推理小説読書日記(2018/03)
2018年03月05日
独り旅の記憶<夏樹静子>
1991年初出の短編集だ。「独り旅の記憶」「DINKS」「雨に濡れた遺書」「二人の目撃者」「ひと言の罰」「「死ぬ」という女」収録の文庫版だ。他の文庫版の 収録と一部に重複があるようだ。単行本か文庫版か、どこで重複したのかは不明だ。
2018年03月05日
聖域の殺戮<二階堂黎人>
西暦24世紀を舞台にしたSF設定の本格ミステリーだ。宇宙戦艦「ギガンテス」とその乗組員らが、恒星連盟の特別捜査員として宇宙の事件を調べる。背景が架空の世界で 事件も謎も特殊な状況でのミステリとなる。アシモフが試みている本格ミステリのジャンルだ。
2018年03月05日
江戸の陰獣<横溝正史>
昭和30年代前半に書かれたお役者文七が主人公の捕物帳的な、時代推理だ。シリーズは長編5作と、本作品集となる。「狒々の女」「江戸の陰獣」「恐怖の雪だるま」を 収録する。短編では、文七は登場するが活躍談というよりは、風変わりな事件を描く話しだと言える。
2018年03月05日
放課後のプレアデス みなとの星宙<管浩江>
アニメ「放課後のプレアデス」のノベライズで、登場人物の少年・みなとの視点で描く物語だ。私はアニメを知らないので全てが新しい。病気の少年が想像の世界で出会う 少女・昴と色々な世界を広く深く描いて行く。色々な科学アイテムや、宮澤賢治の「星めぐりの歌」などの話しや歌も登場する。
2018年03月11日
八葉幻夢譚<近藤史恵>
コンピュータゲームのノベライズシリーズだ。現代から中世風の架空の時代に行き事件に遭遇するストーリーであり、ゲームに登場するキャラクターを中心に描く。 ゲームでキャラクター毎に異なる事件がまつ展開を、個別の短編にして短編集を構成している。
2018年03月11日
渡辺啓助集<渡辺啓助>
20世紀全体を生きた探偵小説界の長老といわれた作者の初期の短編集だ。複数の作品集を合わせた独自編集となっている。推理と幻想と怪奇が混ざった作風であり 昭和初期のデビューから独自のスタイルの短編を中心に長く活躍した。。
2018年03月11日
いつまたあう<久生十蘭・二反長半>
久生十蘭が少女雑誌に連載した小説が作者の死で中絶した。それを別人が追加連載して完成された。追加文を含めたものを完全版と称するが、本書はそれにあたる。 漢字が非常に少ない文は逆に読みづらく感じる。
2018年03月11日
あかつき球団事務所にようこそ<青井夏海>
少年野球からはじきだされた形になっていた女性が家を飛び出して暮らす。そこで偶然出会った、老女野球チームとの出会いと生活を描く。なぜの老人が野球をするのか。 そしてやはり老人のチームとの対戦を行うが意外な中断になる。個々の事情を抱えた人たちの事情が判る内に、主人公の事情が判り、心が揺れる。
2018年03月17日
深海の人魚<森村誠一>
連作長編の形態を取る長編でありレギュラーの棟居刑事も登場するが、警察小説としての内容は弱い。政界・財界や海外VIP相手専門の接待女性斡旋組織が舞台になる。 会員制クラブオーナーの女性が持ち込まれる依頼に対して、対応方法と適した相手を選ぶ。そしてその女性と相手との出会いと短い時間の過ごす経過を描く。秘密の 世界なので事件事故が絡み、その中の刑事事件を棟居が追う事になる。
2018年03月17日
白い花の舞い散る時間<友桐夏>
少女向きに書かれたライトミステリなのだが、登場人物と動機等と背景設定等を除けば、学園ミステリ等のリアル性を追及しないミステリと似た内容だと言える。 ネット上のハンドル名かもしれない繋がりの女性数人が実際に集まる事になる、名前も知らない初めての事だから別人が混ざっていても判らない、来ない人は何故か、 殺されたのか、あるいは殺人者なのか・・・。
2018年03月17日
修道女フィデルマの挑戦<トレメイン>
フィデルマが登場する短編集だ。フィデルマが法律家として学ぶ時代から、異なる年代の話しを集める。内容も学園ミステリや歴史ミステリを含む多彩な内容であり、 シリーズに登場するレギュラー的なキャラクターも順次登場する。多彩な本格ミステリを集めた短編集だ。
2018年03月17日
沙霧秘話<佐々木冬美>
短い長編であり中編かも知れない。主人公の沙霧とは誰か、2人登場するがその関係も詳細も曖昧のままに話しが進む。そもそも同じ名前で似た女性だから、小説で 描き分けられているとは言いがたい。読者は混乱した状態で、謎に包まれた2人の秘密を追う事になる。
2018年03月23日
任侠学園<今野敏>
任侠道を引き継ぐヤクザの組長が倒産寸前の私立高校の理事長になった。そこでは理事会と生徒の親が対立し、間の教師が押さえつけられている。結果的に生徒にも権力 が蔓延り意欲を無くしている。さてそこに乗りこみ建て直しは可能か?。親が子を駄目にする学校の再生は可能か。
2018年03月23日
大阪ラビリンス<>
有栖川有栖が選ぶ大阪を舞台にした短編のアンソロジーだ、ミステリーではなくエンターテイメントジャンルか?それも広い。何故か本人の作品はない。宇野浩二・横溝正史・ 織田作之助・小松左京・・・・かなりメジャーな作家も並ぶ。
2018年03月23日
砂の殺意<夏樹静子>
作者の初期の代表的な短編集であり本格味やトリック性が強い。力作揃いと感じるし、視点が微妙に変わり効果を出す。増刷に増刷を重ねる本で有り、版数に驚く。 女性主人公で日常の心理を描く事が中心だが、複数人の対立とその中で遭う事件が大きな波紋を起こす。
2018年03月23日
喘ぎ泣く死美人<横溝正史>
ほぼ全部の作品が昭和50年頃に文庫化されているが、その後に未収録作品が見つけられた。その一部が集められた短編集だ。掌篇を含む、主に初期の作品集だ。 いずれまた古書でしか読めなくなる作品だろう。
2018年03月29日
棟居刑事の殺人の隙間<森村誠一>
主人公は会社のトラブル処理部署にいたが、身代わりで退職した。そこでその方面のコンサルタント会社を作った。従業員2人の隙間の仕事だが、口コミで依頼が増え 色々な裏の社会に係わる事になって行く。過去に係わった事件や人物にも再度係わると、殺人事件が起きて警察も調べ始めた。複数の事件が絡み話しが進む。
2018年03月29日
猫には推理がよく似合う<深木章子>
弁護士事務所の事務員と猫の奇妙な会話??で前半の話しが進む、猫が会話し推理し小説を書く??。その状況で事件が起きる。後半は一転して、前半の状況を残された 手掛かりで推理して行くことになる、睦木怜は如何にこの状況を解決するか。
2018年03月29日
妖曲羅生門<高井忍>
平安時代に藤原道長・道綱らが京都周辺で起きる奇妙に見える事件を解く。不思議な事は普通にあり、それは色々な形で伝えられてゆく時代だった。裏の真相は隠されて 後世に残って行くが、それらに当時の人物らが解明したという展開で描く。連作短編集だ。
2018年03月29日
吸血鬼と精神分析<笠井潔>
パリを舞台にした矢吹駆とナディア・モガールがパリ警察と共に連続して起きる血を抜かれた死体事件を調べる。1週に1人死体が見つかり数人目で解決する短い期間の 事件だが、小説自体は長い分量がある。吸血鬼のモチーフという事でルーマニアからの亡命者が複数登場する。そしてフロイト回帰主義思想家や精神医らが登場する。 長く重たく話しが進む。
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2018/03に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。