推理小説読書日記(2014/12)
2014年12月03日
誉れ高き勇敢なブルーよ<本城雅人>
前回にサッカー日本代表監督選びを行い情報漏洩で失敗した主人公が、再度短い期限で不調の日本代表立て直しの為に新監督を探す。協会内部には権力争いがあり、マスコミは スクープ攻勢で、前回はスクープで破談の体験がある。その中で果たして、無事に新監督を決められるのか。
2014年12月03日
氷柱<多岐川恭>
氷柱の様に寡黙で暗い変わった男、ところがある出来事をきっかけに急に変貌して、犯罪行為に走って行くという犯罪小説です。変わった人物の変わった行動という 定番だが、内容は設定とストーリーと文体で大きく変わる。後年の作品とはかなりイメージが異なる作品です。
2014年12月03日
宝石S34.4<>
長編連載は、高木彬光「誘拐」と仁木悦子「刺のある樹」で、短編が笹沢佐保・新章文子・芦川澄子・藤木靖子・宮野村子・日影丈吉・水谷準・星新一で、翻訳がアーウィン・ ショーです。宝石賞座談会他のエッセイや紹介が多数です。
2014年12月09日
マスカレード・イブ<東野圭吾>
長編・マスカレード・ホテルの前日談を集めた作品集です。主人公の女性・山岸単独が2作、男性刑事・新田単独が1作、双方が登場するがすれ違いが1作です。 時系列で、長編のパーツにもなれる事件と謎と主人公の成長を描きます。
2014年12月09日
終着駅<森村誠一>
流れの遅い複数の事件が無関係から、繋がりが産まれ、そして時間が経過して行く。東京に来た複数の人物が関わる事件に何が繋がるのか。やや強引な繋がりだが、 時間の遅さがそれしかないと方向性を納得させようとする。本格とサスペンスと警察小説の味を絡ませる。
2014年12月09日
白龍姫<島久平>
少年小説で、なおかつ挿絵の比重が発表時高かった=短いテキストの作品集です。長さは制限になるが、それなりのまとまりも出せる。少年小説だから細部は気にしない 訳でないが、短編特有のまとめかたはあります。
2014年12月15日
ビート<今野敏>
警視庁強力犯係・樋口顕シリーズの第3作で、この作者では長い作品です。ビートとは音楽・ダンスの事で、フリーターで遊んでいた人物がダンスに打ち込んでゆく 姿が背景に流れます。ただ高齢の年代にはなかなか理解できない。捜査員の1人が捜査と子供との対立に悩みます。
2014年12月15日
ミンコット荘に死す<レオ・ブルース>
ブルースの探偵役は、ビーフとこの作品のディーンが有名だ。ディーンは、歴史教師で周囲から頼み事を受ける。死体が見つかったと相談されても困るが、警察は自殺と 判断するが疑問な所もあり調べ始めます。
2014年12月15日
鬼姫悲願<陣出達朗>
紀州出身・徳川吉宗と、尾張・徳川宗春の対立は、犬の強さ自慢に発展し闘わせようとなった。尾張・菊姫は鬼姫といわれる気性で狼の子を攫い犬として育てる事を考えた。 そこに公儀隠密が様子を探るなかで、怪しげな調教犬師と狼を育てて行くが、色々な思惑が交叉します。
2014年12月21日
旅人たちの墓石<三好徹>
平和な日本しか知らない特派記者が取材でチリの行くと、「チリ革命」が起こった。狂った感覚で取材をするが、記事を送るのも簡単でない。しかし、送ったつもりでも 途中で止められていることもしらない。革命騒ぎのなかでは、スパイや情報機関がいりまじり競いあうが、その中で漂っている事さえ気づかない。
2014年12月21日
花を捨てる女<夏樹静子>
短編5作からなる短編集、個々に繋がりはないが日常的な導入から主に殺人事件が起こり、ミステリーの世界に読者を誘う。視点・主人公は女性が圧倒的に多いのが 作者の世界だが、警察も登場するが素人の目でみる犯罪は異なる様相をしめして行く。
2014年12月21日
雪姫絵図(下)<高木彬光>
後編だが量的には、全編より多い。主人公はようやく、真田六之助と女侠客・お妙と判ってくるが、錯綜する登場人物はどれも主人公になりえるキャラで、いつか変わる かも知れず、注視して読み進む。題名から雪姫が中心かとも言えるが、謎の中心となる。
2014年12月27日
密室館殺人事件<市川哲也>
2013年鮎川哲也賞受賞作家の2作目、副題が第1作の「名探偵の証明」となる。題も舞台もオーソドックスな本格風だが、かなりひねくれた内容とも言える。そもそも名探偵 という言葉に実態を求め証明しようとするのが異様だ。それを使命と考える者が再度登場する。いつまで続きのか?。
2014年12月27日
ペルシャ猫を抱く女<横溝正史>
9作からなる短編集で、書かれたのは戦後直ぐの昭和21-22年だ。捕物帳を書く傍ら、「本陣殺人事件」と「蝶々殺人事件」を連載し、その他に短編も書いていた。 書きたくても書けない時代が終わったと言っても、この旺盛な筆力は生涯現役で書き続けた作家の原点を見る。
2014年12月27日
架空都市<城左門>
半同人的な、少部数出版が増えています。制作者がマニアなので、その凝り方は商業出版を越える事も多い。城左門は、ミステリーでは城昌幸名義が有名で、紹介では 詩を書くときの別名と紹介されていたが、その名義で散文の短編も書いており、内容的には城昌幸名義と明白な区別がない。日本のショートショートの先駆的ともいえる。
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2014/12に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。