推理小説読書日記(2018/12)
2018年12月06日
防波堤<今野敏>
2011年の作品集だ。横浜になとみらい署暴対係シリーズの短編6作を収録する。古風なヤクザ・神野と部下の岩倉が、暴対係と大きなヤクザ組織の間に入り微妙に動く。 暴対係の諸橋係長と側近・城島と個性派の部下ベテランのの浜崎と新米の日下部と優男風の倉持を使い活躍する。短編の警察小説だがミステリ味が強い。
2018年12月06日
悪意の夜<ヘレン・マクロイ>
1955年の作品で、2018年に日本に翻訳された。精神科医・ウィリング博士が登場するシリーズはこれで全て訳されたという。この作者の作品には第二次世界大戦を背景にした 作品もあryが、本作はその後の東西冷戦の時期だ、そして主人公が感じる謎が、サスペンスの濃いストーリー展開となる。
2018年12月06日
棟居刑事の黒い祭<森村誠一>
1999年の作品だ。息子が交通事故死し、次に妻が旅行先で死体で見つかりそばで別の男の死体が見つかった。位置と時間的に近く同一犯を疑うが関連が不明となった。 長野県警刑事と所轄刑事と被害者の夫が、疑問を持ち謎を追った。新宿で長野のホステスが殺害されて新宿署・牛尾と本庁那須班と棟居刑事らが捜査を始めた。やがて 双方の事件関係者の繋がりが判る。
2018年12月06日
インド倶楽部の謎<有栖川有栖>
2018年の作品だ。作者がエラリー・クイーンの国名シリーズに倣って繰り広げる、それ以外の国名シリーズだという(作者が)。そして本作の題名はクイーンが予定したが 書かなかった題名という。そもそも本家のシリーズも動機は後つけ的な作品も含む、動機以外で犯人が判る構成だからだ。本作もそれを踏まえて、意外な動機が登場する。
2018年12月12日
街<森村誠一>
2006年の作品だ。新宿署の牛尾刑事はスターを夢見て上京したが、犯罪に巻き込まれそうな女性を助けて自宅に泊めて妻と応援した、女性はやがてテレビで活躍するが、 あうる日に突然姿を消した。東京での多数の人らが色々な事件に出会う、ホームレスの作るアクセサリーもそこに関わる。東京と伊豆伊東で事件が起き、捜査すると関連の疑い が起きて、それぞれあるいは合同で捜査する。牛尾も加わるが消えた女性の名を見つけた。
2018年12月12日
迷走女刑事<鳥飼否宇>
2014年の作品で、連作長編の2冊目だ。捜査1課の女性刑事は突然に幻覚と妄想の世界に入り行動は怪しい、その同僚もあぶない刑事があつまる。第2作目では妄想はやや 減るが、同僚はより危なくなり、事件捜査はより一掃迷走する事になる。
2018年12月12日
首無館の殺人<月原渉>
2018年の作品集だ。明治末の頃に横浜の貿易商の家が衰えた頃を背景とする事件を描く。小栗虫太郎の世界を感じさせる背景と事件が起きて、館に住むお嬢様とその使用人 の探偵役が不思議な事件に立ち向かう事になる。猟奇的な首がかかわる事件が連続して起きた。
2018年12月12日
Nの悲劇 東京−金沢殺人ライン<深谷忠記>
2017年の作品。金沢の新人作家が奇妙な手紙を受け取り、担当編集者の黒江美緒に相談した。東京で死体が見つかり警視庁の勝刑事らが捜査を始めた。兼六園で死体が見つかり 所轄が捜査した。やがてそれが関係する関係する可能性が生まれ、美緒と夫・黒江荘は勝と連絡を取り調べ始めた。事件と謎がシリーズから変わった印象がある作品だ。
2018年12月18日
失楽園殺人事件<小栗虫太郎>
1933-1935年の短編作品を、2000年に再編集で復刊した。「黒死館殺人事件」の探偵役の法水が活躍する短編を7作集めた作品集だ。小栗ならではの奇想が本格探偵小説の 手法で、物理的に生物学的に医学的に心理学的に・・・・・、次元を越えた展開と推理を展開する。異次元の作品だ。
2018年12月18日
腐蝕花壇<森村誠一>
1987年の作品だ。作家・北村直樹は知り合いのタクシー運転手の殺人に衝撃を受けた、数年後に間違いで秘密クラブに紛れ込んだ。ホテルでの死、落下物での直撃死、絞殺死が起き それぞれ捜査を行うと、タクシー運転手の死と繋がる可能性が生まれた。複雑に絡む複数の事件が、動いて行く。
2018年12月18日
TOKAGE 連写<今野敏>
2014年の作品だ。必要に応じて召集される警視庁特殊遊撃捜査隊・通称TOKAGEと呼ばれるバイク隊、主人公の上野数馬と白石涼子は特殊班(SIT)所属のTOKAGEだ。バイクの訓練では 交通機動隊で行う、そこは白バイ隊でプロ集団だ。バイクで逃げる強盗が連続して起きて、特殊班が捜査しTOKAGEは交通機動隊と組んで対応した。
2018年12月18日
分かったで済むなら、名探偵はいらない<林泰広>
2017年の連作長編だ。居酒屋で客が謎を話す、主人公の刑事は自分が有罪にした容疑者の娘を好きになり思い続けた、という危ない設定だ。刑事は居酒屋で色々な事件を考えたり、 客から聞いた謎を考える、妄想かも・。ロミオとジュリエットになぞらえた話題が居酒屋で展開する。
2018年12月24日
凶学の巣<森村誠一>
1995年の作品。長編「凶学の巣」と短編「官僚は落日を見て」からなる。「凶学の巣」は学校暴力やいじめと教師から始まり、ある小説がテーマにする内容から犯罪心理の研究が絡む。 「官僚は落日を見て」は官僚の目から見た議会・議員と官僚人事から始まり、そして事件が起きて行く。
2018年12月24日
屍の命題<門前典之>
2010年の作品だ。雪の山荘に招待された6名に招待者は現れず、そしてそこで次々と死者が増えて行く、最後の1人になった。全員の死体と幾つかの手記が残された事件を 建築家探偵が解明しようとする。「そして誰もいなくなった」テーマが展開されて行く。
2018年12月24日
パディントン・フェアへようこそ<デレック・スミス>
1997年の作品を、2014年に日本語に翻訳された。不可能犯罪テーマの作品でありディクスン・カーへ捧げられている。劇場で演じられた舞台での、射殺シーンで実際に実弾で 射殺された。舞台の上からか?、観客席からか?、多数の目撃者の中での事件を捜査する・演劇の進行が関わるミステリだ。
2018年12月24日
三浦岬「民話」殺人事件<宮田一誠>
1987年の作品。三浦半島の灯台近くで死体が見つかり、取材した記者は行方不明の父の絡みを疑った。調べると昔の新聞に掲載された民話が絡むと知った。そして、地域の民話が 集められて出版されたが、その中に創作民話が含まれている指摘があった。その昔の事件が現在の死体と如何に絡むのか?。
2018年12月30日
通りすがりのレイディ<新井素子>
2016年の作品だ。「星に行く船シリーズ2」で長編「通りすがりのレイディ」と番外篇の短編「中谷広明の決意」を収録している。主人公の森村あゆみは山崎太一朗の紹介で 火星にある水沢総合事務所に就職した。そこはよろず引き受け所で私立探偵も行っている。そのなかでレイディこと月村真樹子と出会いその関わる事件に自身も関わって行く。
2018年12月30日
七之助捕物帖第一巻<納言恭平>
1940-1941年の短編を、2018年に復刊した作品集だ。アマゾンのオンデマンドでの紙媒体出版方式を利用した捕物帖専門の叢書だという。1941年から1948年に出版された4冊の 短編集を3冊に再編集して復刊するという、その第一巻だ。いかにもその頃に書かれた捕物帖の雰囲気だ。花川戸の七之助親分とその子分の音吉が、色々な事件を解決する、1巻 の10作目には、お雪が登場して数作後に七之助と所帯を持つ。
2018年12月30日
川野京輔探偵小説選2<川野京輔>
1956-1994年の作品集5冊を中心に、再構成した2018年の復刊した作品集だ。ジャンルは広いというか、長年の多数の作品を色々集めた作品集だろう。本格・謎解きのミステリ は少ない。勤務した放送業界ならではの専門的な事象・トリックを利用した作品は多い。作者の著書リストがあるがミステリ以外の方が多い。
2018年12月30日
知多半島殺人連鎖<石川真介>
2002年の作品だ。前半の1/3は、知多半島のホテル社長の御曹司の妻となった静香から事件が語られる、夫とその兄妹とホテル関係者そして謎の人物が登場して自身が死ぬ。 中盤は天界から地上見るという展開になる特に意味はなく都合が良いからだろう。後半になるとレギュラーのキャラの女作家と刑事が登場して捜査する、捜査は広域に拡がる。
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2018/12に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。