推理小説読書日記(2013/04)
2013年4月06日
セクメト<太田忠司>
主人公は警察官・・なのか。もっと個性的なキャラが登場する・・・いや増殖する?。ミッシングリンクというべき連続殺人事件を追う刑事が出会う人物は、一体味方か 敵か、それとも第三者なのか。そして突如として、風景が変わる様な展開をします。この作者ならば予測してもよかったと、後では思えます。
2013年4月06日
元気でいてよ、R2−D2。<北村薫>
短編集、まえがきは「怖い話」・・ホラー?。そうかも知れないが、変化球を見落とすバッターの様に技にかかっても気づかない事もある。いや直ぐに気づかない事は多い です。どれも短い作品ばかり8篇だが、気がつくと全て切れ味がよいものばかりだった。うっかりすると、見逃して終わるかも知れない。
2013年4月06日
山田風太郎少年小説コレクション2<山田風太郎>
もともとが奇想な話が主流の作者が、少年向けに書いてもそれは変わらないし、むしろ作り話や空想の世界へ入り易いでしょう。歴史ものでは、時代考察は当然無視で 次々とそれらしい人物が登場するは、怪しげな盗賊が登場するは、それは大人も楽しい話です。
2013年4月12日
ST 警視庁科学特捜班<今野敏>
科学特捜物の走り的な作品です。特殊な能力と、奇妙な性格とトラウマを持ち、捜査班とはなじめない人の集まりという一つのパターンです。当然ながら、全員が活躍 するのは無理なので、シリーズにするのが前提です。本作ではプロファイラーと、聴覚能力者の比重が大きいようです。現場と管理者のキャリアとノンキャリアとの対立も 描かれます。
2013年4月12日
太陽と戦慄<鳥飼否宇>
普通作が異色作という作者ですが、あえていえば綾鹿市シリーズの番外でしょうか。そもそも背景や登場人物・団体や事件に必然性が希薄で、ミステリ性よりもオカルト 性を強く感じます。それは登場人物・作品・そして作者全てです。
2013年4月12日
宝石S36.11<>
或る作家の周囲は土屋隆夫で、井上銕・野口赫宙・星新一・河野典生・森田有郎・渡辺啓助の短編と、笹沢佐保・樹下太郎の長編連載とハメットの翻訳です。 雑誌故にコラムや批評が多いです。
2013年4月18日
殺意の軽井沢・冬<皆川博子>
この幅広いジャンルを書きわける作者にはその中の一面になる、推理長編です。全てではないがかなり公式的な展開で、しかしサスペンス色がにじみます。 確かに本当には素直とは言えないが、あまり作者を疑わずに楽しみましょう。
2013年4月18日
牽制<堂場瞬一>
「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズの1作です。失踪課が出来た理由からすると、目的外の事件と捜査に明け暮れていた結果のシリーズです。さて、今回はまたまた 怪しげな展開になり、その結果は?。まともなのかそれとも意外なのか、読者でバラバラでしょう。
2013年4月18日
不良少年<結城昌治>
作者はこの題名に拘りが有るようだが、少年が非行から次第に悪質化して、ついに殺人をして、そして行き着く先は・・・。そこに出会った少女との絡みを、調査官と 少年の視点から描きます。
2013年4月24日
風の盆幻想<内田康夫>
シリーズ探偵の浅見光彦と、軽井沢の作家先生がワトソン役風に登場します。内容はドキュメンタリータッチですが、作者は後書きで平成の大合併や法制変化など、作家が どうしようもない事が多数あり、ドキュメント要素は希薄になると言っています。その上で、風の盆の様な地方の祭りが抱える問題をイメージ的に観る事は出来るでしょう。 小説にそれ以上は求める事は無理ですし、それに代わるエンターテイメントを楽しむべきでしょう。
2013年4月24日
宝石S36.12<>
ある作家の周囲・鮎川哲也編と多岐川恭の連載と、新章文子・南部きみ子・藤木靖子・宮野村子・香山滋・高城高・樹下太郎・星新一の創作と、海外翻訳です。 乱歩編集ですが、似た構成が続き見た目は安定に思える雑誌作りです。
2013年4月24日
貸しボート13号<横溝正史>
金田一耕助が登場する短編(中編)3作の作品集です。「湖泥」「貸しボート13号」「堕ちたる天女」の3作ですが、背景や登場警部も異なるが、異色の背景と発端と、 そこからの異様な展開と、多くの意外な動機と犯人という展開はこの作者の作品では通常です。
2013年4月30日
写楽 閉じた国の幻<島田荘司>
かなりの大作だが、第2部が出そうな終わり方です。江戸時代の短期間にのみ活躍した正体不明の浮世絵画家・東州斎写楽については、日本人の好きな謎のひとつです。 色々な形で、その正体の推測が行われており、小説・推理小説でも幾つか書かれています。高橋克彦・松本清張・泡坂妻夫・・・、資料が少ない事もあり、アプローチの仕方 が多数あり、説も多数あります。そこに新たに追加された、島田説が追求されています。
2013年4月30日
宝石S37.2<>
ある作家の周囲・高木彬光編と多岐川恭の連載と、木々高太郎・仁木悦子・佐野洋・加納一朗・三浦朱門・樹下太郎・三好徹・星新一・宮崎惇の創作と、海外翻訳は ブラウンです。 乱歩編集ですが、評論が目立ちます。
2013年4月30日
小鬼の市<マクロイ>
戦時中のカリブ海の国での話です。新聞記者の死と、その後についた主人公とその周辺の人物が、謎とサスペンスが描かれるが、実は別の要素もあります。 販売戦略でしょうが、梗概はネタばれ気味で微妙でしょう。マクロイはもっと翻訳希望です。
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2013/04に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。