推理小説読書日記(2017/06)
2017年06月02日
ホームズ連盟の事件簿<北原尚彦>
ホームズ談のパステーシュの短編集だ。ワトソンとハドソン夫人とレストレード警部とか6人が登場する。原典の内容から推察できる内容を一部取り入れて、登場人物 を主人公にしたミステリーだ。
2017年06月02日
波形の声<長岡弘樹>
いまでは少なくなった、純粋の短編集だ。個々の作品に繋がりがない7作が載る。子供から老人まで、男女が交ざり、職業もばらばらで多彩だ。多彩とおうのがコンセプト かも知れない、繋がりがない作品を強調するかにも感じるのだ。
2017年06月02日
八月の六日間<北村薫>
本作はミステリー色が薄いというか、ミステリでないだろう。女性編集者が、休暇に単独で中級者向けの登山を行う話しだ。季節とそれに費やす日数が章の題となる。 その準備と日常の暮らしも書かれるし、旅に持参する本のはなしも含まれる。
2017年06月02日
雪の鉄樹<遠田潤子>
これも広い意味でのミステリ色はあるが、普通小説に近い。時間が飛び飛びでかつ遡るように記述される事で、なぜにこのストーリーになったかが隠される。それが論理 的に解けるのではないが小説が進めば判る構成になっている。
2017年06月08日
誰かヒロイン<連城三紀彦>
長編「誰かヒロイン」と短編「ヒロインへの招待状」からなる作品集だ。長編は同窓生の3女性が中年男性を競いあう。そこに男の元妻が絡むから結果が判らずに、題名の ような状態になる。短編は同じ3人が登場するが、うってかわってサスペンス色が濃く謎の呼び出し状を推理する。
2017年06月08日
ようこそ、わが家に<池井戸潤>
銀行から中小企業に出向している主人公が出向先で小さなトラブルに度々会う中で次第に事件が大きくなる、一方では電車通勤時に事件に巻き込まれてしまう、そして気づかない 事件も同時に起きていた、出来るだけ事件には巻き込まれたくないのだが仕方なく立ち向かう事になる。
2017年06月08日
ゴーストフォビア<美輪和音>
色々なものが怖いという「恐怖症=フォビア」がテーマだ、どれも怖いが「幽霊が怖いのか」、自称サイキック探偵姉妹が恐怖と事件を追う作品集だ。恐怖の世界に推理は あるのだろうか。幽霊は探偵が解決する・出来る事なのだろうか。
2017年06月08日
セーラー服と機関銃3 疾走<赤川次郎>
昔に読んだ「セーラー服と機関銃」の思い出がある、「2 卒業」を挟み久し振りに登場した「3 疾走」だ。時間の経過は星泉もそれだけ年齢を重ねる、その間に娘も 出来た??。高校生の星叶は合宿で迷った山中で女性と会う、それから周辺で事件が起きて、再度会いに行き母と知り事情を次第に知る事になると同時に、大きな事件に 巻き込まれる。
2017年06月08日
イルカは笑う<田中啓文>
パロディSFというか、はちゃめちゃSFというか、何とも言いがたい短編が並ぶ作品集だ。既に似た作品集を前に出している。いい加減読むのを止めようと思うのは私だけで ない筈だが、また読んでしまった・・・。
2017年06月14日
棟居刑事の砂漠の暗礁<森村誠一>
行きずりの女性と夜を過ごした男の妻が殺されたが女性は不明になった、男と女の周囲に事件が起こり、関係が有るのかは不明だ。複数の事件を多数の所轄と本庁刑事が 併行して追うことになる。分離の事件か関連する事件か不明のままで、広がって行く。
2017年06月14日
サム・ホーソンの事件簿3<ホック>
13作収録の短編集で、個々は長くはない作品だが本格味や不可能犯罪味もかなり強い。医師・ホーソーンと看護師が何故に多くの事件に遭遇するのかとは、ひとまず 考えないのがミステリ好きの読書の仕方だ。1作だけホーソーンのシリーズでない作品もある
2017年06月14日
列日<今野敏>
安積警部補シリーズの短編集で、東京湾臨海薯を舞台にする。このシリーズはテレビドラマ「ハンチョウ」で神南署を舞台に描かれた。そこでは安積・村雨・須田・黒木・桜井 の5人の班に女性刑事・水野が加わった。それ以降に書かれた本短編集から小説にも水野真帆刑事が登場する。須田と同期の巡査部長だ。本短編集では水野の加入から、 とまどう班と安積から次第に馴染む様子を併行して描く。
2017年06月14日
訃報は午後二時に届く<夏樹静子>
この作者の作品中でも長い方の長編だ、奇妙な電話で呼び出された容疑者がアリバイが無く疑われ、しかも証拠が見つかる、そして姿を消す、死後切断の指が送られてきて 容疑者が誘拐殺害された疑いに変わる。被害者の娘で容疑者の婚約者は双方の狭間で不安な状況になるが、父の死後の会社の状況も変わって行く。多視点から複雑に変わる 状況を描いて行く
2017年06月14日
怪盗X・Y・Z<横溝正史>
三津木俊助と探偵小僧・御子柴が登場する連作集だ。他にも怪盗物は作者は複数書いているが、このシリーズは怪盗が事件を解決する。それでは探偵コンビの立場は何か とも思うが表向けで捜査するのが探偵役だ。
2017年06月20日
下水道<角田喜久雄>
この作者の唯一の生前にまとめられた探偵小説短編集だという、昭和11年刊行と言う。内容的には変格といわれるジャンルだ。近年に個人短編集が編纂される事があり、 角田喜久雄も僅かなペースで書かれた戦後作品と共に、短編集が編まれている。
2017年06月20日
失われたのは鎖だけ<地主金吾>
長編と短編4作からなる作品集だ、作者は現実性と本格捜査を描くと述べているが、多くのミステリーとは異なる違和感の多い内容となった。不自然に実名が使われ 、克明な捜査を描く形だがミステリ小説としての違和感は大きい。
2017年06月20日
冬雷<遠田潤子>
現代の事件後に、過去に戻りそもそも過去に何があり、何が原因で現代の事件が起きたかに進む、その過程で過去に判明していない事件や謎も明らかになる。舞台は過去からの 因習が納める村であり、そこでの人間関係と血の繋がりは多くが隠されている。さながらそれは横溝正史の世界であり、事件も謎もその探偵が解決しそうだ。
2017年06月20日
わずか一しずくの血<連城三記彦>
20年前の、作者の生前に連載されて完結しながら、単行本になっていなかった作品であり、加筆・改稿されずに出版された。バラバラ死体が多くの地域で見つかるという、 島田荘司作品的な展開を見せる。その前半から中盤の展開は多彩な連城作品の読者でも異様に感じるだろう。後半に入ると、連城作品に多く見られる逆転の発想と展開が現れる。 やはりそうなのか・・・・。
2017年06月20日
晩夏<今野敏>
東京湾臨海薯安積係長とその班員の登場するシリーズの長編だ。同日に東京湾のヨット中と、パーティ会場での毒殺事件が起きる。同時に抱えた所轄は忙しいが、交機隊の 速水が容疑者になり本人が捜査しようと安積を巻き込む。安積はコンビを組んだ本庁新人刑事の歪んだ捜査方法に悩まされる。
2017年06月26日
悪の条件<森村誠一>
新宿署の牛尾刑事が登場活躍するが、主人公は別の刑事だと言える。本書の構成は通常の捜査小説とはかなり異なる。複数の階層構造と、併行構造が重なる。その中に 異質のものが混じる。それは捜査側にも影響を与える事になった。
2017年06月26日
論理爆弾<有栖川有栖>
空閑純が主人公の架空のパラレルワールドを舞台にしたミステリ・シリーズの1作だ。スタートから時間は短く、作品数も多くはない。探偵行為が禁止された世界と言う 設定が生きているかは悩ましい。設定が違ってもその設定で論理を進める事は矛盾が無ければミステリのなるのだ。
2017年06月26日
緑ヶ丘小学校大運動会<森谷明子>
小学校の運動会が始まる、その中の生徒の目から描く。併行して、参加したその生徒の父親の目からも描く。準備と異なる、昨年と異なる、小学校という場所と異なる。 何かと合わない違和感がそれぞれの目に見える。その原因とその影を追い突き止める。
2017年06月26日
未完試合<高原弘吉>
プロ野球のスカウトたちが注目して追う大学の有力選手がいる。福岡で死体が見つかり、2本の撮影済みフィルムが見つかる、そこに多数のものが写る、野球チームも写る。 刑事がそれを追うと有力選手の絡みが浮かんで来る。
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2017/06に読んだ本の感想を随時書いてゆく。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とする。
当然、ネタばれは無しだがそれは理解度で変わる。