推理小説読書日記(2014/08)
2014年08月05日
ホック氏・香港島の挑戦<加納一朗>
一応は3部作で、ホームズが日本へ来てホック氏となり本格推理するのが第1作の「ホック氏異郷の冒険」です。続いて「ホック氏紫禁城の対決」と本書を書きました。 後者2冊は中国が舞台でしかも、サスペンスか冒険小説的です。この当たりは何故という気もしますが、実際に第1作だけが有名です。
2014年08月05日
虚構推理 鋼人七瀬<城平京>
題名を見て引きそうな人もいますし、読み出すと舞台と設定の説明的な部分が続きます、ようするに通常の世界ではない。これを理解して小説に入ってしまうと、そこからの 逆転の発想まで楽しめます。事実を越える虚構に辿りつけるでしょうか。
2014年08月05日
暗い循環<夏樹静子>
6作からなる、純短編集です。もともと守備範囲の広い作者ですから、連作以外は短編集は多彩な作品の集まりとなります。ただし、本格推理を中心に拡大しすぎる事は ありません。個々の作品が独立しているという事です。
2014年08月11日
続・たつまき街道<高木彬光>
伝奇時代小説の続編です、江戸から京都を目指す途中に静岡の清水の次郎長絡みで終わった続編だが、なかなかそこから進まずに展開します。そのあたりが向いている のか、黒鍬の勝造や天狗党と揃い、伝奇小説風の女と剣豪が絡み、京に行く必要もなかった様です。
2014年08月11日
釧路湿原殺人事件<内田康夫>
引退した大学教授夫妻が主人公の2作目だが、ミステリー性は薄いです。名探偵すぎ、各地に有力な教え子がいる好条件では、たいていの事は直ぐに解決するのか。 ただほとんど書かれていないシリーズ??です。
2014年08月11日
神隠しにあった女<横溝正史>
人形左七捕物帳の選集です。8作という丁度の長さで、典型的な捕り物が主体です。独特の語り口は、作者の得意のひとつでしょう。江戸ならではの話題と、ちょっとした 推理の絡む話しです。
2014年08月17日
宝石.S36.01<>
長編連載は水上勉で、短編・中編は結城昌治・河野典生・日影丈吉・南達彦・渡辺啓助・城昌幸・木々高太郎・星新一です。懸賞付き犯人捜しの出題が、山村正夫です。 翻訳はダールで、エッセイやコラムは多いです。
2014年08月17日
幽霊通信<都筑道夫>
少年小説コレクションの1冊目です。少年向け雑誌に12月連載の作品が、「ゆうれい通信」「耳のある家」「砂男」「座敷わらしはどこへ行った」と4作です。 1話読み切りと、通常連載とがありますが、文章には読者層を意識したかな表記が主体です。
2014年08月17日
反悲劇<倉橋由美子>
5作からなる短編集です。固有人名がほとんどなく、記号やわたしや彼等が登場します。情景描写が次第に、奇妙な話題に変わり死や悲劇がテーマになる、不思議さ 。テーマ性が奇妙に繋がる事に読むにつれ、気づきます、解説ではギリシャ神話との事です。
2014年08月23日
死の天使はドミノを倒す<太田忠司>
普通?の陽一が、優秀な学業成績で人権派弁護士となり行方不明になった薫を探す。仕事や目標に向かう人生か、平凡に生きる人生か、どこかで自分と望まない方向に 進むのか。他は理解できないのか、理解しようとしないのか、何が壁になるのか、人探しの中で色々な事を見てゆく、・・・。
2014年08月23日
女郎蜘蛛<クエンテイン>
ダルース・シリーズだが、事件に巻き込まれ捜査どころではない、知られたくない人物が多数いる。妻に知られたくない事だけだったが、次第に拡がってゆく。 そんなに、だらしなくなるのか、周囲の目を恐れるのか、そして捜査も恐れる事になり、次第に追い詰められてゆく。
2014年08月23日
ヴェニスを見て死ね<木村二郎>
舞台はニューヨークで、免許を持つ私立探偵・ヴェニスの探偵事件簿の短編集第1作です。翻訳家の筆者が、翻訳的な内容と文体とで描きます。翻訳と言っても通じる 内容です。仕事としての私立探偵は、免許制の国でしか成り立たないのでしょうか。
2014年08月29日
パラドックス13<東野圭吾>
SF設定のミステリーか、あるいはSFそのものでしょうか。現象が起きる理由は不明だが、事前に予測できた・・ただしそれが現実に何を起こすか予測出来ずに、政府は 一般に隠し、見守る指示を政府関係者に出した。13秒の時間の空白・歪みで何が起きて、世界がどうなったか。そして、再度の13秒の時間の空白・歪みで元に戻るのか。 そこにパラドックス・・生きる為に死ぬ必要があるが出来る、それを信じられるのか。
2014年08月29日
遙かな坂(上)<夏樹静子>
別居夫婦にそれぞれ起きた、社会問題がテーマで進みます。それぞれであって、2人にではない、個人の考えが起こすと同時に自分だけが苦しむと思い、深かみにはまる。 噂とか、思い込みとか、見栄とか、詐欺とか、迷ってかつ元々が背伸びした生活には周囲が見えなくなっています。
2014年08月29日
遙かな坂(下)<夏樹静子>
別々の興味・悩み・動きが次第に、後半になると歪みを作って行きます。負の連鎖というか悪循環というか、もがけばもがく程に陥穽にはまって行きます。そして、何が 目標だったのかさえ・・・。家族には、子供も含まれそもそも受験には子が本人ですし、それぞれが知らない所で違う思惑が働きます。その結果は・・・。
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2014/08に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。