推理小説読書日記(2015/08)
2015年08月06日
宝石S34.3<>
長編連載は、水上勉・黒岩重吾・鮎川哲也で、中編・短編が邦光史郎・小島直記・陳舜臣・藤村正太・河野典生・谷川俊太郎・星新一で、翻訳がブラウンだ。 ある作家の周囲は、河野典生です。その他評論・エッセイ等が沢山。 増えるのはプラスと思う。
2015年08月06日
千代有三探偵小説選2<千代有三>
作者の後期作品と評論だが、小説には依然として犯人宛が多い。解決編なしは、少なくなっているがとにかく多い。中には、その主のパズル的な本に書いたものも 含まれる。探偵役の園が忘れた頃に登場するのは、意外ではある。
2015年08月06日
モグリ<安萬純一>
鮎川賞作家の長編だが、本格よりもサスペンス色が濃い。モグリの医者という立場で、あるいは巨大かもしれない組織に立ち向かう。いや逃げられないと言うべきかも 知れない。ただし、なぜ主人公が無免許医者になったかも次第に明らかになる。
2015年08月12日
蓮花の契り 出世花<高田郁>
小説としてのデビュー作「出世花」は10代半ばのヒロインが墓寺に拾われ、そこの女湯灌師になった話しだ。死人を見ているので今の検屍能力が高く、住職から習った 薬草の知識も詳しく、酷い死人をおだやかな死顔に変え化粧する能力に長けて、三昧聖と呼ばれた。地位的には非人階級だが聡明で知人も増えた。その続編で完結編 の本作は10年後に別れた実母に会うが親しめない話し、唯一ミステリの毒殺に見える死の真相を解く話、大川の破壊で出た大量使者から湯灌師に戻る話、そして寺の乗っ取り に巻き込まれた中での武家での湯灌と寺の閉門の解かれと実母との修復への結末へ向かう。ミステリ的に魅力なヒロインの完結はおしい。
2015年08月12日
倉橋由美子全作品4<倉橋由美子>
1976年の作品集で作品も勿論だが作者の作品ノートが読みごたえがある。最近出版された作者のエッセイ集にまとめて収録された。小説的にはSF的な作品が複数混ざり、 純文学の評論家を悩ませたらしいが、作者本人はそれらのおよび腰の評論をばっさり、斬り落とす。創造・想像性は作者にとって特別のものでは無かった。
2015年08月12日
鮫島の貌<大沢在昌>
新宿鮫シリーズ10作がでて、次ぎに初めて短編集が出た。視点が鮫島だったり、多様な人物でかつ、他の作品のキャラのゲスト出演もあり、多彩な内容になった。 短編ではもったいないような、外伝が並ぶファンならずとも見逃せない作品集だ。
2015年08月18日
南溟の砲煙<高橋泰邦>
フォレスターの翻訳家が、東洋を舞台に書いた外伝という位置つけだ。主人公・ホーンブロワーが護衛する輸送隊と別働隊と海賊と現地中国と中国の女海賊とが、今も きな臭い海域の南シナ海で戦う。複数による海の戦いを描くのは厄介だが、翻訳経験が生きるというか外伝として適当とも言える。
2015年08月18日
七人の敵がいる<加納朋子>
作者曰くPTA小説、働くキャリア主婦が子供の小学校6年間に騙され、脅され次々と役員を押しつけられる。無関心な夫も親戚も含めて敵ばかりだ。如何にそこを生き抜くか。 あるときは喧嘩し、仲間を探し、対策を考え、・・・・最後はやはりサスペンスミステリ味は強い。
2015年08月18日
確証<今野敏>
プロの窃盗犯を追う、そのプロの警視庁捜査3課のベテランと新人の女刑事が弟子的になりながら、強盗・窃盗・強盗殺人と連続した事件を追う。捜査1課が取り仕切ろうと するが真実と情報源の確保を守り真相に近づく。既にテレビドラマ化した原作だが、ドラマの1−2話に相当する、以降はオリジナル脚本か???不明。
2015年08月24日
白蝋小町<角田喜久雄>
ミステリー作家でも有るが、伝奇・怪奇小説の著作が多い作家だ。伝奇小説の定番は幾つかあるが、それを自由に使う。黒幕は一応は歴史上の人物で、主人公は正体不明で そっくりの2人、そこにヒロイン?が絡み、謎の人形「白蝋小町」が絡むが実は・・・・・で、という展開だ。複雑でないが期待される要素は大体は含む。
2015年08月24日
暗い玄界灘に<夏樹静子>
自薦短編集が複数作家で編まれた時の1冊で、作者お気に入りであり自作ノートも付く。1976年の事だが、その後に作者はジャンルを広げて多彩になるが基本姿勢は変わらず 続く。加える事はあっても、消す事は無かった様に思う、少なくとも表面的には見えない。適度に警察も登場するが、多彩な立場が探偵役か進行役を務めるのが特徴だ。
2015年08月24日
誘拐児<翔田寛>
江戸川乱歩賞受賞作、誘拐は書かれ過ぎた感はあるが、戦後の営利誘拐未解決事件が、15年後に再度浮かび上がる。明確な答えを持ったまま死んだ母の本当の姿と、自分を 求める主人公が描かれる。ミステリーだから一応の解決はあるが、主人公にとって一番重要な事は、解決か未解決か判らない。なにしろ、昭和20と35年だから。
2015年08月30日
隠密月影帖・影の巻(上)<高木彬光>
影の巻の上巻で4分冊の3冊目だが、カバーには解決編と書いた有る、まだまだ3/4なのだが・・・。由比正雪の隠し金の在処が百人一首の上下2巻に隠されていて、 それが分断されて4つに別れその奪い合いとはっきりするがその後の展開となる。しかし依然として死んで消える数より、新しく登場する人物が多い。これで本当に終わる のだろうか。
2015年08月30日
エクソダス症候群<宮内悠介>
火星に作られた大きな精神病院が舞台だ、だが何もかもが不足していて、そこに主人公の医師が赴任する。その時代では、全ての精神疾患がコントロールされている事に なっていた、だが全てという事には大抵は裏の仕掛けがある、主人公はそれに次第に絡んで行く事になる。
2015年08月30日
凍原 北海道警釧路方面本部刑事1課・松崎比呂<桜木紫乃>
直木賞作家の唯一のミステリとの謳い文句だ、題名や主人公や多数の地図やそれらしき導入は、まさに警察小説の雰囲気だ。ただ何故南樺太の地図があるのか。ストーリーは 主に3つの時代を描く、最後が現在であり主人公・松崎比呂が活躍する、そしてその弟が行方不明になった十数年前の記憶がある。もう一人の主人公の過去探しが併行して描かれ 、そこに太平洋戦争末期の樺太からの疎開が描かれる。
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2015/08に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。