推理小説読書日記(2015/04)
2015年04月02日
宝石S34.8<>
新連載長編「孤愁の起点」笹沢佐保が始まる。或る作家の周辺第3回は黒岩重吾だ。短編は、香山滋・竹村直伸・藤木靖子・楠田匡介・谷川俊太郎・日影丈吉・星新一・ 猪俣聖吾だ。あとは、翻訳はブロックとウールリッチで後は、エッセイと書評が多数。
2015年04月02日
最後に愛をみたのは<夏樹静子>
複数の夫婦の離婚から始まる、理由はあるし愛人問題もある、だが子供の問題もあれば経済的な問題もある。離婚して良かったとは簡単に行かない。親には判らない子供 の問題もある。それの中に死が入りこむと、どんどんと問題が表面に出て来る、全てがマイナスとも言えないかも知れないが。
2015年04月02日
人肌変化<高木彬光>
「白鬼屋敷」の2年後の設定となる。作者好み??の刺青が主要に展開する。大江戸彫艶会が開かれるという設定だ、時代性が感じられる。多数の登場人物と次々起きる 事件は、伝奇時代小説の典型だ。そして最後の「よく生きていた」は予定と言うより話しからは、本当に生き残った感がする。
2015年04月08日
悪魔の家<横溝正史>
昭和13-15年の短編6作の作品集です。このころは専業作家になり作品数が急増した。主に戦前に活躍した、三津木・由利先生らも登場するし等々力警部も見かける。 作品内容は多彩だが、純本格はなくサスペンス・ホラー・幻想等と結び付いた作品が多い。本格味の強いのも混ざっている。
2015年04月08日
警視庁文書捜査官<麻見和史>
本格味の強い警察小説あるいは、警察小説風の本格物とも言える作品。資料・文書鑑定・心理分析を行う鳴海理沙が主人公で、この作者のデビュー作に重なる部分もある。 つい捜査して叱られ、詳しく調べず本部に連絡して空振りという事は実際にもありそうだ。
2015年04月08日
銭形平次捕物控<野村胡堂>
400近くの作品数を誇るシリーズの一部で構成した短編集だ。解説によると初期の形が決まる部分と、平次+八五郎+お静のコンビの形が出来るのが10作目くらいで 以降は年齢を含めてそのまま全編書かれたとされている。事件の数が多すぎるが、映像化されたものとはイメージがかなり異なる。収録作からは推理小説要素の強い、 捕物帳と思うし、そのジャンルの代表シリーズだと再認識出来る。
2015年04月14日
御手洗潔と進々堂珈琲<島田荘司>
いまや本格派の巨匠だが、この本は一風変わっている。御手洗潔は登場の必然性はなく、案内人的な役に思える。内容も世界の奇談の短編集で連作風だが繋がりはない。 奇談?・幻想?・怪奇?正体不明の話しを繋ぐ、作者の力量は感じるがイメージとは異なる。
2015年04月14日
幻影のマイコ<太田忠司>
この作者で最近増えた、SF設定の含む舞台での本格ミステリーだ。軌道エレベーターは理論的には、宇宙ステーションと地上を結ぶコストの見合う手段とされているが あくまでも理論で、実現の目安は不明だ。それが実現した時代で、そこが舞台となる。安全の為にはテロ行為対策は万全の筈だが・・・・。
2015年04月14日
罪責<今野敏>
復刊時の改題で潜入捜査シリーズろなった4作目だ。殺し屋集団の末裔らしき人物の暴力団狩りの話しだ。奇妙で大胆な設定だが、筆力で一気に読ませる。4作目に 主人公・佐伯以外の2名の正体は曖昧だ。そのまま終わるのか、最終回のお楽しみかが気になる頃だ。
2015年04月20日
絆回廊<大沢在昌>
新宿鮫シリーズの第10作で、シリーズの区切りとなると予想される作品だ。シリーズでも人気の1作の「毒猿」を思わせる殺し屋が登場する。また、シリーズを通しての 多くは無い鮫島と密接なキャラクターの課長・桃井と恋人・昌との関係の重大な変化が起きる。その中で巨悪とその中の強敵と対する。
2015年04月20日
藤村正太探偵小説選1<藤村正太>
戦前作家やマイナー作家が多い叢書だが、知名度はある程度高いが(個人的には長編は全て読んでいるファンだが)、戦後デビュー時の川島郁夫名義の短編は、アンソロジー か雑誌の古書でしか読めなかった作者だ。その川島郁夫名義の短編が2冊にまとめられ出版された1冊だ。ある程度のファンならいくつかは読んだ事があるだろう。
2015年04月20日
異郷の罠<三好徹>
この作者のスパイ小説の長編には有名な「風4部作」がある。題名以外は、ほぼ(微妙だ)無関係の国の巻き込まれ形スパイ小説だ。異郷の罠は、その流れの短編集と 言えるだろう。異なる人物が異なる国で、異なるスパイ事件に関わる作品集だ。長短合わせて、スパイ小説の1つの形が聡明時期に既に出た事は、ジャンルにとって 幸運だったのかどうかは微妙だ。
2015年04月26日
いい加減な遺骸<デイリー・キング>
「オベリスト」シリーズで有名な作者の「ABC」シリーズと呼ばれるシリーズの1作の紹介で、「オベリスト」に続く設定だが、手掛かり索引はない。シリーズ名は題名 の頭文字かららしい、日本題も韻を意識した。内容的には、「オベリスト」とは全く異なる。つかみ所のない作品であるいは3作読まないと意味が判らないのかも知れない。 続編の紹介は未定だが・・。
2015年04月26日
窓<森村誠一>
複数の刑事の視点と、事件関係者の視点から描かれる。刑事の1人がお馴染みの牛尾だが異なる所轄間の連携も重要だ。複数視点では、犯人像が判らない構成に出来やすい。 本作もそうで薄い仮説が次々変わる、くせものが最終章の「やや長いエピローグ」だ、総合力でミステリーの魅力を漂わせる。
2015年04月26日
紅い陽炎<夏樹静子>
女性がカルチャーセンターに通うのは社会現象か、ならば社会派?、その影には家庭とか子供との関係もあるし、他との接触もある。習う内容の多岐だが、競争という 事も生じる。小説教室となると、ミステリーの定番でいくつかの作品を思い浮かべる。多様な背景が重なる作品だ。
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2015/04に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。