太郎・加賀美雅之で、一部は後に 個人作品集の1作として復刊されている。密室をテーマにした作品集で、個々の作者のシリーズキャラクターも登場する。
2022年04月12日
ダンガンロンパ霧切5<北山猛邦>
2017年に出版された作品で、少女探偵・霧切響子と、わたしこと五月雨結が事件に取り組むシリーズの5作目だ。4作目で新たな展開がはじまったが、その続編 となる。ここでは多数の事件の解決が必要となり、結は霧切以外にも仲間を加えた。だが手分けしての個別での対応となった。
2022年04月12日
お文の影<宮部みゆき>
2011年に出版されて、2014年に文庫化された。江戸を舞台・背景にした作品集で、さらには怪談集だ。幽霊や妖怪やお化け等のあらゆるものが登場しており、 幽霊だけでの怪談とはおもむきは異なる。
2022年04月12日
修道女フィデルマの采配<トレメイン>
2004年の原作作品集の半分を日本どの編集で、翻訳して2022年に出版された。既に10作以上翻訳されているが、訳者の死で中断そていたが、新しい翻訳者での 第2作目で、初の短編集だ。独自の歴史世界を背景にした、本格ミステリであり、継続的な翻訳を期待したい。
2022年04月12日
ランチ探偵<水生大海>
2014年の連作集を、2016年に文庫化された。主人公はOLの天野ゆいかで同僚の麗子と、昼食事に合コンを始めた。男性相手が目的の麗子に対して、ゆいかは相手から 聞く話の中の相談と謎を解くことに興味があった。6短編からなり、安楽椅子探偵とそのコンビでの不思議なミステリが展開する。
2022年04月12日
逆風の街<今野敏>
2003年の作品で2006年に文庫化された。神奈川県警みなとみらい署暴力犯係とその係長・諸橋を主人公にしたシリーズの第1作だ。暴力団に対する専門の係を 主人公にして、刑事課や本庁との食い違いが捜査方法や考え方で度々に起きる、さらには直接に対立も起きる。
2022年04月18日
幽霊の接吻<宮野村子>
1951-1969年の雑誌発表作を編集した単行本未収録作品集で、2021年に出版された。雑誌発表のままだった短編を集めて、単行本化した。短編10作を収録しており、 1969年は作者の生前最後の発表作と言う。変格派で人間心理を描くとされる作者であり、その傾向の作品が多くを占める。
2022年04月18日
白蝋仮面 横溝正史少年小説コレクション5<横溝正史>
1954-1957年頃の長編・中編作品と、1928-1938年頃の短編を2021年に復刊した作品集だ。少年小説の長編「白蝋仮面」「蝋面博士」に、中編「風船魔人」「黄金魔人」 を加えて、それに戦前の短編5作を収録している。長編・中編には三津木俊助と探偵小僧こと御子柴進が登場する。
2022年04月18日
謎と殺意の田沢湖線<西村京太郎>
1992年に出版された作品集で2007年に文庫復刊された。短編4作からなり、背景となる鉄道路線が題名に含まれているが、犯罪小説と警察捜査を含めた内容で、 トラベルミステリーの一面も持つ。
2022年04月18日
濱地健三郎の幽たる事件簿<有栖川有栖>
2020年の作品集で、心霊探偵・濱地健三郎と助手の志摩ユリエが怪異の依頼に対応する。「霊なる事件簿」に続く2冊目となる。心霊現象専門の探偵社への依頼内容が 心霊現象だが、それへの対応や解決・結末にはしばりは無く、多様な内容で話が進み結末をむかえる。
2022年04月24日
銀婚式物語<新井素子>
2011年の作品で2014年に文庫化された。大島陽子と正彦とを描いた、結婚物語と新婚物語の続編の形で、25年後の銀婚式にそれまでを振り返る形で展開して行く。 従って25年後でなくて、それまでの生活を描く。土地を探す事、家を設計する・作る・引っ越す事、妊娠への道とそれから、そして25年後に振り返っての事。
2022年04月24日
死者の靴<レオ・ブルース>
1958年の作品で2021年に30年前の翻訳を元に翻訳者が改訳して同人誌出版したと言う。教師で探偵のキャロラス・ディーンのシリーズの1作で、イギリスの田舎町と アフリカ北西部の街とそれを繋ぐ船での事件を解決する。大技故に結末の意外性ではなくて、全体の展開を楽しむ事になる。
2022年04月24日
誤断<堂場瞬一>
2014年の作品で2017年に文庫化された。主人公は製薬会社の社員で、副社長から現在に発生した医薬問題の金銭解決の仕事を命じられる。会社は外資との合併 交渉中で不祥事を避けたいと言われる。だが過去にも公害かもしれない事件があり、それが動き出す事に関わって行く事になる。
2022年04月24日
白銀荘の殺人鬼<彩胡ジュン>
2000年の作品で作家二人による合作であり3月程の期間の「著者当てクイズ」となっている。その後に作者は二階堂黎人と愛川晶との合作と明かされている。 サイコミステリとなっていて、殺人鬼が連続殺人を犯す中で、もう一人の殺人鬼が絡み、そこに謎の解明が設定されている。
2022年04月30日
寮の七日間<>
2009年の青春ミステリーアンソロジーで、2012年に文庫化された。設定は「1:寮、2:開かずの間、3:期間は7日」のしばりがある。作者は、谷原秋桜子・ 野村美月・緑川聖司・加藤実秋だ。テーマ設定をかなり絞っているために、全てが似た内容になったのは、テーマ別アンソロジーの難しさだ。
2022年04月30日
平安千年殺曼荼羅<麗羅>
1989年の作品だ。肩書は、曼荼羅の関する殺人事件を歴史推理に発展させた伝奇アクション小説となる。桓武天皇以来の千年の首都の歴史を受け継ぐ謎の 集団の謎がある。主人公はボクシングの元チャンピオンで殺人事件に巻き込まれるが、出生の秘密があり謎の集団の首領らしかった。
2022年04月30日
本バスめぐりん<大崎梢>
2016年の連作集で、2019年に文庫化された。舞台は市の図書館が運営する移動図書館だ。週単位で市の色々な地域を定期巡回して貸出等の業務を行う。 主人公は退職後に小型バスの運転手として移動図書館に参加した。そこで起きる謎を事務員らが解き明かして行く。
2022年04月30日
臥龍<今野敏>
2016年の作品で2018年に文庫化された。諸橋と城島らの横浜みらい署暴対係が主人公の警察小説シリーズだ。暴力団を相手にするが、それが関わるかもしれない 殺人事件も捜査する。だがそこで捜査1課とは捜査方法も考え方も異なり、絶えず対立する。今回の事件はそれ以上に厄介な様子を示した。
2022年04月30日
消えない夏に僕らはいる<水生大海>
2014年の作品だ。第1部は小学5年生の仲間4人がキャンプ先で同学年の1人と出会い、そこで事件が起きるが記憶を隠して別れた。第二部は高校1年の春で、 5人が同じ高校で再会するが、避け合う。その中で新たな同級生とのトラブルの中で、互いの誤解が浮き上がって行く。
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2022/04に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。