推理小説読書日記(2018/01)
2018年01月04日
棟居刑事の情熱<森村誠一>
冒頭で、休暇で穂高岳に登山した棟居が本宮桐子に出会う。銀行のCDからの現金輸送が襲撃される殺人事件が起きる。つぎにその事件を調べていた者が殺害された。本庁・棟居刑事らと 新宿署牛尾らが調べる。神奈川厚木署が次に碑文谷署・・・と事件が起きる。個々の捜査から始まり繋がりが次第に見えてくる。被害者の娘の桐子と再会した棟居はその亡き父を 共に福岡に追う
2018年01月04日
謎の館へようこそ 黒<>
新本格30年記念アンソロジー2集。はやみねかおる・恩田陸・高田崇史・綾崎隼・白井智之・井上真偽。デビュー年に差がある作家のオリジナルアンソロジーであり、 新しい作家はいかにも今風の作風に見える。
2018年01月04日
ウサギの天使が呼んでいる<青柳碧人>
「ほしがり堂」経営する深町百合夫が主人公でお宝を探し集めて売るという奇妙な生活の中で、事件に遭遇する。色々なお宝を探すと、同様に奇妙な人物とその背景に繋がる。 そこでの事件は当然ながら、おたくの世界の奇妙なものだ。連作作品集で描く。
2018年01月04日
鍵の掛かった男<有栖川有栖>
オーソドックスな本格ミステリシリーズで、火村英生と推理作家・有栖川有栖が登場するかなり長い長編だ。有栖に持ち込まれたのが、ホテルで死に警察が自殺と考えた事件だ。 そもそも被害者の身元が判らない。有栖がそのホテルに泊まり調べると徐々に謎の人物の様子が判ってくる、そして火村も捜査に乗り出す。事件は意外な展開を示す。
2018年01月10日
機龍警察<月村了衛>
近未来警察小説と呼ぶ。そこでは近接戦闘兵器体系・機甲兵装が武器装備として使用されている。イメージは人間が中に入って操縦するロボットだ。アニメや子供向けの ドラマの世界だ。その背景では警察も組織と装備は変わり、そして人員も傭兵という実戦経験者を雇う。そこでは過去と因縁と独自の世界観のある人間が集まる事になった。 アクションシーンも変わり、戦闘場面に重点も加えた警察小説となった。
2018年01月10日
アクティブメジャーズ<今野敏>
警視庁公安刑事の倉島警部補が主人公のシリーズだ。担当がロシアであり関連する事項が担当になる。題名は積極的な工作を意味する。倉島は憧れの上級研修を受けて、 上から仕事を受けた、サポート要員ともに、ある公安刑事の行動を調べると別の殺人事件との関係が見つかる。
2018年01月10日
城昌幸集<城昌幸>
大正末期からショートショートを書いてきた城昌幸の作品集だ。かなりはミステリ読者は既読だが、全てを読んでいる人もいないと思う。時代性もあるが、技術的な内容は 少なく、幻想的な時代に依存しない作品が多く、その意味では風化しないとも言える。
2018年01月10日
海野十三集<海野十三>
海野十三は戦前から科学をその小説に取り入れた作家であり、SF小説の父とも言われる。奇想と科学とを、探偵小説の世界で描く。探偵・帆村荘六自体が謎のある人物だ。 科学をその発展を予想してかつ、広く想像を拡げて扱う、それは空想科学小説に繋がる。
2018年01月16日
棟居刑事の凶縁<森村誠一>
現金輸送者が襲われ殺害された。作家志望の女性は偶然にその犯人の情報を入手して名前まで知った、それを題材に小説を書こうとして接触を図り殺害された。男の死体が 見つかりそれは移動され破棄されていた。捜査本部は別々に事件を追うが、その繋がりを考えた刑事が出て来た。そして偶然に、関係者のそれ以上の過去の事件の係わりが あった。事件のそこの縁を追うことになった。
2018年01月16日
駅に佇つ人<夏樹静子>
「佇つ人」がつく題名の短編4作の作品集だ。異なる地方と季節を舞台にする恋愛が多いが、主人公は事件に巻き込まれる展開が多い。旅行とはそのようなものと描く。 これも一種のトラベルミステリーだ。
2018年01月16日
花の通り魔<横溝正史>
「お役者文七捕物暦」シリーズの長編3冊目だ。人気の浮世絵師が書いた3人の女性が攫われて殺される事件が起きる。ミステリでも時代小説でも定番のストーリーだし、 作者自身も好みそうな題材だ。その事件は裏に大きな犯罪があるようだと文七が調べて判って行く。
2018年01月16日
皇帝と拳銃<倉知淳>
警視長の若い刑事と通称・死神という刑事コンビが捜索する、それは刑事コロンボ風のストーリーだ。犯人が行った犯罪に残した意外な証拠を刑事が見つけ出す事になる。 その前に何故に犯人が早くに疑われたか。その2つを読者は考える事になる。それは犯人にも意外な見落としだった。
2018年01月22日
黄金夢幻城殺人事件<芦辺拓>
書き下ろし戯曲を元にして、関係があるような薄いような小説が並ぶ奇妙な短編集だ。題名からして繋がる前日談2作と、関連が曖昧な作品群がならぶ。作品集の構成 自体がミステリ的だ。個別に楽しむのが普通だろう。
2018年01月22日
島の娘<渡辺温>
表紙に「渡辺温」とあるが、海外作品を黒岩涙香が翻訳し、それを渡辺温が補記したようだ。どこか違うかは書かれていないので判らない。もう1作は渡辺温の少年向け 小説だ、コント的に短い。
2018年01月22日
橡家の伝説<佐々木丸美>
若い男女が女性の住む館を訪ねる場面から始まる。それは後で過去だと判る、過去に資産家が奇妙な遺言を残した事から始まる。3人の相続者の孫が対象者となる不思議な 条件だ。孫の代になると内容がはっきりと伝わらないし、その遺言は受ける子孫に異なる影響を与えてしまう。そして・・・。
2018年01月22日
遙かなる時空の中で2<近藤史恵>
ゲームのシナリオの小説化したものだ。現代の高校生が突然に、異世界へ連れて行かれる、そこ「京」で「八葉」を探す事になる、ゲーム自体のシナリオだと言い、如何にも 1人ずつ出会って行くというゲーム的な展開となっている。全てに会うと現代に戻れるとも言う。
2018年01月28日
花魁と書道ガール2<瀬那和章>
シリーズ2冊目で一応の終末的だ。花魁の幽霊が主人公の書道好きの学生に現れる。それが学生に乗り移って恋愛相談を行い、問題を解決する。なぜ現代にあらわれるのかも 謎となる。そしてストーリーが進み、目的が終わると霊は離れて行く。そして、その後が最終話となる。
2018年01月28日
近江屋1867年<高井忍>
「遊戯シリーズ」と同じ視点でえがく歴史談だ。登場人物と現代の主人公が会話するというメタミステリ手法で展開する。2作からなる作品集だ。表題は通常は「坂本龍馬暗殺 事件」だがその殺害者は誰で目的・動機はなにか的に進む。歴史事実には反発するある歴史人物と真相を探し語る。
2018年01月28日
ルーフォック・オルメスの事件簿<カミ>
カミが書いたシャーロックホームズのパステーシュのシリーズだが、単行本未収録の3作に、北原尚彦と横田順彌の書き下ろしの2重のパステーシュが載る。ばらばらの翻訳で 主人公のオルメスの名前の表記が異なるのが笑えるのだ。
2018年01月28日
鷹の砦<麻見和史>
本格味の濃い警察y小説のシリーズの「警視庁捜査1課11係」で如月塔子刑事が視点となる。シリーズは回を重ねて、前回くらいから方向性が変わってきた。起きた事件を捜査 すると連続して事件が起きるスタイルだが、時系列や事件内容が拡がっている。本作では逃亡犯が立て籠もり、塔子が人質の代わりに拉致されて、逃亡後に行方不明となる展開だ。
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2018/01に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。