推理小説読書日記(2022/01)
2022年01月06日
傍若無人な冷蔵庫<新井素子>
1988年の作品で副題が「新婚物語 3」だ。作家・陽子と会社員・正彦の新婚生活だ。電気が苦手な2人が、電力を喰いすぎる大型冷蔵庫のトラブルに遭う、 そして近所付き合いの問題があった。そして最初の結婚記念日になる、その会話は互いへの不満を語り合う事だった。
2022年01月06日
探偵ファミリーズ<天祢涼>
2016年の連作長編で、2017年に文庫化された。全6話でレンタル家族に関わる話だ。登場して来る人物がそれぞれ奇妙であり、オムニバス形式で登場したり再登場したりする。 全体の流れとしては、次第に家族が増えて行く事になる。もちろん本当の家族ではない。
2022年01月06日
鍵のかかった部屋<>
2017年のオリジナル・アンソロジーで、2018年に文庫になり作品が追加された。室内のクレセントやサムターンの鍵を、仕掛けで外から開けるのがテーマの短編を集めたと言う。 本格ミステリならば密室はトリックと謎となるが、それはこの本では少数派であり、色々なスタイルと設定での多様な作品が並ぶ。
2022年01月06日
ルパンの星<横関大>
2020年の作品で、「ルパンの娘」シリーズの4作目だ。3作目で一緒になった三雲渉と北条美雲が何故か不仲?で別に生活していた。美雲は落ち込み刑事の仕事も出来なくなった。 一方では三雲華の娘・杏は能力を発揮しはじめたが、周囲の家族はその育て方で意見が別れていた。その中で起きた事件で和馬と美雲はひさしぶるに共に捜査を行う事になった。
2022年01月06日
殺人はサヨナラ列車で<西村京太郎>
1988年の作品集で、短編5作からなる。デビューした初期の昭和37年の作品から、昭和59年までの作品から選ばれている。亀井刑事が登場する作品もあるが、十津川シリーズ以外の作品だ。 ノンシリーズであり、発表時期が広いこともあり、作品のスタイルも色々だ。
2022年01月12日
鉄血の警視<豊田巧>
2016年に出版された。副題が「警視庁鉄道捜査班」で、鉄道内での特殊犯捜査を担当する、そこの吾妻班4人が専門分野として広域で事件解決に取り組む設定だ。現場の只見刑事と 本部での吾妻警視が中心で事件が進む。
2022年01月12日
若さま侍捕物手帖31 百鬼夜行(上)<城昌幸>
2021年に復刊された、若さま侍捕物手帖全作復刊の31冊目にあたる。上下の2分冊の長編であり、長さでは「月下の門」上下2分冊と同じかやや長く、シリーズの最長の長さだ。
2022年01月12日
若さま侍捕物手帖32 百鬼夜行(下)<城昌幸>
若さま侍シリーズの長編は伝記時代小説の展開が多く、場所も江戸を離れる事が多く、大名が絡む問題の解決を若さまが頼まれる展開も多い。2つ以上の派閥が対立し、そこに 幕府隠密とかも絡む展開が多い。正体不明人物と勢力分布不明の展開で長編を支える事になる。解決も謎解きで終わる事は少ない。本作も江戸と東海道等を行き来しながら進み、 人探し(本物探し)と宝さがしを同時に展開させる。
2022年01月12日
戦力外捜査官<似鳥鶏>
2012年に出版され、2013年に文庫化された。副題は「姫デカ・海月千波」で、童顔の少女に見える海月警部が刑事部長のつて?か、捜査係に配属されて、お守り係の設楽刑事と 組むが上司や周囲から戦力外扱いにされる。それでも独自に捜査すると、思いもよらない展開に展開する。
2022年01月12日
誘爆<堂場瞬一>
2015年に出版された、新人刑事・一之瀬拓真が主人公のシリーズの3冊目だ。所轄で2-3年経つが慣れたが、まだまだ失敗が多い。昇進を目指し、手柄ををたてる事を目指すなかでの 爆破事件捜査が描かれる。教育係の藤島から自立を考えはじめる時期でもあった。 。
2022年01月18日
刺客どくろ中納言<岡田秀文>
2013年の作品で時代小説だが、密約と密謀略が背後に隠されており、時代ミステリとしても読める。時代は豊臣秀吉の小田原攻め直前から陥落直後までだ。豊臣内部の動きと、 小田原の北条内の動きと、徳川内の動きと、伊達内の動きが並行して描かれる。小田原攻めの背後で動いた密謀略とは何なのか?。
2022年01月18日
男+女=殺人<深谷忠記>
1997年に出版された短編集で、1989年1996年までの短編8作が収録される。トリックミステリ・旅情ミステリの長編が多い作者だが、短編では犯罪小説集と呼ばれる内容だ。 作者の黒江荘が登場する長編スタイルは本格ミステリだが、短編では難しいのだろう。長編にも黒江シリーズ以外は異なるスタイルもあるのだが・・・。
2022年01月18日
ダンガンロンパ霧切2<北山猛邦>
2013年に出版された作品だ。「ダンガンロンパ霧切」シリーズの2作目で、女子中学生探偵と女子高校生探偵が裏組織の「探偵オークション」に参加して、そこでの事件の 解明と阻止と犯人逮捕を目指す。閉ざされた空間と参加者の中での、連続殺人事件が展開する、舞台背景は変則だが典型的な本格ミステリだ。
2022年01月18日
エムエス 継続捜査ゼミ2<今野敏>
2020年の作品で、2021年に文庫化された。元刑事の大学教授が行うゼミ、通称「継続捜査ゼミ」を舞台に実際の事件を取り上げて演習を行うシリーズだ。第2作目では、 大学での事件で教授自身が容疑者になってしまう。同時に裁判で無罪となった冤罪事件を演習で取り上げる。2つの冤罪事件は何故起きたか、その真相は何かを描く。
2022年01月18日
ファンタジウス・マルレア/悪魔の王国<ベン・ヘクト>
1922年の長編作品と、その続編で1924年の長編作品で、抄訳はあったと言うが、2020年に完訳された。ベン・ヘクトは「恋がたき」や「腹話術師」を読んでいた、そこでは 奇妙な味の作品の印象だった。本作はそのような穏やかな作品では無くて、もっと破壊的な異端話・茶番話だと感じた。
2022年01月24日
魔術師・模像殺人事件<佐々木俊介>
2021年に長編2作の合本として個人出版された。長編「魔術師」は作者が2016年にインターネット上に発表したとされ、長編「模像殺人事件」は2004年に出版された作品の文庫化になる。 それぞれが通常の長さの長編なので、合本はかなりの分厚い本となった。デビュー作「繭の夏」を加えて紙媒体では長編となったが、それぞれが異なる世界を描いていると感じる。
2022年01月24日
君と過ごした嘘つきの秋<水生大海>
2015年の作品で文庫書き下ろしだ。高校の文芸部や映画研究部を舞台にした学園ミステリで、日常の謎と過去の謎を解いて行く本格ミステリだ。恋愛かそれ未満の思いがからみ、 動機的に複雑になっており、複数の事件が絡みかなり複雑なストーリーとなっている。
2022年01月24日
冬の旅殺人事件<田中文雄>
2001年に100円ショップ・大創から出版された。文庫版のカバーなしの簡易な本だが、書き下ろしの短めの長編ミステリー・シリーズだ。「殺人事件」がつく題名が多いが、それは 営業方針だと思う。作者・田中文雄はSFやファンタジー作家と思っているが、題名から事件を探偵が捜査する内容となっている。
2022年01月24日
ライオンの棲む街<東川篤哉>
2013年の連作集で2016年に文庫化された。平塚市を舞台に、探偵役の生野エルザと相棒の川島美伽がコンビの連作短編集だ。この二人が既に異様なキャラクタでありその掛け合い はひたすらユーモアだ。競って推理してしばしばバラバラに捜査するが、それ自体が活劇となりギャグとなる。それでも解決はする。
2022年01月24日
災厄の「つばさ」121号<西村京太郎>
2001年の作品で、2003年に文庫化された。開通直後の山形新幹線と「つばさ」を舞台に、度々乗車する女性がいて、一緒に目撃された男が殺される。それが連続殺人になる。 男たちの共通点を探しての捜査が行われる。一人異なる男の正体は何か。そして次の犯行は誰を狙うのか十津川らが調べて行く。
2022年01月30日
夜光怪人<横溝正史>
2021年に出版された、横溝正史少年小説コレクションの3巻目だ。長編「幽霊鉄仮面」「夜光怪人」と、短編「怪盗どくろ指紋」と中編「深夜の魔術師」等が掲載されている。 由利先生と三津木のコンビに、少年・御子柴進が絡む作品があつめられている。戦前作と戦後作は、全く異なる印象を受けた。少年小説でも戦後はスタイルが変わったようだ。
2022年01月30日
シンデレラ殺人劇場<滝原満>
2001年に100円ショップ・大創から出版された文庫版の長編ミステリー・シリーズだ。作者・滝原満は田中文雄名義ではSFやファンタジーで長編も書いている。滝原名義では短編の 幻想小説を書いている。滝原名義の長編ミステリは意外だが、田中名義でもややジャンルが違う感もある。作者の本業の映画プロジューサーを舞台にした内容だ。
2022年01月30日
チェンジ<堂場瞬一>
2021年の作品で、警視庁犯罪被害者支援課の8作目で一応の最終作となる。主人公・村野に大きな変化が訪れ、課にも変化があり、さらに元妻・西原にも変化がある。変化が起きる事で 完結編となる。別シリーズの「追跡捜査課」の沖田と西川と、「アナザーフェイス」の大友もゲスト以上多くに登場する。
2022年01月30日
チェックメイト(前編)<新井素子>
2004年の作品で、「ブラック・キャット」シリーズの4作目で最終作だ。3作目とこの4作目は前編と後編に別れている。キャサリン・オブライエンと黒木明拓の二人が、少女・広瀬千秋を 巻き込んで、組織とそのリーダー・新村潤一郎に仕掛けるブラック・キャット・ゲームが背景となっている。SF設定も当然にある。
2022年01月30日
チェックメイト(後編)<新井素子>
2004年の作品で、チェックメイトの後編だ。キャットことキャサリンと黒木明拓の作戦に、千秋が絡み、そこに不思議な刑事・山崎ひろふみが絡み収束に向かう。新村とキャットの因縁も 加えて、4作シリーズが終わる。2作目までは順当に出版されたが、以降は8-9年置きに3作目と4作目が出るという、完結したのが不思議でもあるシリーズだ。
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2022/01に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。