推理小説読書日記(2014/11)
2014年11月03日
キャット・フード<森川智喜>
SF設定を加えた、またはパラレルワールドを舞台にしたエンターテイメンとが急増している。作り話しだから、背景も作ってしまうという事だろう。これが本格ミステリ の世界になると、ルールの変更になります。猫から見た猫と人間の世界を背景に、化け猫というアイテムと猫は猫を殺せないという縛りを追加するとどうなるか・・の作です。
2014年11月03日
特急ひだ3号30秒の死角<木谷恭介>
旅情ミステリーというジャンルはないがそれがキャッチコピーだ。トラベルミステリは時刻表アリバイとか交通機関トリックを想定したジャンルだ。地方や複数の地域を舞台に する事は特別ではない。従って、旅行案内要素を含む話しを指すのだろう、旅での事件や田舎の実家に戻った時の事件は普通だ。
2014年11月03日
武蔵野アンダーワールド・セブン<長沢樹>
パラレルワールド世界の話しだが、関東の地下に広がる世界となればいささか仕掛けが大きい。実際は資産家が残した巨大シェルターの設定だが、同じイメージだ。 ただミステリ的な背景の意味や縛りが分かり難いのがどうにも、盛り上がらない。大きな仕掛けを狙っているのだが、設定やストーリーの判りにくさが驚きを消してしまう。
2014年11月09日
殺人婦賦<島久平>
島久平がローカル新聞等に発表した短い時代小説集です。本題はその1編の題で、23作収録です。長さからコント風で落ちのある作品傾向だが、動機か不可解の謎とも読める 作品も含まれ、ミステリ味は薄めだが存在する。似たパターンも存在するが、多い収録なのでそれを読み当てるのも読み方の1つです
2014年11月09日
警視庁強力班係・樋口顕 朱夏<今野敏>
シリーズ第2作で、寡黙で平凡と自身で思っている主人公です。事件が起きて翌週から捜査本部が出来てそこに詰める事になった主人公に、妻の失踪という個人の問題が起きる。 タイムリミットの追われながら、友人刑事と2人で組織を使わず追って行きます。地味な捜査だがリミットがある捜査が描かれる。
2014年11月09日
伝説亀御殿<左右田謙>
伝奇時代小説です。定番の謎の人物が多数登場し、前半は誰が主人公か判り難いように書かれ次第に収斂します。捜し物というテーマも定番で、題名もそれを暗示する。 実は死ぬために登場する人物が多数という伝奇小説の定番だが、誰が残るか推定も1つの読み方だろう。
2014年11月15日
逃げる幻<マクロイ>
初期の後半の作品で、ウィリング博士シリーズの1作です。ほぼ全体、特に中間部を不可解な事件を遭遇した軍人が語る、そして不可解なままで進み終わる。そして、 その後にレギュラー探偵が登場して、その内容を知り何が真相かを解き明かすという構成だ。中間の多くが異なる雰囲気と見方で語られ、読者に不安を与える構成に なっている。
2014年11月15日
少年小説体系・平田晋策集<平田晋策>
平田晋策は、戦前の軍事兵器研究家で、少年向きに政策的な戦記小説を戦艦等の武器や能力と新兵器で描いた。武器開発競争とその闘いを描き、何故かその船に少年・少女 が乗る。書かれた時代は、小説内容に政治・軍事的な制約がありそれにぴったりのった小説なので、背景は無視して武器と戦略のみを読んでどうかという内容だ。 宇宙戦争や、ヒロイックSFとの違いは時代的な制約を除くと明確でないとも言える。
2014年11月15日
千金の夢<三好徹>
黄金発掘に夢を追う男とその周囲とを描く、宝探しの夢を追う一種の冒険小説です。小栗上野介が隠したと言われる黄金を探し、沈没船に積まれていた黄金を探す。 登場人物は本気に探すが、読者がどこまでそれに同調できるかあるいは醒めてそれらの人物見るか、どちらで読むかは読者が決める。
2014年11月21日
影の鎖<夏樹静子>
夏樹しのぶ名義の作品と、夏樹静子名義のデビュー当時の初期短編集です。いわゆる新人時代だが、テーマと本格推理の組み合わせはその後と変わっていない。むしろ 詰め込みすぎでごちゃごちゃ感があります。出発点であり、全体像はその後も変わっていない作風の作品集です。
2014年11月21日
少年小説体系・蘭郁二郎集<蘭郁二郎>
「地底大陸」「珊瑚城」「秘境の日輪旗」の3作収録で戦前の色も混じるが、SF設定の世界特に海底都市を描く。それ故に現在読んでも、極端な違和感はない。少年向け SF小説ならこのような設定もありだろうという所から、空想の世界を描いて行きます。空想科学小説の創設者として海野十三と並ぶ。
2014年11月21日
双仮面<横溝正史>
昭和10年代の由利・三ツ木登場の中編3作です。怪奇色が濃く、怪人二十面相的な世界で本格とか幻想色は薄い。サスペンスと怪奇の世界を、探偵役が追いかける。 戦前の探偵小説にいくつか見られる世界だ。
2014年11月27日
Bハナブサへようこそ<内山純>
2014年鮎川哲也賞受賞作で、中編1+短編3の連作です。ビリヤード場に集まる人物と元世界チャンピオンのオーナーと、従業員で探偵役が活躍します。出かけもするが 複数アームチェア探偵の雰囲気が強い。題名はビリヤード用語で、探偵役がビリヤードの競技からの発想で真相を推理する。
2014年11月27日
妄想女探偵<鳥飼否宇>
この作者の妄想都市シリーズの発想とにた雰囲気の連作だ。主人公は妄想で行動と推理のスイッチが入る女刑事とそれを見守る刑事だ。妄想で始まる推理は突飛もない もので同様に内容は怪しげだ。それは解決なのか、解決に向かうのか、それ以外か、作者の都合よく使える。
2014年11月27日
雪姫絵図(上)<高木彬光>
伝奇時代小説の(上)で全体は全く予想は無理だが、そもそも主人公が誰かまだ判らないし、ヒロインも同様だ。顔がそっくりの女、片方は雪姫らしいがまだ定かでない。 もう1人が代役を頼まれるが、混乱のままの後編に向かう。
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2014/11に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。