推理小説読書日記(2014/09)
2014年09月04日
少女外道<皆川博子>
独立した短編7作の作品集です。ただし、時代設定は戦争の前後で、主人公はそのなかで生きる弱者という位置つけです。ただ、単に弱いかどうかがテーマです。 弱さを何でカバーして生きて行くか?、表題作の少女外道が2つのキーワード的です。
2014年09月04日
人斬り魔剣<高木彬光>
時代伝奇小説の短編集です。主人公は、浪人で剣の達人の青貝進之丞です。腐敗した時代と欲望と、影の女と一味の常套が、適時登場します。伝奇小説は長編でも 短編的な短いスパンのメリハリがありますが、短編集もその逆の全体での面白さもあります。
2014年09月04日
倉橋由美子全作品1<倉橋由美子>
全作品と言っても、出版時の事です。逆に作者自身の作品ノートがつきます。双方を供える事は無理です。1は初期短編集で、他で読まれる作品が多く、現在でも 復刊されている作品も多いです、ただ読んでいないものはあります。
2014年09月10日
転迷<今野敏>
警察小説+警察内小説の隠蔽捜査シリーズの1作です。主人公の竜崎シリーズと言って良いでしょう。キャリアで、所轄の警察署長でしばしば捜査本部長を任せられる。 広い繋がりと、能力からどんどん多数の仕事が増える。日常仕事と捜査本部と周囲の協力事の情報が集まると一気に繋がり解決します。
2014年09月10日
秋田殺人事件<内田康夫>
封建的な地方の不祥事事件後に、中央から女性副知事として移動するやり手が、兄を通して光彦を秘書にして秋田に乗り込みます。浅見光彦はいつもとは違う立場で、事件 を解いて行き、当たった障害を女性副知事と解決する。異色のヒロインの登場です。
2014年09月10日
舟幽霊<横溝正史>
人形左七捕物帳の選集です。8作という丁度の長さで、捕り物が主体だが20年くらい続いたシリーズの後期です。いつもの・・と言っても少しずつ変わって来ます。 戦後から昭和30年にかけては、作者自身も大きな転機だった時期です。
2014年09月16日
艶魔地獄<橘外男>
発禁とか、伏せ字は小説では未完成になり厳しい処分です。本作はその典型で、伏せ字と削除が全般にわたり、未完に近い状態です。それをそのまま同人復刊しました。 内容は・・・判らない。削除や伏せ字が相当な比率で、補うことも残った部分で推察する事も、精度はないに等しい、だが復刊は意味があると思います。
2014年09月16日
新羽精之探偵小説選1<新羽精之>
戦前作家が多いなかで、純粋の戦後派でそれだけ、内容のレベルは高いです。地方作家で有り、活動期間が飛び飛びの印象もありますが、そのなかのデビューからの 前期になります。公募に本格と変格を応募したら、変格の「進化論の問題」が入選したので、その後の活動も影響を受けた様です。ただ、多様な内容を書き分ける作者 でもっと作品数が望まれます。
2014年09月16日
もしもし探偵<島久平>
作者が地元関西のローカル新聞等に書いた、コントや掌編は多そうです。それを集めましたので、その後に出された多数の人のパズル風のライト本的な感じが強いです。 とにかく、ローカルでの活躍は取り残される様です。
2014年09月22日
双頭のバビロン<皆川博子>
上海の貧民窟とウィーンとローマとハリウッド・・・・海外多様な地域の多様な時代を巡る膨大なストーリーが、入れ混ざる。何がキーワードなのか?、映画か?。 何を描いているかは膨大で繋がりが広すぎて、読む内に段落単位で背景が変わってゆきますが、その内に混乱して行きます。何故長く膨大かの謎は読んでも判って いません。
2014年09月22日
刑事の掟<三好徹>
比較的古い短編を集めた作品集です。テーマは色々な刑事の姿と周囲との関わりだ。しかし、単に警察小説やハードボイルドや犯罪小説と分けられない、テーマがあり 事件が生まれ登場人物が姿を見せる、その行動は最初から制約はされない。
2014年09月22日
白鬼屋敷<高木彬光>
伝奇小説の長編です。それ以上に何かを求めるのは読者の自由ですが、あえて言えばややミステリーぽい進行です。ただ、それを目指していないので終わりかたも 伝奇的です。長編を支えるための多くの工夫に、作者の得意技も含まれるとも言えます
2014年09月28日
宝石s35.2<>
長編連載は仁木悦子の「刺のある樹」が始まり、短編は、佐野洋・多岐川恭・笹沢佐保・樹下太郎・河野典生・竹村直伸・星新一・黒岩重吾・加納一朗で、山村正夫の 犯人当ての回答編があります。翻訳はウールリッチで、谷川俊太郎のショートショート特集もあります。
2014年09月28日
南蛮秘宝伝<左右田謙>
題名から予想される時代伝奇小説です。元禄時代にいくつかの実在人物も絡み、秘宝探しが繰り広げられます。この作者は多くない題材ですが、伝奇小説的には 多い題材です、めまぐるしく登場人物と場面が変わります。
2014年09月28日
孤独なフェアウエイ<夏樹静子>
題名通り、ゴルフの世界が舞台で、複数の女子プロ選手がそれぞれの事件や悩みに巻き込まれます。ゴルフには競技としての規則違反があり、また個人にはその世界 ゆえの事件があり、そしてゴルフとは別の事件もあります。それらが入れ交じり謎となります。
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2014/09に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。