推理小説読書日記(2018/04)
2018年04月04日
誰に見しょとて<管浩江>
美容から始まり医療の性格も持ち、それがより大きなプロジェクトへと拡がる10作の連作SF集だ。肌の改質・改善からはじめたコスメ企業が急激に拡大し、壮大な事業に拡がる。 それに絡む人物と隠された行動と思いを描く。題名は長唄「京鹿子娘道成寺」の一節らしい。
2018年04月04日
緋色のシグナル<麻見和史>
副題は「警視庁文書捜査官 エピソード・ゼロ」だ。シリーズ3作目だが、本作はエピソード・ゼロだ、テレビ連続ドラマ化される様だが、原作は少なく殆どはオリジナル台本が 予想される。本作は、文書に関心を持つ鳴海理沙の初期の捜査時代のエピソードだ。
2018年04月04日
火恋<連城三紀彦>
5作からなる作品集だ。舞台の中心は中国に返還される直前の香港だが、登場人物の過去も多く語られる。国際的な町だから、日本人と複数の民族の人物が登場する。 事情や国勢も大きく係わるが恋愛事情もある、多彩な内容が絡むミステリー集となっている。時代と都市の事情が絡む内容も多い。
2018年04月04日
棟居刑事の純白の証明<森村誠一>
棟居刑事は休日に登山し女性と出会う。戻ると官僚の転落死が起き、自殺か他殺かを調べ始める、その関係者に登山好きの人物が多くいて、異なる職業だが山の趣味が共通する。 だが若い時代の接点はその後にどのように繋がるかに疑問があり、山登りの行為での隠蔽が見つかってゆく・・・。
2018年04月04日
時空いちびり百景<かんべむさし・堀晃>
小説ではなくエッセイ集だ。関西を舞台にした、短いエッセイを2人の作家が交互に新聞連載した。それをまとめた本だが、エッセイといってもショートショート的な味が 強く小説との差は微妙だ。
2018年04月10日
虚線の山<梓林太郎>
3作から短編集だ。それ程には山には関係が少ない、犯罪小説に属する内容だ。山に繋がる題名とは異なる展開に感じる。
2018年04月10日
東尋坊マジック<二階堂黎人>
水乃サトルと由加里コンビのシリーズの1作だ、ツアー企画絡みで東尋坊に行くと事件に出会う。情報を得ようとして知り合い刑事に連絡するとそちらの事件に巻き込まれる。 そちらの事件は京都久美浜だが、似た事件を調べると新潟・島根とどんどんと広がり、強行スケジュールで調べまわる事になる。そこそこ長い小説だが事件が拡がり、書き足らない ように思えた。
2018年04月10日
黒いコンドル<仁科透>
コンドルは南米のアンデス山脈に住む鳥だ。商社マンがチリもサンチャゴに赴任して仕事を始める。違う世界での生活と、仕事のなかで上司や競合や相手先や現地企業と 深く関わって行くと、盗聴事件や勢力争いや現地反対組織等の影とトラブルが出て来る。陰謀のなかでどうなるか・・・
2018年04月10日
任侠病院<今野敏>
社会貢献好きのヤクザ組長の行動に悩む主人公の代貸しは、またも赤字病院の建て直しに巻き込まれる。理事に就任させられると、業務委託先にヤクザの影があった。 病院経営や医師や看護師を含めた医療問題を描きながら、土地買収問題へ対応して経営建て直しを行って行く。
2018年04月10日
殺意の朝日連峰<太田蘭三>
朝日連峰は新潟と山形の境の山だが主人公の釣りと山の作家とその年の離れた愛人とが登山途中に死体を見つける。東京と山とを犯罪で結びつける構成だが、そこは都合で 強引になる。謎解き風に進めるが現実は犯罪小説の性格が強くなるようだ。
2018年04月16日
工作名カサンドラ<曽根圭介>
2015年の作品。ストーリーの書きづらい作品のひとつで、それ自体がトリックというか狙いとなっている。主人公の狙撃技術の高い自衛官が巻き込まれた事件の責任を 追わされて退職させられる、その後の仕事探しや近づく人物から別の事件に絡まって行く。一方で刑事2人が捜査する事件はゆっくりと真相に近づいてゆく。そして併行して 色々と起きるが・・・・・。
2018年04月16日
凍血樹林<梓林太郎>
1992年に書かれた作品だ。長野県警豊科署・道原刑事が捜査するが、山での事件を追う警察小説だ。山登りが舞台だと、色々と条件があり、登山名簿や山小屋やルート があり、歩く時間のアリバイも町中と異なる。
2018年04月16日
東北新幹線「やまびこ」の殺人<草川隆>
1992年に書かれた作品。紅茶館のマスター・佐久間と常連の奥山未知が主人公で、そこへ来る他の客が持ち込む事件を調べ始める。親しい刑事も登場する。芸能界と女優と マネージャーが絡む事件が起きて、いつしか主人公らが調べ始める。
2018年04月16日
6時間後に君は死ぬ<高野和明>
2007年の作品。登場人物に重なりがある短編・中編6作からなる連作集だ。相互に僅かな関係がある。未来予知がテーマになり、見える?人物が登場する。SFかサスペンスか?。 1話が「6時間後に君は死ぬ」で残った謎を5話の「3時間後に僕は死ぬ」で解かれる・・・かもしれない。
2018年04月16日
琵琶湖殺人探訪<石川真介>
2000年の作品だ。作家・吉本紀子と上島警部が主人公で、紀子が取材を兼ねて事件を調べると有名人の紀子には次々と情報が集まる事になる。別れた夫婦が同じ地域で住み 浮気相手や子も近くにい状況を取材すると、当事者が殺される。どちらの関係者なのか、過去になにがあったか、日常に接触があったのか?。
2018年04月22日
閨閥<夏樹静子>
1978年の短編集で6作を収録する。テーマやジャンルを問わず収録した純粋の短編集だ。保険金詐欺や完全犯罪や喫煙公害問題や遺産相続や不倫心中や閨閥絡みの社会問題 をテーマの一つとする、ストーリー展開で変わって行く事も実は・・的な事もあるのがミステリーだ。
2018年04月22日
エネミイ<森村誠一>
2011年の作品。何かの被害者には家族がいるが、それら4人が偶然に会い集まりを作り正義と恨みを語る。事件加害者が続いて殺害されると棟居刑事らは被害者側の復讐の可能性を考えた。 被害者家族らの視点と刑事らの視点を中心に描かれるが、恨みの思いが実際の復讐になったかどうかは不明だ。強い表面の動機の影に別の物があるのか?。
2018年04月22日
煉獄の山<梓林太郎>
1995年の作品。犯罪小説に当たるだろう、謎の密告・脅しを受けた側から事件が始まるが、その背景には過去の事件・犯罪?・・があるらしい。脅される者と脅す者が、 名簿売買という商売絡みで絡んで行き、そこに警察も介入する事に発展して行く。
2018年04月22日
昆虫探偵 蜉蝣渓谷殺人事件<平野肇>
1993年のデビュー作だ。作者の分身とも言える、釣り関係のライター・矢張双が語り手であり、そこに昆虫好き駐在所巡査の昆虫探偵・向坊一美がその知識を使って、 村で起きた事件を解決する。昆虫の知識を使ったミステリーは複数書かれているが、これはあまりにもダイレクトな昆虫ミステリーだと言える。
2018年04月22日
横溝正史探偵小説選2<横溝正史>
角川文庫・春陽文庫を中心に多数の作品が出版されたが、その後でも単行本未収録作品が見つかり出版されて来た。この本もその一冊であり、収録作は三津木俊助が登場 する少年小説5作に、少年小説8作等を加えた、少年小説の単行本未収録作を集めた作品集だ。複数の未収録作品集が出されている。
2018年04月28日
あなたの隣にいる孤独<樋口有介>
2017年作品。戸籍が無く母と隣の家で住む少女は、学校に行かず古書店で購入した教科書で勉強している。母はあの人から逃げていると言う。周囲との係わりを持たない少女が、 古書店主と手伝いと出会い親しくなって行くと、事件が起きる「あの人に見つかり逃げる」と言われた。
2018年04月28日
上越新幹線信濃川殺人事件<草川隆>
1999年作品。「珈琲館」の2人が事件に興味を持った。東京に着いた列車と、大阪に着いた列車から殺人事件の疑いが生じ、次に出発駅の新潟近くの川から死体が見つかった。 関連する事件だと考えて捜査がそれぞれの警察で始まった。
2018年04月28日
罪・万華鏡<佐々木丸美>
1983年作品、作者の最後期に当たる。精神鑑定医が遭遇した女性たちのオムニバス短編集だ。連続性と類似性とがある。被害者と加害者との闘いから、医師は加害者を たすけようとする。その理由は?、手段は?、その展開は?。
2018年04月28日
神戸中禅寺湖殺人事件<石川真介>
2009年作品。作家・吉本紀子は捜査依頼で神戸に行くが何故か、依頼者が避けて会わない。同時に殺人事件が発生して上島刑事と捜索する事になる。過去と現在の複数の 事件が絡む上に、中心人物からの証言が得られない。偶然が重なり生じた事件と展開は、気まぐれに展開する。
2018年04月28日
爆裂火口<梓林太郎>
東京で襲われたらしい男が、信州で人を殺したと言った。長野の道原刑事らが調べ始める。やがて白骨が見つかるが、その身元探しが始まる。日本各地に身元と犯人を 探す地味で長い捜査がおこなわれる。身元探しが中心の警察小説だ。
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2018/04に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。