推理小説読書日記(2019/06)
2019年6月03日
荒南風<阿井渉介>
1997年の作品で、2005年に文庫復刊された。元漁師の前科者の主人公はヤクザの組に行き関わった事件の黒幕を探した、そこで組長から息子のボデイガードの仕事を頼まれた。 主人公は仕事のかたわらボデイガードを始めた。息子はヤクザの父が気に入らず、主人公はそれ直そうとした。その中で事件と係わり、黒幕を探した。
2019年6月03日
マレーの虎<大阪圭吉>
1939-1943年の作品を、再編集して2019年に復刊された。戦前の本格派ミステリ作家だが、戦中は規制で書ける内容が異なった、その頃の作品は復刊されず散逸している。 その時期の作品を見つけて、編集して単行本未収録作品として復刊した。ジャンルは多様だ。
2019年6月03日
赤い密約<今野敏>
1994年の作品で、2017年に復刊された。主人公の格闘家はロシアで教えていたが、国内暴動騒ぎに巻き込まれ、あるビデオテープの日本での放映を頼まれた。日本の持ち帰ったが 奪おうとする動きがあった。報道関係に持ち込もうとするが身元や依頼者や信頼度を求められて難しかった。放映を考える人を見つけるが、襲撃される事で価値がある事を 証明する事になった。
2019年6月03日
女子的生活<坂木司>
2017年の作品で、2019年に文庫復刊された。女子的な生活を望む男子が主人公で、理解されない多数の人と、理解する一部の人との関わりの中で立ち向かう。出会う人は それぞれが個性的な反応を示す。はたして主人公は次々の相手に対応出来るのだろうか。
2019年6月09日
ペテロの葬列(上)(下)<宮部みゆき>
2001年の(上)(下)2分冊の長い作品だ。杉村三郎が主人公のシリーズの第3作目だ。企業社報の副編集長の杉村がまた事件に遭遇する。乗り合わせたバスがジャック された事から巻き込まれた。後日に慰謝料が届き、対応に人質らで意見が別れて、杉村が背景を調べる事になった。併行していくつかの事件が絡み、複雑な進行を示した。 杉村個人も意外な展開になった。
2019年6月09日
棟居刑事の断罪<森村誠一>
1995年の作品だ。住宅街の家で強盗殺人が起きた。また轢き逃げ事件が起きたがその被害者に犯罪容疑が浮かんだ。偶然出会い1夜を過ごした男女が強盗犯の轢き逃げ現場に 遭遇して金を奪い山分けしてバラバラに別れて逃げた。捜査陣は轢き逃げ捜査から、強盗殺人との絡みや消え金の行方を追う事になった。
2019年6月09日
五覚堂の殺人<周木律>
2014年の作品だ。奇妙な犯罪の目的で作られた建造物のシリーズとしては3作目だ。山の奥深くに五角形の組み合わせで出来た奇妙な館での事件だ。そこで起きた事件の映像を見て 謎を追う事になる。過去の事件だが時間的には起きたばかりの事件とも言える、その微妙さが謎となった。
2019年6月09日
定本 久生十蘭全集1<久生十蘭>
2008年に出版された全集の第1巻だ、しばらく置いてあったが読み始めた。年代別に初期から並べた事が特徴で、順番が判るのは興味が深い。長編・中編の「ノンシヤラン道中記」 「黄金遁走曲」「金狼」「魔都」「妖術」とそれと同時代の短編が掲載されている。既読作は、一応は飛ばして先を急ぐ。
2019年6月15日
若さま侍捕物手帖1 舞扇の謎<城昌幸>
1939-41年の作品を、書かれた順番に再編集した作品集だ。知名度の高いシリーズであり、キャラクターだが多くの本は選集だった。書かれた順に全てを並べる。その1巻で 徐々に登場人物が増えて行く、場所も次第に拡がり、若さまも活動的に変わって行く。17短編を収録する。
2019年6月15日
慎治<今野敏>
2007年の作品だ。編集者のオタクをテーマにとの依頼で、作者が書いたと言う。中学生の主人公・慎治は虐められて万引きをやらされる。たまたま出会った教師が替わっていて 、慎治に生活で熱中出来る事を持てと教えて、自分の趣味を教えた。それはガンダムでありその模型製作に誘う。そこでは極めつけのオタクの世界があった。他にもサバイバル ゲームの世界オタクや、格闘技オタク等が登場する。
2019年6月15日
射殺の部屋<多岐川恭>
1977年の作品集だ。カバーには本格推理の傑作集となっているが、本格味は強くは無い。事件当事者が主人公的にストーリーが進む。警察も関与するが捜査を描かない。 捜査・推理よりも展開を描いて、読むタイプだ。
2019年6月15日
岡田鯱彦探偵小説選1<岡田鯱彦>
1950-1955年の作品を、2014年に再編集出版された作品集だ。長編「紅い頸巻」と連作の鯱先生物盗り帳等の短編が集められた。源氏物語から取材した長編が有名だが、 幅がある作風の作品を書いている。物理的なトリックより心理的や錯覚的な犯行が多い印象だ。
2019年6月21日
新宿少年探偵団<太田忠司>
1995年の作品で、以降書かれたシリーズの第1作だ。中学生・羽柴荘助・夢野美香・神崎謙太郎・七月響子がコンビを組み、新宿ビル街の事件に絡むが、その発端と謎の人物・ 蘇芳とその部下のジャン・ポールとの出会いが第1回だ。どれもキャラが強い人物でしかも謎が多い。
2019年6月21日
殺されたのは誰だ<ロラック>
1945年の作品が、2019年に日本で翻訳された。戦争末期のロンドンの公園で男が殺害されたが、本当の身元が判らなかった。目撃者の証言は一致せず曖昧で警察を悩ました。 殺害方法も身元も判らない状況で、しかも目撃証言は曖昧か食い違う。多様な隣人と関係者の証言を繋ぎ合わせて、徐々に捜査が進んで行く。
2019年6月21日
棟居刑事の複合遺恨<森村誠一>
1996年の長編だ。中学での生徒の女教師への暴行とその目撃した2人の生徒から始まる、2人は教師の復讐で勝手に暴行した生徒を殺害した。山で暴行を受けた女性が結婚し たが、子を事故でなくし夫に殺意を持った。そしてまた事件が発生した。複数の事件に、複数の人物が過去を含めて繋がっており、警察の捜査を悩ました。
2019年6月21日
シャーロック・ホームズたちの冒険<田中啓文>
2013年の連作作品集で5作からなる。「著名人が探偵役の短篇集」であり、歴史上の人物もあり、小説上の人物もいる、後者の場合はパロディと呼ぶ作品になるのだろう。 「シャーロック・ホームズ」「大石内蔵助」「ヒトラー」「小泉八雲」「ルパン等」。テーマの縛りが緩いので、筆が走る状態だ。
2019年6月27日
殺人ライセンス<今野敏>
2002年の作品だ。インターネットやコンピュータの世界は、変化が激しいので小説に書いても直ぐに内容が古くなる。作者は2002年に最新の情報で書いたが、2008年の復刊時に 大幅に書き直したが無理な所はあり、さらの復刊時は諦めて、時代背景を含めて読んで欲しいと言う。電子機器と科学捜査も同じ状態であり、読者も対応が必要だ。
2019年6月27日
覇王の死<二階堂黎人>
2012年の作品だ。二階堂蘭子がフランスとドイツ人狼城事件後に欧州で過ごしていた。能登の外から閉ざされた村での事件が起こり描かれてゆく。それが未解決のままになり、 蘭子が欧州から子を連れて日本に戻った。そして事件を解決する。長い長編3作続いたラビリンスとの闘いが一応終わった。
2019年6月27日
越中八尾、恩讐の殺人<石川真介>
2004年の作品だ。表面上は作家の吉本紀子と愛知県警・上島警部が事件を捜査する。だが本作は、吉本紀子の知人の売れないミステリ作家の影が強すぎ、そこに吉本紀子のライバル な女性作家が影を落とす、如何にも何かある状況だ。事件は八尾から始まり富山県全域に拡がる、山中や黒部アルペンルートは特殊な交通機関とルートであり、アリバイトリックの 場所となっている
2019年6月27日
暗い越流<若竹七海>
2014年の作品集だ。短篇5作からなり、2作はシリーズキャラクターの葉村晶が捜査する作品だ。日本推理作家協会賞受賞作「暗い越流」も含まれる、表題の短篇だ。キャラクター ものでないと、行き先が判らない不安定感が漂う、特にこの作者はそのような裏切る結末が好きだから。
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2019/06に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。