推理小説読書日記(2014/06)
2014年06月06日
醗酵人間<栗田信>
珍本全集第3巻で、古書にも流通が少ない本を出版する企画です。何故流通していないか、多くは人気がないといえます。一部の人が探し入手するので古書価は上がるが 復刊する程でなかった。出版された時に人気がなく本の数が少ない等です。それが面白いか、時代が変わり色々の読者が増えると、再評価されるかもしれないという 企画と認識します。マニア向け。
2014年06月06日
鐘楼の蝙蝠<ロラック>
黄金期のイギリス作家で膨大な著書があるとされていますが、日本への紹介は少数です。その状態で何を語るか・・。もっと紹介して欲しいという事です。作風は地味で 堅実です、飽きないタイプと思うが1冊でサプライズを起こすとも思えません。
2014年06月06日
特殊防諜班・防諜潜入<今野敏>
シリーズ何冊目というか、順序を間違えました。大きな読む傷害はないですが、どちらかと言えば順序通りの方が繋がりはスムーズです。次巻でいきなり登場してあばれる 人物が、本巻では穏やかに姿を現します。各巻で完結した話しですが、全巻でも流れるテーマを感じます。
2014年06月12日
盤上の夜<宮内悠介>
SFに分類されていますが、ジャンルを超えたテーマです。囲碁・将棋・チェスなどのゲームを取りあげ、過去から未来にかけてそこのトップの持つ一般には理解を超えた 能力を事実と想像を交えて描きます。そこには一般人を越えた世界があります。
2014年06月12日
ありふれた死因<芦川澄子>
昭和30年代後半の数年に活躍した作者のミニ全集です。代表作は「愛と死をみつめて」ですが間違われそうで、別作品となったのでしょう。某有名作家の夫人だった事でも 知られますが、作品自体も書かれた環境も、いわゆる本格の鬼の集まりだった事で微妙な内容となっています。
2014年06月12日
宝石s35.11<>
長編連載は、水上勉で、連作は鹿島孝二です。短編は多岐川恭・竹村直伸・水谷準・笹沢佐保・楠田匡介・高城高・宮原龍雄・星新一です。それに翻訳と作品紹介や エッセイが乱れ並びます。
2014年06月18日
第三の女<夏樹静子>
あるテーマとか簡単に言い切れない作品です。個人の持つ絶対に許せない事は何なのか、それは殺人を正当化するのか、時間と場所とが離れた事件を別に捜査する。繋がりは もっともっと離れた所にある、もしも正当化できるなら繋がる事はないと思われる位に遠い。しかし、そもそもその様な殺人はあるのか、それだけを共有出来るのか。
2014年06月18日
日光殺人事件<内田康夫>
トラベルミステリーと、歴史ミステリーと、ダイイングメッセージが表面に登場する事件は何が原因か。それともそれ以外なのか。サスペンスは充分だが、作者が選べる解決 にも見えます。読者に解決の手掛かりがどの程度、与えられているのかは微妙です。
2014年06月18日
夏天の虹<高田郁>
料理帖シリーズがそこから主人公や重要人物の運命を変えてしまう会です。作者はそこでシリーズをリセットする積もりでしょうか。去って行く人物に、どのような思いが 残るかあるいは残すべきか、また主人公に起きた料理人の危機は・・解決しないと続かないのですが。話しの流れを変える回となります。
2014年06月24日
山名耕作の不思議な生活<横溝正史>
作者のデビュー当時の、コント風短編を集めた作品集です。習作時代と見るか、作風の模索時代というか、雑誌の掲載枚数制限が厳しかった時代です。短い作品で、落ちの有る 作品や、奇妙な味や、モダンなコント風の寄せ集め的です。
2014年06月24日
たつまき街道(上)(下)<高木彬光>
幕末時代に主人公の扇千代の助の周囲は、多数の怪しい人物が登場し、いつしか密書を持って京へ旅立ちます。ただ、実際は波乱と多彩な人物で、怪しい展開になるのが伝奇 小説です。やっと旅に立っても、(題名からは旅の話しに見える)途中の静岡までで、以下は「続・」になります。何故静岡かは、清水の次郎長や森の石松との絡みがあるからです。
2014年06月24日
風ヶ丘五十円玉祭りの謎<青崎有吾>
奇妙な高校生探偵・裏染の作品集だと思ったが、全てがそうでは無さそうです。舞台や人物的には、絡むのですが・・・・。内容はロジック小説で、それが好きな人には 見逃せません。しかし、謎以上に登場する妙なキャラクターに圧倒されそうです。
2014年06月30日
星空博物館<太田忠司>
珍しいショート・ショート集の2冊目です。作者の高校時代から最近作までを、テーマ別に並び変えていますが、ジャンルと手法から書かれた時代は感じさせにくいです。 独自の世界で、アイデアの枯渇が問題とも言われるが長いだけが小説ではないと主張を感じます。
2014年06月30日
日曜は待てない<島久平>
複数作家の新聞連載合作・連作長編の、作者担当部分です。ミステリーだと混乱しそうですが、サラリーマン小説というべきものです。他の部分は読んでいないですが、多分 繋がりは弱い意識なのでしょう。ミステリーに拘りがないとまずまず読めるでしょう
2014年06月30日
アマノン国往還記<倉橋由美子>
ジャンルを超えた作品ですが、あえていえばパラレルワールドSFでしょう。ただ作者をしばるものはなく、自由に描きます。そして底に謎が隠れています。その国は女人国で 、色々な事が逆転したりします。奇妙な構成の作品ですが重量級の内容です。
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2014/06に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。