推理小説読書日記(2013/09)
2013年9月03日
倉敷殺人事件<内田康夫>
旅情ミステリまでは行かないが、複数の土地で起きた事件がそれぞれ異なる捜査を進めて行きます。そして、関係者の女性もまた微妙に絡まります。複数の事件がどこで 繋がるのか、そのきっかけは・・やはり女性が絡む展開でしょう。それぞれの土地では常識が、他では判らない。そこが読者には明かされるが、それで事件が判るともならない。
2013年9月03日
悪魔の設計図<横溝正史>
3作からなる作品集です。書かれたのは昭和10年代で、由利+三津木コンビが活躍します。戦後の作風よりもサスペンスと怪奇色が強いが、ミステリ色も存在します。 その頃の本格といえでしょう。ただ広く読まれるには、戦後の金田一登場まで待つ事になります。ただ、戦後も戦前の作風が残る作品もあります
2013年9月03日
恐怖の蜜月<高木彬光>
私立探偵・大前田英策は登場の5作の作品集です。職業探偵であるし、知名度もあるし、腕力もある。色々な作品に登場させやすいでしょう。それもあって、作品ごとに 色合いの違うのも面白いです。色々な作品に繋がるキャラクターの人気の有無は逆に微妙です。
2013年9月09日
華竜の宮(上)<上田早夕里>
基本設定は自然科学からのスタートの様だが、そこから人類が大きく2つに別れるあたりからはシミュレーションではなく、幻想的な設定になります。短編「魚舟・獣舟」 が背景になっているので、短編を読んでいない人はしばらくはとまどうでしょう。地球が温暖化等で、海が広くなるとどうなるか。陸だけではいきられない。海に生活を求める 人達もいるだろう、すると。
2013年9月09日
華竜の宮(下)<上田早夕里>
後編です。人が海に生活空間を作って万事良しは、はるか昔のSFです。自然に大きな影響を及ぼすからなにかが起きる筈です。何が起きるか?、そこからが作者の幻想が 展開されて行きます。自然と、2つに別れた人間との間に何が起きて行くのでしょうか。
2013年9月09日
加賀金沢殺意の刻<大谷羊太郎>
警察の捜査陣が主人公でもその他に、視点のある登場人物を加える事で、色々変わります。プラスもマイナスもあるはずですが、話が広げやすい事は確かです。 その結果は流行のスタイルです。そして、2つの視点が重なった時の反応がいくつかに分かれます。本作は吸収タイプ?。
2013年9月15日
誰か?<宮部みゆき>
杉村三郎2部作??の最初です。「名のない毒」のパワーの後で読んだ人が結構いるのでしょう、私もそうです。こちらは地味な内容ですが、いつもの通り堅実ともいえ ます。目的が隠されている依頼と過去の隠された歴史、素人探偵向きのテーマですし、むやみにそこを出ないのがまた、安心さを与えます。独立した話ですが、序章的にも 見えてしまいます。
2013年9月15日
ST 高フ調査ファイル<今野敏>
天才指揮者と天才バイオリストの共演は熱狂的に迎えられたが、その練習中に起きた盗難事件にSTが参加します。メインは結城翠で物理で音の特殊感覚者です。そして ある人物と出会う。特殊な音の能力故に音楽から離れた者と、入った者の関係を中心に進みます。
2013年9月15日
金銀捕物帳<島久平>
頭脳の金太と、女遊びに詳しい銀平とのコンビという設定自体が、既に方向が見えています。それも最初だけで、直ぐに銀平のみが登場になります。すると内容は捕物 ではなくなり、風俗とお色気路線です。
2013年9月21日
百年祭の殺人<アフォード>
長編は日本への紹介は2作目の作者です。密室が登場するので、不可能犯罪を扱う作者かなと思う事もあるが、スカーレット的な利用方法に思います。すなわち登場する 犯罪の1アイテムで話の進行のなかでそれ自体は簡単に解決するし、メイントリックとも言えないです。ただ謎が解けても犯人が判らなく、複数の事件を追及すると犯人像 が現れます。デビュー作でややバランスが悪いかも知れないです。
2013年9月21日
瀧夜叉<皆川博子>
平安時代、平将門の乱が治まるがその娘が、藤原純友に送られる。それが藤原純友の乱が制圧されて、東に逃れます。世は乱れ、将門の祟りとか純友の祟りとかがひとり 歩きします。その裏には安部晴明の姿が・・・・・。双方に関わる、娘・夜叉はいつしか、瀧夜叉と呼ばれて・・・・・。
2013年9月21日
今朝の春<高田郁>
みをつくし料理帖シリーズの4冊目で4短編収録です。吉原の花魁とその元の料理人、公儀の料理所?、登龍楼との料理番付争いと話題は広がるが、お澪は小松原が気になり 怪我をしたり、吉原の花魁を戯作本に書こうと調べる作者から詳しくしると共に、本は書かせたくない、落ち着く所は無さそうです。
2013年9月27日
霧氷<夏樹静子>
この作者の作品は復刊される事が多いが、同時にいつしか絶版にもなる。ようするに読める環境と入手困難な環境が存在する傾向がある様です。一度、作家を止めて 再出発した事や、多彩なテーマへの興味が強い事から全作の読者は少ないのでないだろうか。この本は初期の復刊ですので、私も時々のファンですし、テーマが女性の生き方 となると知っていそうに読むが、実は判らないです。
2013年9月27日
指揮者<結城昌治>
奇妙な短編集です。しかもショートショートも含まれています。独立した短編集は、しばしば掲載作品の入れ替えがあります。この本も同様で、読んだテキストにより 掲載作品が微妙に入れ替わっているらしいと注記にあります。テーマ性はあるが、独立した作品の集合で、それで存在感を出す本です。
2013年9月27日
歌わない笛<内田康夫>
女性が登場するのは浅見光彦シリーズの常套だが、発端から頼まれるのはヒロインが再登場かららしい。お坊っちまと呼ばれる様では情けないが、簡単に特定の女性と 結婚してはシリーズは厳しい。音楽と地方都市と大学と土地問題と・・色々と絡むが、比較的に浅見はおとなしく行動しているようだ。相手がそばにいないとそうなのか。
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2013/09に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。