推理小説読書日記(2017/12)
2017年12月05日
遙かなる夢ものがたり<近藤史恵>
高校生が異世界「京」へ呼び寄せられた、そこは龍と鬼一族と霊がいる世界でそれらと闘う事をきめた。そこで主人公は八葉という8人と闘った。このようなゲームの ストーリーを小説化した小説だ。8人には現代から一緒にいった仲間もいる。その個々の闘いを連作風に描く。
2017年12月05日
沈黙する女たち<麻見和史>
ケーブルテレビの報道番組記者・早乙女綾香が登場する、2作目。元刑事の相棒役が登場して、事件を追う。ネットの会員サイト「死体美術館」へ死体写真がアップされる。 事件の死体は展示されている様に見える、その写真は秘密の会員サイトにアップされる。関連性を含めて、事件を追う。
2017年12月05日
ながれ星<佐々木丸美>
高校生らが子供らと休みに離島でキャンプを行う、そこでは原始生活を行う事にした。ところが地震で津波で島が隔離された。そこで子供らだけの生活が始まった。 子供らだけの「十五少年漂流記」の生活が始まる、状況は厳しい筈だがどこかのんびりして描く、幻想小説の世界なのだろう。
2017年12月05日
少女は夏に閉ざされる<彩坂美月>
青春ミステリの出だしは学園を舞台に進む、夏休みで他の学生が規制して主人公が寮に残る頃から学園ではなくなる。だが大地震が起き(必然性は不明)、殺人を目撃し、 そしてその殺人鬼に襲われる。死者が現れ、家に閉じ込められて・・・という、全てが含まれる展開になってゆく。
2017年12月11日
人間の証明 Part2 狙撃者の挽歌(上)(下)<森村誠一>
有名な作品の題名の「Part2」を題名として副題が付く。だが作者があとがきで書いているように続編ではなく無関係だ。ヤクザの世界での、伝説と呼ばれる老人になった男と その仲間が動き出す。大きな組織暴力団が追う女性を守ろうとし、同時に過去に殺された仲間の復讐を狙う。組織内の抗争にくれるヤクザは、武闘を忘れたかのようだった。 そこを狙う昔ながらの男の道は開けるだろうか。
2017年12月11日
謎の館へようこそ 白<>
新本格30年記念アンソロジーだが、年数の少ない作者らが書いた作品だ。東川篤哉・一肇・古野まほろ・青崎有吾・周木律・澤村伊智が作者だ。概ね本格が主体で、 館物の閉鎖空間ものが多い。タイプ的にはユーモア・SF等を含み、がちがちの本格はではないものも多い。
2017年12月11日
使用人探偵シズカ<月原渉>
題名からは内容は想像しにくく、閉ざされた館でのゲーム風の連続殺人を描くがそれは意外な展開だ。話しが進むと色々なミステリーのスタイルが登場してくる。それは面白みと 肩すかしの両面がある。題名も謎のひとつだろう。古典的の風味もある、そもそも明治時代の横浜異人館が舞台だ。
2017年12月11日
ID0−2<管浩江>
−1の続編であり、もともと2冊で1冊なのだろう。宇宙空間でのSFだがファンタジー味が強く、脳内面の謎も絡む。−1からの登場人物の過去と謎が解き明かされる。 あらたな謎の登場人物もありその正体も明かされる。そして、設定された時代と宇宙空間自体に起きている大きな謎も明らかになる、それは人類全体に起きている危機だった。
2017年12月17日
ST プロフェッション<今野敏>
警視庁のサイエンス・タスクホース=STを主人公にするシリーズの長編だ。奇妙な誘拐事件を捜査で大学の研究室に行く。そこから関係者を、青山のプロファイルと黒崎と 結城の人間うそ発見器コンビとが中心になり、捜査を進める。
2017年12月17日
贈る証言<夏樹静子>
弁護士・朝吹里矢子が主人公のシリーズの作品集の4冊目だ。弁護士事務所に持ち込まれる法律問題を調べる内にその派生事件を見つけるまたは発生する事になる。 法律へのアドバイスや対応・解釈と、周辺事件の調査とでミステリーを構成する。師匠的な弁護士・薮原がアドバイスする。
2017年12月17日
比丘尼御殿<横溝正史>
「お役者文七捕物暦」シリーズの長編2冊目だ。江戸の武家屋敷に町の若者が攫われて連れ込まれる事件が起きる。文七は潜り込んで調べるが、目明かしの娘が文七を追い 男装で忍び込み捕らわれてしまう。文七は事件を調べながら、娘の救助も行う。
2017年12月17日
サーチライトと誘蛾灯<櫻田智也>
どこからなく現れる昆虫好きの男・えり沢泉が遭遇する事件の謎を解くシリーズだ。その事件を別の色々な人の視点から描く、えり沢が奇妙で不審な男に見えすぎる。 作者自身が泡坂妻夫のファンでありその探偵・亜愛一郎を意識して作ったキャラクターだ。。
2017年12月23日
金魚鉢の夏<樋口有介>
近未来の日本を舞台にする。そこでは福利政策が変わり、警察組織が変わり人員不足を民間委託している。退職した元刑事はそれを事件毎に委託する、書類上でかたづける 仕事だったが、山奥の日本全体に展開する福祉設備での死で疑問持ち調べ始める。休み中の孫娘と仲介役の知り合い刑事と、施設長を一時勤めるキャリアと絡みながら 調べて行くと色々な事が見つかって行く。
2017年12月23日
素敵な日本人<東野圭吾>
9作の短編からなる作品集だ、シリーズではないが正月からはじまりクリスマスへの日本のカレンダー行事順に出来事が並んでいる。事件は犯罪もあれば日常の謎もある。 架空の設定もある、制限無しの短編集だ。
2017年12月23日
舞姫<佐々木丸美>
「鶴の恩返し」をモチーフにした話しだが、そのままずばりの話しとも言える。ただし舞台は現代で(発表時の1980年)あり、どこかに現実時代味の含まれる幻想小説・ ファンタジーだ。「鶴の恩返し」以上の設定上のファンタジー性はないが、時代と登場人物のずれがどのように影響するか???。
2017年12月23日
アンと青春<坂木司>
「和菓子のアン」の続編であり、主人公のアンこと梅本杏子とアルバイト先の和菓子屋「みつ屋」のデパート店の店長以下のメンバーが登場する。次第に仕事に慣れて アンが、店の人物や、デパートの店舗の人物や、お客らと接する事で生まれる事件や謎を描いて行く。
2017年12月29日
推理作家謎友録<>
日本推理作家協会70周年記念の会員多数によるエッセイ集だ。「10年」「20年」のテーマがあるようだ。50周年記念で文士劇を行ったが出演者はそれを話題に 書いている事が多い。また自分自身のデビュー当時を書いた事も多い。私的な交友録もある。
2017年12月29日
星籠の海(上)(下)<島田荘司>
通常の2倍弱の量の本が上下2冊の大作だ。御手洗潔と石岡和己がまだ横浜時代の話しのようだ、御手洗は日本内で探偵として知られている。それ故に奇妙な事件=多数の 死体が愛媛の海岸に流れ着く、事件の捜査を頼まれて出向き、死体が流されたと思われる場所を見つけてそこに捜査に行く。福山の港町を舞台に話しが進む。謎の宗教団体。 女性学者が見つけた福山藩の幕末の老中・阿部正弘の資料・・・その中の武器・星籠とは何か。多数の謎の中に海に投げられた死体の謎を追う。長い小説に多数の要素と 謎を詰め込めた。
2017年12月29日
松谷警部と向島の血<平石貴樹>
松谷警部と白石刑事シリーズの1作だが、定年を松谷が迎え、この後は未定だ。スポーツ絡みのシリーズだが今回は相撲と相撲部屋を舞台とする。松谷の定年の日までに 解決したと刑事らは考える。シリーズ外のこの作者の別のキャラクターの名前も登場する、その詳細は省略。定年で終わるが続編はあるのだろうか。
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2017/12に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。