推理小説読書日記(2013/11)
2013年11月02日
見えない女<島久平>
非常に短い小説・コント集です。作者が作風が変わるのと、小説の長さが制約するのが重なって、ミステリ小説は少ないです。それは、一般的な事と言える長さです。 ただし、犯人は誰?的な、問題+解決スタイルの作品は含まれています。
2013年11月02日
水族館の殺人<青崎有吾>
名探偵・裏染天馬とワトソン役の袴田柚乃の2作目ですが、キャラクターの細部が書き込まれていると言う意味では最初に近いです。鮎川哲也賞受賞第1作ですが、 論理構成はより多くなり、その小道具的な密室を含む複数トリックの構成も深くなっています。
2013年11月02日
信州諏訪湖殺人事件<大谷羊太郎>
八木沢警部シリーズだが、しっかり者の新人女性刑事と事件関係者の美女とが登場して、探偵もいささか勝手が違う。そもそも、年を重ねてひとりで出張してのんびり 観光したいとは、やや老齢化を感じるが、若い女性との出会いや捜査に心が揺らぐ設定だから仕方ない。
2013年11月08日
宝石・S34・7<>
長期連載の「零の焦点」が続き、「からみ合い」と「黒い白鳥」が初回す。短編は、島田一男・戸板康二・大藪春彦・永瀬三吾・南達彦・邱永漢と、翻訳です。 世界探偵小説地誌座談会が始まりました。エッセイは江戸川乱歩・徳川無声・黒沼健・古畑種基等です。
2013年11月08日
暗黒街の鬼<高木彬光>
副題が「大前田栄策探偵帳」ですが、6作のうちの1作のみはノンキャラクターです。大前田栄策はかなり都合の良いキャラクター設定で、色々なタイプの事件や 登場出来ます。とにかく顔が広く、警察との距離も自由です。
2013年11月08日
為朝伝説殺人ファイル<今野敏>
「ST警視庁科学捜査班」シリーズの第3期の「伝説シリーズ」の第1作です。警視庁が何故かそこを飛び出します。初めてではないですが。為朝伝説がある地で スキューバーダイビング中の事件が続くという展開です。飛行機嫌いの翠には厳しいですが。
2013年11月14日
真夏の方程式<東野圭吾>
あえて機械トリックを持ち込んだガリレオ・シリーズですが、容疑者Xの献身や映像化で、しっかりした代表シリーズになりました。シンプルだが緻密な機械トリック はパロディ要素も含むと思っていましたが、一般の受け止め方は異なった様です。内海薫刑事は、映像のオリジナルキャラクターでしたが、作者はそれ以降で小説でも 使用しています。本作は避暑地のガリレオこと湯川と、東京の2人の刑事が別々に捜査する展開です。
2013年11月14日
俳句つれづれ草<結城昌治>
副題が「昭和私史ノート」で、昭和2年から昭和35年位を当時の俳句作家の歌を多数引用しながら世相と、自分の周囲を綴ったエッセイです。丁度作者がプロ小説家と なった頃付近までです。俳句作者は、詳しい人には有名作家ばかりかも知れないですが、私には殆どが初めて見る名前でした。激動の昭和の時代とも言えます。
2013年11月14日
写楽<皆川博子>
最初は映画のシナリオを書く事から、関係者が意見を出し合ってまとめたストーリーとの事です。その途中から、単純なノベライズではなく時代小説として、同じ テーマを描く方針で書かれたと後書きで記されています。写楽の謎は今も新説が出る程に人気の歴史の謎です。小説ならサプライズ性が重要ですが、当時の時代背景や 人間の繋がりを重点に描く方に主体がある作品です。
2013年11月20日
軽井沢殺人事件<内田康夫>
作者のレギュラーキャラクターの浅見光彦と、長野県警の竹村警部とが双方登場して活躍する作品です。どちらかがゲストではなく、始めから双方が大きな事件の 別の部分で謎を解いて行って、大きな事件の全貌を合わせると真相に到達します。
2013年11月20日
仮面舞踏会<横溝正史>
昭和30年代後半に書き下ろしで予告され、時間を置いて雑誌連載になって、未完結で中断した作品です。昭和50年付近の横溝ブームに合わせて、書き継ぎついに完成 という開始から完成まで長い時間がかかった作品です。推敲で削る気がなかったのか、この作者の中でも長い方の作品です、背景も過去に遡る連続事件を扱い、軽井沢での 有名女優の結婚相手がその度に死ぬという事件です。
2013年11月20日
春の駒 鷺沢家の四季<福田栄一>
ライトノベル作家の初の日常の謎連作となっています。ただ雰囲気はライトです。主人公の部員1人の高校将棋部とそこの将棋を知らない女性顧問が探偵役で、主人公の 付近に起きる謎を、顧問に話すと大きなヒントを語りそれを元に主人公が謎を解きます。
2013年11月26日
泣いて笑って、殺せ!<島久平>
4作からなる作品集です。中期のライトミステリーで大阪弁ミステリですが、後期と比べて題名ほど艶笑色は濃くないが論理ミステリー色も薄い。まともに事件は起こるが 解決はかなり大雑把で、ライトというべきかは微妙です。発表誌が関西ローカルの関係もあると思える。
2013年11月26日
リバーサイド・チルドレン<梓崎優>
舞台はカンボジアで、紛争孤児の世界、そこは一般と区別され外の人間には人殺しの感覚がないようだ。そこに紛れた日本人2人。ただし、紛争孤児の世界の仲には 人殺しの考えは存在し、発生事件の犯人を捜す。
2013年11月26日
6月19日の花嫁<乃南アサ>
記憶喪失サスペンスだが、記憶喪失のなりかたが、奇妙か都合よくかストーリーを複雑にする。何故とか考えると厄介で、成り行きで読むと自然に複雑な流れにのる。 サスペンスとして読むべきかどうかも微妙で、変則恋愛小説かもしれない。
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2013/11に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。