推理小説読書日記(2018/09)
2018年09月01日
我もし参謀長なりせば<>
1939年の作品が、2018年に復刊された。欧州で始まったばかりの第二次世界大戦初期には、日本は不介入していた。その時に雑誌が、大下宇陀児・蘭郁二郎・甲賀三郎・ 海野十三・渡辺啓助の5人にドイツか英国・フランス側かの参謀になり作戦を立てさせた企画だ。
2018年09月01日
舞鶴丹後鳴き砂殺人ライン<石川真介>
2006年の作品集だ。京都府警のトップが不在時に指揮を取るべき事件が発生する、その時のトップと妻と次席の対応は・・・。別の事件を調べていた吉本紀子と上島警部は 関係者を突き止めて行く・・・。双方が併行して進み接点が現れてくる。異様な展開はなんとも言いがたい。
2018年09月01日
涼やかに静かに殺せ<森村誠一>
2016年の作品だ。ホテルの会員制クラブにあつまる多彩なメンバーに、事件の相談が持ち込まれた。メンバーらの方法で解決して行く、事件の背後にはプロ集団・組織 の存在があるようだ。事件で知り合った新しいメンバーが加わり、次々と新しい展開が起きて行く。サスペンスとコンゲームと複数の併行する事件の絡み合い等を描く。
2018年09月01日
ゼロにある死角<笠原卓>
1973年の作品だ。商社ビジネス・産業界・サラリーマンを舞台にしたミステリが多く書かれた時代だった、本作はそれを舞台にした本格味が強いミステリだ。動機やトリックが この舞台とストーリーから生まれている。商社を舞台にすると情報小説やコンゲーム的な要素が多くなるが、本作でもその要素はあるが基本は舞台となるだけだ。
2018年09月07日
新羅千年秘宝伝説<麗羅>
1994年の作品。50年振りに韓国を訪れた父が行方不明になり、その息子が探しに韓国を訪れた。父の目的を追い探そうとすると、案内人や父との知りあいとかが現れる。 戦後直ぐの日本で何が有ったのか、持ち込んだ香炉と秘宝との関係は、色々な謎を追うと、関係者が現れて来ると共に、父の訪問予定者を訪ねて、50年前の謎をも調べる 事になる。
2018年09月07日
棟居刑事の恋人たちの聖地<森村誠一>
2011年の作品。珍しいSF設定のミステリだ。2年前と現在と3年後を行き交い出来る人物、それは喫茶店「恋人たちの聖地」で行われるが可能な人物は限られる。この範囲の 時間移動は修繕可能な範囲では実現出来る設定だ。従って3年後の事件を現代に僅かな変更で避けようとする。それは現在−過去でも同じだ。僅かな修正?、それには事件の 原因や真相を知る事で可能になる。棟居刑事は現代の失踪事件を捜査する。
2018年09月07日
マインド<今野敏>
2015年の作品。警視庁碓井刑事シリーズの6作目だ。このシリーズは探偵役のゲストが碓井とコンビで捜査する事が特徴だ。第4作目に登場した女性心理捜査官・藤森紗英の 再登場だ。捜査1課長は自殺2件と殺人2件が同日同時間に起きた事が気になり特捜班を作る、それ以外に3件の未遂事件もあったと調べていた藤森が参加する。時間以外は 無関係に見える7つの事件のミッシングリンクを探す。特捜班の捜査が続く。
2018年09月07日
五匹の子豚<アガサ・クリスティ>
1942年の作品、翻訳は1977年。探偵・ポアロに女性が16年前に父の殺人事件の犯人として有罪となった母の事件の再捜査を依頼した。犯人が認めている犯行に、別の真実は あるのか。ポアロは事件の捜査人・検事・弁護人などから聞き込んで行き、次に当時の関係者と証言者に会い記憶を思い返した手記を依頼した。それらが集まった時に、 そこから推測出来る別の真相があると解き語る。
2018年09月13日
三面鏡の恐怖<木々高太郎>
1948年の作品を、2018年に復刊。当時に文学派と呼ばれてトリック派の江戸川乱歩と対立意見を書いていた(編集者の意向が強いようだ)作者は実は多彩な作風であり、分類が 好きなミステリ読者の見方は幅が広い。入手可能な作品が少ない事も原因だ、本作も初めての復刊でが、内容は本格味・捜査味・犯罪味・サスペンス味・心理味が混ざる。 今で言う多視点からの表現・心理描写の先駆作だとも言える。
2018年09月13日
人でなしの遍歴<多岐川恭>
1961,1960年の作品の合冊。長編「人でなしの遍歴」「静かな教授」の2冊からなる。どちらも当事者(被害者?、加害者?)から事件と経過を描き、広義の捜査行動を 行う。ストーリー展開を読ませる内容で有り、意外な設定と意外な展開が売りだろう、それは犯罪小説とも言える。被害者が加害者を捜す所は、捜査ミステリとも言える。
2018年09月13日
宿闘 渋谷署強行犯係<今野敏>
1993年の作品。接骨師・竜門と渋谷署・辰巳刑事が武道家(広義の)関わる事件を調べて解決するシリーズの1冊だ。今回襲われるのは過去が不明な3人で、それへの復讐 なのか、どのような技と力を持つ者が襲うのかが判らない竜門と辰巳は、九州の島に行き調べる。 最大の課題かも知れない。
2018年09月13日
殺人の花壇<森村誠一>
1995年の作品。老作家・北村直樹は複数の事件にわずかな事で関わる事になる。青春の思い出もあり、係わり調べる内に捜査刑事を含めた多数の人物にあう。そして 複数の事件は、あちこちで絡み合った複雑さがあり、しかも背景に別の犯罪が隠れている事が判って行く。
2018年09月19日
ときどき旅に出るカフェ<近藤史恵>
2017年の作品で、10話からなる連作形式の長編だ。30代後半のOLの奈良瑛子が語り手で職場とプライベートの生活を語る。住まいの付近で会社を退職した女性が カフェを開いているのに出会い常連となった。オーナーの葛井円は月の最初に休み、外国を含めて旅行して料理等を楽しみ憶えて、月の残りではそれを作り店で出している。 色々な国の料理が体験に基付いて店に出る。そんな環境での、二人が遭遇する色々な謎と事件を描く。
2018年09月19日
蘭郁二郎集<蘭郁二郎>
1931-1941年の作品を集めて、2003年に復刊した作品集だ。1943年までの戦前作家であり、最初は怪奇と幻想的な戦前風の探偵小説作家だった。その後にSFの先駆作とも 言われている科学小説を書いている、このジャンルには長編も書かれている。本作品集は主として、前半の怪奇と幻想的な探偵小説が集められている。
2018年09月19日
狩人の悪夢<有栖川有栖>
2017年の作品だ。ミステリ作家の有栖川有栖は雑誌の対談で、悪夢を描いたシリーズでのベストセラー作家・白布施正都と担当編集者と知り合った。その結果で京都亀岡の 自宅に泊まる事になるが、夜の暴風雨後に死体が発見された。閉ざされた空間的な事件に、火村が加わり捜査が始まった。デビュー時の「月光ゲーム」や「孤島パズル」の 雰囲気も漂うなかでのミステリが展開する。
2018年09月19日
春や春<森谷明子>
2015年の作品。俳句好きの女子高生が俳句甲子園がある事を知り、個人的にも出たい理由があり、仲間を集めて同好会を作る。そして、地方大会から全国大会と進んで行く。 それぞれの生徒の異なる事情と、周囲の関係者の事情と思いとを併行して描く。俳句について、俳句甲子園という競技について、どちらとも詳しい人は少ないだろうが、 それぞれが異なる面白みがありとして描かれている。
2018年09月25日
水の都大阪3重殺<石川真介>
2005年の作品だ。大阪で無関係と思える殺人が、次々に起こる。上島警部と吉本紀子がなぜか、連続殺人だと調べ始める。レギュラー探偵役の根拠の薄い仮説だが、 小説だからストーリーは各地と過去や色々に拡がって行く事になる。
2018年09月25日
ウロボロスの純正音律<竹本健治>
2006年の作品だ。分厚い上下2冊本の大作だ。作者と同名の主人公が、その日常の執筆活動を描く形だが、その場所は大きな歴史的な屋敷であり、膨大な本や資料がある。 その先代の由来を併行して調べると色々な真実が判ってくる。ミステリ界・出版界の実名が多数登場する。ゲストだから本筋以外・・ではなく、事件や謎の直接にかかわる。 まずは死者となり登場する・・・・・。
2018年09月25日
死と砂時計<鳥飼否宇>
2015年の作品だ。某国が作った死刑囚専門の収容所が舞台の、連作短編集であり、死刑囚の探偵役とワトソン役風で連作が進む。連作長編だからその後に展開は素直ではない。 死刑囚の殺人というテーマが一貫して存在する、不必要な殺人の筈が何故行われたかが調べられて行く。
2018年09月25日
深海の夜景<森村誠一>
2013年の作品集だ。短編7作からなる。長編のスタイルと大きくは異ならないが、多数の事件の絡みや捜査状況の描写や多数の人の事件への絡みは、長さに従い調整される。 ひとつひとつの短編は、長編に展開も可能だろうが、短くまとめても違和感はない。社会・歴史・人物などの切り取りから事件への絡みが展開する。
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2018/09に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。