推理小説読書日記(2020/04)
2020年04月04日
ショートショート美術館 名作絵画の光と闇<太田忠司・田丸雅智>
2018年に出版された、作者2名によるショートショート作品集だ。副題の通りに、名作絵画をテーマにして、作者それぞれが別々に書いたショートショートの競作だ。 10絵画を連想した、競作であり、20作のショートショートが収録されている。
2020年04月04日
若さま侍捕物手帖 9百両壺<城昌幸>
1947-1952年の作品を、2019年に再編集して単行本復刊した。発表順に作品を収録する全集の9作目だ。1952年の作品が18作収録され、1947年の収録漏れ作1作も掲載されている。 探偵役の若さまの安楽椅子探偵的な(厳密でない)短篇が中心となるが、本9集では幽霊やろくろ首や人魚という現代ミステリではあまり扱わないテーマを多用している。江戸時代 の事は想像するだけだが少なくとも現代よりは合っていそうだ。
2020年04月04日
星詠師の記憶<阿津川辰海>
2018年の作品だ。未来予知が出来る人間が見た記憶を紫水晶に記録する事が出来る、それが可能であり研究しているグループが存在する世界というか、その集団での事件だ。 何が出来て何が出来ないかが問題だが、そこの設定と事実が架空設定故に難しい難題だ。未来の映像が残っていると何が判るか、起こるか?。それでミステリが展開出来るの だろうか。
2020年04月04日
獅子は死なず<陳舜臣>
1961-1994年の短篇作品を、2002年に作品集出版されて、2005年に文庫復刊された。中国歴史小説でありその年代設定は広い。その中にはミステリとして書かれた作品も混ざっている。 実在する人物や、歴史事件に取材して、そこから作者の発想で色々な展開を見せる。
2020年04月10日
ハイ・アラート<福田和代>
2010年の作品で、2013年の文庫版だ。題名は「非常警戒体勢」の意味だ。東京での爆破テロと犯行グループの様子と、それと併行しての主人公・田代が友人に頼まれてペルー人の 人捜しを行う状況が描かれて行く。最初は全く別の事件なのだが、接点が生じて行く。
2020年04月10日
エンデンジャード・トリック<門前典之>
2020年の作品だ。ある館と側に立つキューブハウスと呼ばれるゲストハウスで起きた10年前と9年前の不思議な事件を、4年前に探偵役である蜘蛛手と宮内が依頼されて捜査する 為にそこで夜を過ごすとまたしても事件が起きた。多数の事件を蜘蛛手が解き明かして行き、全てに一応の解決を付けて行く。複数の要素と奇妙な犯行計画が混在して、多数の 不可解・不可能状況が展開する
2020年04月10日
メゾン・ド・ポリス2<加藤実秋>
2018年の作品だ。シリーズ2冊目で副題は「退職刑事とエリート警視」だ。刑事・牧野ひよりは元警察官集団のおじさんやとまたしても事件を追う。元科捜研・藤堂の元妻の 鑑識女性の登場し、ひよりは警察上層部からメゾンの観察を命じられ、ついには自身の父親の事件も解決することになる。
2020年04月10日
企業喰い<麗羅>
1991年の作品だ。主人公の土建屋が違法すれすれの金融業に誘われて、そこで力を付けて行く。そして仲間を集めての詐欺を計画して、大きな利益とあげて会社を乗っ取る。 次第に事業を広めて行くが、強引な儲け拡大を図り続けて行く。金融業界での悪とその結末を描いて行く。
2020年04月16日
新しい15匹のネズミのフライ<島田荘司>
2015年の作品で2020年に文庫復刊版された。副題は「ジョン・H・ワトソンの冒険」であり、ホームズんのパウティ−シュの長編だ。本作ではワトソンが主人公であり、ホームズ の事や自身とその家族の事や、ホームズ談の小説執筆に関わる出来事を描く。ホームズ談原典の疑問と謎の解釈・真相を描くと共に新たな謎も描く。
2020年04月16日
彼の偶像<岩田準一>
2020年に編まれた作品集だ。画家・風俗研究家の岩田が地方ローカル新聞等に発表していた小説類を集めて編んだ作品集だ。幻想・怪奇・時代小説等のジャンルを中心に 心理を描写した作品が多い。同人誌やローカル新聞掲載作はまだまだ発掘されていない事が判る、資料自体が少ないようだ。
2020年04月16日
警視庁監察官Q<鈴峯紅也>
2017年に出版された文庫書き下ろしだ。特殊能力を持つ監察官・小田垣観月が公安担当や組織暴力担当と揉めながら、警視庁内部の犯罪の摘発を目指した。監察官グループを指揮し、 キャリア女性警官グループと、キャリアウーマンの集まりに参加しいずれも周囲からは魔女などと呼ばれる。膨大な資料保管庫の捜査が始まった。
2020年04月16日
若さま侍捕物手帖10 幻妖七姫伝<城昌幸>
1955年の作品を2019年に復刊された。暦年順の全集として復刊の10冊目で、3作目の長編となる。6冊目の長編「くれない系図」の続編となる伝奇時代小説だ。若さまは短篇とは 異なる形での活躍となる。幻術師同士の争いが主題で背景に別の争いが絡んで展開する。
2020年04月22日
鮎川哲也探偵小説選3<鮎川哲也>
2019年に出版された作品集で、再編された少年小説の作品集だ。少年少女向け探偵小説として山田風太郎・都筑道夫・仁木悦子が出版されて来たが、続編として鮎川哲也作品が レーベルと装丁を変えて、2冊出版された。本作品集では「一夫と豪助の事件簿」を中心に本格ミステリーが中心に集められた。
2020年04月22日
刑事の絆<堂場瞬一>
2013年の作品だ。「警視庁追跡捜査係」シリーズの1作で、西川刑事と沖田刑事らが過去の事件や捜査が難航する事件を別の視点で捜査する。本作は別のシリーズの大友鉄が 襲われた事件を半ば勝手に捜査する。仲間が襲われた事件を追い、結果的に正規の捜査陣とは併行捜査になった。
2020年04月22日
真田忍者、参上<>
2015年のアンソロジーだ。「隠密伝奇傑作集」とされて、柴田練三郎・山田風太郎・宮崎淳・嵐山光三郎・田辺聖子・池波正太郎の作品だ、真田忍者として猿飛佐助と 霧隠才蔵らが色々な切り口で登場する。
2020年04月22日
新幹線殺人事件<森村誠一>
1970年の作品で、1977年の文庫版の増刷版だ。作者初期の本格味の強い長編だ。第1の事件では新幹線でのアリバイの謎を追う、第2の事件では高層建築マンションでの謎を追う。 書かれた時には全国に拡がる前のアイテムを扱い、社会的にもまだ新しい背景だった。
2020年04月28日
明暗屏風<阿部徳蔵>
1933-1939年の雑誌発表作を集めて、作品集として出版された。同人出版の「阿部徳蔵魔術小説」としての3冊目だ。奇術と舞台で行う魔術に関する事をテーマにしているが、 切り口は多彩であり、一定の手法があるわけではない。ミステリと言う訳ではないが、昭和初期の探偵小説として読む事も可能と感じる。
2020年04月28日
偽りの学舎<青木知己>
2007年の作品だ。元刑事のペンションオーナーが塾の代表から依頼されて、塾の教師になって潜入してそこで起きている事件を調べる。謎が次々に登場するが、相互に繋がっている 訳では無いので論理的に推理する事は無理がありそうだ。あえて言えば、オムニバス短篇集の雰囲気のある長編だ。ミステリ・ドラマ的とも言える。
2020年04月28日
ヤオと七つの時空の謎<>
2019年のオリジナルアンソロジーであり、少女・ヤオが飛鳥時代から明治時代を背景に登場して、最後の作品で時代を隠してのまとめ的な展開がある。7人の短篇を収録するが、 個々に読むことが可能だ、むしろ全体の趣向なし時代SFミステリとして読む方が良いとも思える。連作長編としては、7名の作者によるので統一されておらず、微妙だ。
2020年04月28日
恐怖の化粧箱<>
1997年に2作組で編まれたアンソロジーを1999年に3冊に分けて文庫版で復刊された。「女性ミステリー作家傑作選」の2だ。近藤史恵・斎藤澪・篠田節子・柴田よしき・新章文子・ 関口芙沙恵・戸川昌子・永井するみ・夏樹静子・南部樹未子の作品で、昭和36年から平成9年と広い時間範囲から再録されている。
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2020/04に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。