推理小説読書日記(2015/09)
2015年09月05日
からくりランドのプリンセス<青井夏海>
中学に編入してきた某国の王女は、1年間留学が決まりだ。親は色々な学校の役員にならないといけないが、その年は3名が特別警護役にさせられた。元警備会社の母が主人公 だが後に2人は、何故選ばれたのか。それは子供にも影響し、親子で警護役と・・・いやがる子も当然いた、そして数々の難問が降りかかる。
2015年09月05日
藤雪夫探偵小説選1<藤雪夫>
本名が遠藤晋で、初長編応募時が娘の名で遠藤桂子を使用、その後は藤雪夫で活動し筆を断ってから、定年後にライターに娘と合作で、藤雪夫・藤桂子名義で出版し、死後は 娘がしばらく、藤桂子名義で書いた。整理しても混乱するかもしれない。長編公募で鮎川哲也と2度争った事は鮎川もアンソロジーで述べている。その初期の長編を含めた 単独名義の作品集だ。ただ、探偵役の菊池警部の名前でまた混乱する。化学を取り入れた作品が特徴だろう。
2015年09月05日
化石少女<麻耶雄高>
連作長編だが、体裁も長編となっている。探偵役?は古生物部の化石に興味が集中する少女で、偶然に紛れ込んだ後輩の1人称で進む。章ごとに1話だが、解決したのかは あきらかでない、強引な直感と結果に直ぐに興味を無くす性格故だ、さて奇妙な関係はどう展開するのか。
2015年09月11日
トリックスターズ<久住四季>
シリーズ第1作で、魔学部に語り手の新入生・天乃原周が入り、魔学部創始者で理事長の薬歌玲が世界的魔術師認定組織・「オズ」から佐杏冴奈を客員教授として引き抜く所から 始まる。魔学部では何をするか。魔術で何が出来るか。そして魔術師が起こしたと思われる事件が続発する。まずは色々と奇妙な世界設定で騙される所からシリーズは始まる らしい。
2015年09月11日
胡蝶殺し<近藤史恵>
幼少から将来を見越して稽古をする歌舞伎の世界は、妻には男子出産という無言の期待がかけられ、その子には子役デビューから世襲を継ぐ期待がかかる。その流れに、 父親の役者の死が起きると何が起きるかそれだけでも知らない事ばかりだ。そして、主人公の役者に親代わりの話が持ち込まれる、だが意外な展開を見せる。殺人はないのに 題名に思わず納得する展開とは・・・。
2015年09月11日
柳生十兵衛秘剣抄 水月之抄<高井忍>
女武者ブームが起きるとも言われるが、このシリーズは主人公の語り手が女武者で旅先で柳生十兵衛と会い、同時に歴史事件に会う。しかしその真相は伝えられている内容と違う、 それを柳生十兵衛が解き明かす。
2015年09月17日
禁断の魔術<東野圭吾>
ハードカバー2冊の連作集から、中編を長編化した。他の短編は1冊の短編集となった。湯川が相談を受けた高校生の才能で、デモの内容を考えるがそれは改良すれば武器になる 可能性があった。湯川は教え子がそのような人物でないと信じているが、その人物の周囲の事件で大きく環境が変わった。その結果は・・・・。
2015年09月17日
薔薇の輪<ブランド>
お馴染みではないチャッキー警部が登場する。ストーリー等にも差が感じるのは、人物のせいか書き分けているのか、単発の事情かは1冊だけでは不明だ。日本人にはロンドン 周辺の地理は全く判らないので、そもそもアリバイトリックがあるのも見逃しがちという、読み切れ難い作品となる事情があるようだ。
2015年09月17日
盗っ人奉行(上)<角田喜久雄>
吉宗時代の奉行・大岡越前が巻き込まれる事件だ。謎の印籠と見立て風の、連続猟奇的殺害事件が起きる。それを追う、複数の人物と行方不明になる女性と伝奇小説的な 展開の中に大大名が絡むのかどうかで、上巻は終わる。
2015年09月23日
隠密月影帖・影の巻(下)<高木彬光>
影の巻の下巻で4分冊の最後だ。2分冊の構想だし、1冊にしても問題ないがページ数の調整が目的だろう。従って、上下の分割部には特に意味は無さそうだ。 激闘で終わるのがセオリーだが、意外と生き残る人物が多い、たぶん殺しにくい人物設定なのだろう。逆に無関係的な人物が死ぬし、行方不明で終わるのはちょっと可哀相だ。
2015年09月23日
パラレル<今野敏>
シリーズと言えるのか、碓井刑事シリーズだ。多数のジャンルのシリーズを持つ作者が、ジャンル混在のシリーズを作りその接点が碓井刑事だ。毎回テーマ毎に主役が登場する。 本作は題名通りパラレルに事件が進むので、主人公は2組でしかも、この作者の別シリーズそれもお祓い師や陰陽師からみのシリーズからのゲスト出演だ。それが警察ドラマ に素直には溶け込まないがそこに碓井がいる。
2015年09月23日
ガラスの絆<夏樹静子>
比較的初期の短編集で、警察官以外も事件に関わり調べる人物が登場し主人公だ。多くは女性で、内容は本格ミステリー色が濃い。巻き込まれ型探偵の女性の作品だ。 ただ、パターンやテーマは個々に工夫されており、短編で終わるのがもったいない作品もあると感じる。
2015年09月29日
夜想曲<太田忠司>
「レストア」以来のオルゴール修復師・雪永鋼の第2作品集となり、前回から8年時間が経過している。前回の登場人物の継続と、定かでない人物が登場する。 個々の短編の事件と共に、主人公自身の謎と、全体の時間経過による変化が謎となり重なって進む。連作長編の流れだ
2015年09月29日
悪霊島(上)<横溝正史>
作者最後の長編で、磯川警部が深く関わる。過去は当然に深く関わるが、事件自体は短い期間で描かれる。背景が時代・風習等で奥深いので長い作品となった。 瀬戸内海の孤島と伝統の儀式と巫女・・・・全て作者の世界だ、そしてどんどん幾つかの作品で見た光景が展開して行く。上巻はまだ流れは緩やかだ。
2015年09月29日
祈りの幕が下りる時<東野圭吾>
作者がデビュー以来、ゆっくりと書き継いで来た加賀恭一郎シリーズの1作だ。加賀は日本橋署で事件と、自身の亡き母の思いを追う。母の孤独死、父との不仲か判りあってかの 微妙な別れ、そして母の生活に近づく。事件後に本庁に戻る加賀のひとつの決着の作品だろう。金森看護師との関係も新たな段階に入るかも知れない。
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2015/09に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。