推理小説読書日記(2018/02)
2018年02月03日
狙撃者の悲歌<森村誠一>
ヤクザの兄貴分から狙撃者として頼まれた人物がヤクザの組争いの中で機会が訪れるのを待つ、無実の罪を着せられた男が女性と知り合う、巡査が追われる男を無実だと思い 助けようとする。事件を追う警察は事件を調べて、異なる事件での、人物の偶然の繋がりを見つける。それは裏のある事件関係者も同様だった。偶然と必然とが絡み合う。
2018年02月03日
マル暴甘糟<今野敏>
気の弱い真面目だが優しいというマル暴刑事・甘糟が日常業務のなかで、事件の捜査本部に入れられる。仲間の刑事と、殺人班の刑事と組むが、事前に事件を止めるマル暴の仕事と 事件後に犯人を追う刑事課の仕事の差でぎくしゃくする。しかし次第に理解しあい、捜査する内に優しい刑事が事件を解決して、抗争を抑える。
2018年02月03日
増加博士と目減卿<二階堂黎人>
題名・登場人物はカーの登場人物のフェル博士とメルベール卿から取っている。小説の中の登場人物が、その小説の二重構造の外側で動き話すという、メタミステリと呼ばれる 形式をとる短編3作の作品集だ。変則な形式故に内容も変則的だ。好き嫌いが別れそうだ。
2018年02月03日
女の銃<夏樹静子>
サスペンス色が濃いミステリー短編集だ。初期作品であり、短い中に色々を詰め込んでいると言える。基本は短編ならでは1アイデアだが、他の要素の詰め込みと個々の 作品間のばらつけ方で、読んで見ないと判らない構成に成功している。
2018年02月09日
謎の紅蝙蝠<横溝正史>
「お役者文七捕物暦」シリーズの長編4冊目だ。盗賊・紅蝙蝠団の4人組が奪った金を隠した事から始まる。その在処を3枚の地図に書いたが、同時に保有して読まないと 隠し場所が判らない。そこから時間が経過して、地図探しが始まり盗み合う、それに関する事件が起きる、そこから段々と話しが大きく拡がって行く。
2018年02月09日
エイトハンドレッド<植田文博>
主人公がホームレス仲間に加わる所から始まる。メンバーは互いに身元不明でそれを気にしない生活だが、それぞれが謎めいた面を持つ。そして主人公がそこの暮らしと 人を知り始めるとストーリーが展開する。サスペンス・冒険・アクションの影に、謎の組織かあるいは個人かが何かを企み絡まり多様な展開を見せる。
2018年02月09日
赤沼三郎探偵小説選<赤沼三郎>
戦前に登場した探偵小説作家だが、本来は純文学かもしれない?。長編「悪魔黙示録」で有名でありそれは本格味も強いが、短編はホラー・怪奇・コント風が主体だ。作品毎の 枚数が少ない時代であり、後のショートショート的な長さなればコント風は仕方がないだろう。その時代は周囲は怪奇・幻想の時代だった。
2018年02月09日
維納の森殺人事件<高柳芳夫>
ウィーンの日本大使館事務官・草場が主人公のシリーズの1作だ。仕事と接待に追われる生活を送る内に、次第にKDDI事件の後遺症的な事件と、殺人事件に巻き込まれる。 とても探偵キャラでないのだが、後半になると突如目覚めて捜査して、かなりトリッキーな事件を暴く。
2018年02月15日
機龍警察 自爆条項<月村了衛>
コンピュータ系のパワースーツという戦闘機器を使う近未来を舞台にした警察小説であり、アクション等を含む小説だ。捜査員であり機器の操縦員でもある3人も主人公だ。 その他にも複数人の主人公がいる。アイルランドのテロ組織出身でそこを出て命を狙われる傭兵の操縦員が中心となり展開してゆく。題名はやや書きすぎだろう。
2018年02月15日
勁草<黒川博行>
大阪を舞台にした、振り込み詐欺グループとそれを追う警察の摘発グループを描く。詐欺のグループと組織と黒幕が以下に詐欺を行うか、騙すグループと金を引き出すグループ を以下に操るか。そのなかでトラブルが起こる、そして殺人事件も起きる。その状況は機能が止まる部分が生じる、そこからセキュリティが高くなった銀行から以下に 金を下ろすかの苦闘になる。時間がかかるなかで警察の捜査が追いかける。
2018年02月15日
妖恋<皆川博子>
江戸時代を背景にした時代小説の短編集だ。そこでの色々な恋と顛末が描かれるが、そこにはミステリーも幻想もある、その境目はシームレスであり展開も結末も予想が 付きにくい。江戸時代は幻想や架空の話しが合いそうで、ジャンルをまたぐ短編集は効果的だ。
2018年02月15日
ミッドウェイ<森村誠一>
1991年書かれた戦記小説だ。詩を愛する日本人学生と、日本人商人の娘と、娘と知り合ったアメリカ人若者が併行して描かれる。それぞれの出会いと別れ、そして 太平洋戦争での接近を背景に、真珠湾攻撃と珊瑚海の闘いとを描き、実質的に戦争自体の分かれ目となるミッドウェイでの詳細を作者自身の見方で描く。解釈は今も 複数だが次第にこの小説に傾向に寄って来ていると思える。
2018年02月21日
祟り火の一族<小島正樹>
名探偵ものと呼ぶのにふさわしい作品であり作者だ。複雑な謎を可能性があるだけの手掛かりで解いてしまう名探偵役が登場する。同時に自らは解決も、手柄も望まないが 成り行きで事件を解決してしまい望まない手柄を上げてしまう警官が登場する。2人にふさわしい謎が提示される。
2018年02月21日
氷結の魂(上)<管浩江>
ファンタジーの長編だ。異世界を舞台にして、多数の登場人物(または存在)が争いを繰り拡げる。それは未知の世界へ向かう冒険であり、連合軍の内部の対立と協力と、 スパイと裏切りが存在する。対立する側から見ても事情は同じだ。そこはアクションとは異なる別の争いがある。
2018年02月21日
氷結の魂(下)<管浩江>
火の神を祭る国が氷と雪の魔王に襲われて王夫妻が殺され、王女の心を奪う。そこは寂れて暗い世界に変わり外部との交流を閉ざす。それに気づいた泉の国の王子らの 同盟国が連合して、救うが心は氷の魔王を倒すしかない。かくして遠い氷の魔王がいる所に遠征を始める。火を司るものを始め登場するものの思惑と、素性は何か。
2018年02月21日
任侠書房<今野敏>
任侠道を引き継ぐヤクザの組長が倒産寸前の出版社を救う為に社長に就任する。あわてた主人公の代貸が、組長に困りながらも、なんとかしようと走り廻る。次々と起きる トラブル対策に追われる事になる。
2018年02月27日
ジェノサイド(上)<高野和明>
米大統領がとる強行政策の元で、密かに4名の戦士を秘密に集めて使命が命じられた。アフリカのコンゴに潜入して複数のミッションだが、片方が具体的でなかった。 東京の薬大生が亡き父の遺言から新しい薬の合成を託されたが、そんな事が可能か?。コンゴに潜入した4名は予想外の事態に遭い、状況が大きく変わって行く。
2018年02月27日
ジェノサイド(下)<高野和明>
父が残した脅威的なコンピュータ・ソフトが新薬合成を計算する、ただし時間制限に間に合うか。想定が狂った米大統領府は力での解決を目指すが、理解を超えた未来の 知性??がそれを阻む、日本とコンゴから脱出する一行とを結ぶ通信に背後には何が存在して何をコントロールするのか。裏の裏に何が有るのかは、徐々に明らかになる。
2018年02月27日
棟居刑事 悪の山<森村誠一>
長野県警大町署熊耳刑事は山で起きた事件を調べる。山と山荘で起きた個別の事件が明らかになった。棟居刑事はその一つに絡むと共に他の事件も知り、繋がりがあるのかと 考えた。山と山に登る人のあるべき姿は何かを考えながら何があったか起きたかを調べて行く。
2018年02月27日
あらしの白はと 黒頭巾の巻<西條八十>
西條八十が昭和30年前半にかいた少女小説だが、グループを組む少女たちが悪と対決すると言うアクション小説だ。第三巻の本書ではあたらしい仲間を増やして、なんと 黒頭巾団となり登場する。そして展開は、その中でも運動能力が優れているがやや無鉄砲な一人が中心でストーリーが進む。そこでは強敵のライバルが登場している。
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2018/02に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。