推理小説読書日記(2012/05)
2012年5月05日
GOSICK8(上)<桜庭一樹>
このシリーズは基本は本格ミステリですが、最終?巻の8巻はサスペンスといえます。第1巻の伏線の収束ですが、逆に新たな謎は生まれず解決もありません。 シリーズ全体の収束に向けて、まっしぐらとは行かなくむしろ紆余曲折しながら進みます。いよいよ戦争に突入して、ヒロインと主人公が別れ別れになります。そして それぞれが過酷な状況になって行きます。そこには接点がなさそうですが。
2012年5月05日
GOSICK8(下)<桜庭一樹>
全シリーズを通しての、ワトソン役の主人公とホームズ役のヒロインの出会いと探偵団が描かれます。境遇の差が別れる運命にある事は判りますが、度々一緒にいたい 気持が登場します。しかし戦争で、ヨーロッパと日本に別れて、それぞれが戦争に巻き込まれて行きます。はたして、再会はあるのでしょうか。
2012年5月05日
悪魔の降誕祭<横溝正史>
中編「悪魔の降誕祭」「霧の山荘」・短編「女怪」の3作が収録です。全て、金田一耕助が登場し、中編は等々力警部も登場します。中編作はそれぞれ、予告殺人・ 死体消失を扱っています。昭和30年代の作品ですが、トリックに依然拘っています。
2012年5月11日
葬式紳士<結城昌治>
作者の初期・昭和30年代初期の短編集です。10作ですから、平均して短い作品が主体です。作品の傾向は色々で、プロットと終わりにアイデアがあり 短編の名手としての一面も判る内容です。併行して長編も書き始めていますが、そちらは次第に傾向が移り変わりますが、短編では既に色々な傾向の作品を書き 分けていた事が判ります。
2012年5月11日
久遠(上)<堂場瞬一>
外伝が出始めた、鳴沢了シリーズの10冊目で区切りの最終刊との言えます。それまでの、9冊に登場した相棒や知人や、微妙な関係の人物が多く登場します。 恋人の息子がアメリカから日本へ仕事で来ていてもなかなかあえない状態で、露骨に鳴沢にかけられた罠と容疑、そして謹慎です。そこは、無視で自らの容疑を はらすために一人で動き出すが、何故大がかりな殺人や容疑がかけられるかが判らない。
2012年5月11日
久遠(下)<堂場瞬一>
独自に捜査する鳴沢だが、接触する相手が殺されたりさらわれたりで、益々動きづらくなる。しかし、事件の背後に怪しい大きな組織がありそうで、逆に 警察の他の部署や検察の色々な部署から、接触がある。それまでの事件で仲間だった人物が集まってきて助けられて、事件はどんどんと大きくなりそうだった。
2012年5月17日
翼をください<田南透>
閉ざされた孤島風に始まる話が、実ははやりのミステリの色々な要素を詰め込んだ変化球だった。面白いと言う人もいりかもしれないが、結果的に本格ミステリ からはずれたきわものになってしっまった感が強い。論理性が薄くなり、どんでん返しに生命線をすえる作品に見えてしまう。たぶん、読者の好みが大きく 別れるだろう。
2012年5月17日
フィール・マン<ジョアナ・ラス>
SFにも色々あるが、テーマと書き方で読者が迷うものもあるとすれば、本作でしょう。女性作家が書いた、女性論とも言えるでしょう。勿論、未来的な視点ですが 、結果的に男性と女性の違いに注目が行く結果になりがちです。現実なのか非現実なのか、判断出来るか不明です。
2012年5月17日
ポポイ<倉橋由美子>
SF設定でのホラーか幻想か?、ひょっとすると脳科学の先端理学SFか?。生き続ける生首と生活する女性の話です。しかし、内容とはやや違和感のあるリアル で醒めた文章でたんたんと進む、ストーリー展開は、確かに読者にどの世界の話なのか判らなくさせてしまいます。もう作者につれて行って貰うしかなさそうです。
2012年5月23日
歪笑小説<東野圭吾>
出版業界のパロディ風に描いた連作集です。伝説の編集者、伝説の大作家、新人賞受賞の特殊分野作家、ハチャメチャアクション作家、新人賞を狙う色々な作家 が登場します。それらを相手にする、編集者達の悩みは多く仕事も過酷だが、作家も同様に思惑があります。
2012年5月23日
「横山大観」殺人事件<内田康夫>
秋田の山奥で見た絵が有名作家の作品と紹介されて驚く新鋭作家だが、それに関係するのか殺人事件が起きて、岡部警部が登場します。 美術贋作疑惑事件だが、洋画と日本画の双方を描ける贋作家が存在するのだろうか。
2012年5月23日
この謎がとけるか(1)<鮎川哲也>
「私だけだ知っている」は生放送で制作側にも録画はないが、当時でも録画していた人がいたようです。それから起こした脚本と事件解決に必要な場面を含む イラストとで構成された、謎解き脚本集です。夏樹静子の当時の裏話もあります。
2012年5月29日
愛と髑髏と<皆川博子>
ジャンルが広い作者の、短編集です。連作でないから、内容豊富で簡単に紹介できないです。短編の1作事にたぶん違うジャンルに思えますし、長い 作品なみの深い内容が感じます。そうなかなか、内容を掴ませてくれない作品ばかりです。
2012年5月29日
修道院の第二の殺人<ナイト>
日本に紹介されていない作家で初長編らしい。そして、登場人物を含めて掴みどころがなかなか無いです。謎解きとも言えるが寄り道が多いし、そもそも 探偵役が頼りなさげです。それが、作風や狙いなのか、まだ安定していないのか・・・。自作以降を見ないと判らないです。
2012年5月29日
影の殺意<結城昌治>
初期短編集の1冊ですが、普通の長さの短編です。一時、短い作品が多い時期もあったが普通に戻った・・、しかし内容は以前として多彩です。いよいよ スパイ小説も登場です。昭和30年代後半はハードボイルド・冒険・スパイ小説がまともに登場した時なのです。
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2012/05に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。