推理小説読書日記(2013/02)
2013年2月05日
そして誰かいなくなった<夏樹静子>
題名から予想されるクリスティのパロディ、又はオマージュの味はあります。ただし、単純に題名から想像できる作品だけでなく、他の作品の要素も含み結果的に 油断のならない作品になっています。場所は大型クルーザーの中で、嵐に海での事件発生です。
2013年2月05日
強欲な羊<美輪和音>
脚本家でもある作者のミステリ・デビュー作品集です。題名に「羊」がつく作品群だが繋がりはなく、独立した短編というか雰囲気や内容は、似ていると思えば似ている、 個々に違うジャンルかもしれないと思うとそのように見えるという得たいのしれない不思議な作品群です。
2013年2月05日
果断・隠蔽捜査2<今野敏>
隠蔽捜査の主人公が、所轄の署長になり本庁の圧力と所轄の妙な雰囲気の中で、自身の主義と考えを推し進め、事件解決の先頭に立ちます。そして、前作同様に家庭内の 事にも悩みながら進みます。警察小説の魅力と、本格ミステリの魅力を併せ持つ力作です。
2013年2月11日
光の肌<佐野洋>
「A」の捜査側と「B」の女性の側から、交互に描いて行きます。同じ事件を、異なる視点で展開させて行きます。視点と言っても1人称ではないので、最近はやりの 「藪の中」とは事なります、3人称の視点が変わります。従って、誰も信用出来ないという内容ではなく、あくまでも異なる視点でひとつを見る事の食い違いの面白みを 求めています。
2013年2月11日
修道女フィデルマの探求<トレメイン>
本国の発表順とは異なる翻訳順で始まったこのシリーズも、本国順になりました。同時に本国での短編集(相当に分厚い)を3冊に分けた短編集の3冊目です。 つまり、第1短編集が完結になります。短編も長編と同じ本格ですが、より手ごろな易しさという所でしょう。続編も予定あり。
2013年2月11日
死体置場は空の下<結城昌治>
語り手・佐久と、久里との私立探偵コンビのシリーズです。登場する警察官がなんと、郷原部長です。久里の性格がかなり奇妙で、ストーリーとしては振り回される 感が強いが、佐久と郷原部長が絡む事で安定した作品となる感があります。ユーモア本格です。
2013年2月17日
たまご猫<皆川博子>
幻想とホラーは区別が難しいです。不思議な事や不可解な事を描いた短編集ですが、それを幻想と捕らえるか、恐怖ととらえるかは個人で異なると思います。 そもそも、どちらかを作者が表に出すと、逆効果であきると言うか、不可解が予測内になってしまいます。そして、普通の事に見えてしまいます。
2013年2月17日
犯罪ホロスコープ2<法月綸太郎>
星座をテーマにした連作の後編です。別の言い方ならば、月別の作品集とも言えます。四季や月の変わりを取り入れる事は、多く見られます。従って、神話との 関連を持たせた事の方を特徴とするべきでしょう。名探偵がいて成り立つ作品も有るように思えます。
2013年2月17日
宝石S29.08<>
古い雑誌は気が向けば購入しますが、読まずにいる事も多いです。単行本未収録作品は雑誌しか読めません。その様な不幸な作品との巡り会いが楽しいです。 香山滋・島田一男・足柄左右太(川辺豊三)・明内桂子(四季桂子)・楠田匡介・坪田宏等が掲載された号です。
2013年2月23日
出世花<高田郁>
少女・お艶がひとりになり、寺社奉行配下でない寺にお縁と漢字を変えて引き取られ、16才で出家しようとして半出家の三昧聖となる。そこでの仕事は、死者の体 を洗い浄める「湯灌」であった。そこで出会う色々な出会いから現在の検視的な能力も生まれ捕物帳の色合いもあります。どんな酷い死者もきれいに死化粧させるため 次第に知られるが、火屋での火葬はいまだに怖いという成長記でもあります。
2013年2月23日
宝石S29.09<>
乱歩・木々・大下・今井達夫・日影・潮寛二・梶・大河内・他翻訳+長編分載です。既読が3作という未読の多い号です。戦前作家がまだ多く登場しています。 戦後直ぐに生まれた多くの新人は少数だけが、書いています。
2013年2月23日
幻女殺人事件<岡村雄輔>
宝石S29.08-09に2回掲載の長編です。レギュラーに熊座刑事がいますが、作品事に役割が変わり、他に名探偵が登場する作品も多く、本作もそれに当たるでしょう。 幻の女というとウールリッチを思い出しますが、これは雪女・正確には雪女郎の話でいくつかのトリックの組み合わせで構成されています。本格探偵小説です。
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2013/02に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。