推理小説読書日記(2003/09)
2003年9月3日
第三の時効<横山秀夫>
新しい警察小説の開拓者の短篇集です。 この分野に限っては完成されたと言ってよいでしょう。事件と警察内組織を併せて描く手法は見事です。
2003年9月5日
浅草殺人ラプソデイ<梶龍雄>
南チエカ シリーズの長編です。まずは本格推理小説、一風変わった登場人物。そして背景。 ともすれば、劇画モードになりそうですが、やはり本格です。
2003年9月6日
鶯を呼ぶ少年<日下圭介>
日本推理作家協会賞受賞作。何故いまごろ読むのかは、ただ読む機会がなかったからです。 作者は特に初期は動物・植物の性質をトリックに使用した作品が多くあります。伏線がはりやすく、レベルの高い作品が多いです。
2003年9月11日
神がみの戦場<日下圭介>
第二次大戦ころを舞台にした作品です。あまり古くない時代を舞台にする事も、後期の作者にはしばしば見られます。 戦争と言っても、経済戦争と呼ぶ内容です、具体的には・・・・・・。 中国と日本を舞台に、歴史の大きなながれと、個人個人のそのなかでの対応が描かれます。
2003年9月13日
比翼<泡坂妻夫>
新作を読む楽しみと、いつまで読めるかの心配が同居します。 色々なタイプの作品を、自分の中に取り込んできた作者のそれぞれのジャンルの近作を集めた短篇集です。 小さな謎を短く書いています。私の好きなタイプの作品です。
2003年9月16日
スイス時計の謎<有栖川有栖>
助教授火村と作家有栖シリーズ、その中でも多く書かれている国名シリーズです。 短篇集では、国名が付く作品が含まれる事になります。本集では、表題作が中編で内容的にクイーンの国名シリーズを 意識した内容になっており、かなりレベルの高い作品集といえます。
2003年9月20日
閉ざされた旅<南部樹未子>
昭和30年代に推理小説は大きく変化をとげました。 すなわち、色々なスタイルを試みる作者たちの登場です。この作者もその一人で、全く本格推理小説とは別方向で 男と女(特に女性)の心理を深く掘り下げることに特徴があります。あえて言えば、倒叙・犯罪小説に近いと言えます。 年齢の離れた男女の相手への思いの食い違いが、テーマとなっています。
2003年9月22日
ヴェロニカの鍵<飛鳥部勝則>
画家であり、本格推理小説作家です。 どの作品にも、絵が添付されている特徴があります。一般に最近の作品では、イメージを大事にしたものが多くあります。 その意味から、美術方面の仕事をしている人が書いた推理小説は独特の雰囲気があります。しかしイメージは言葉に出来 難いです。 推理小説的には、密室を取り扱う手法に工夫があります。大分類を行うと前例はありますが、なかなかのものと思います。
2003年9月26日
鎌倉XYZの悲劇<梶龍雄>
犯人当て本格推理小説とカバーに書いてあります。 確かに意外な犯人の設定になっています。複数の過去に類例のあるトリックを、オーバーホールして組み替えると 全く新しいトリックとなったと言って良いと思います。 怪しげな設定と見立てで、筋が読めた人はかなりの推理力と思います。ただ、頼りにならないような探偵が登場した時の 不自然さをどの程度に感じるかがポイントと思います。
2003年9月28日
深夜の法廷<土屋隆夫>
「深夜の法廷」「半分になった男」の2作を収録。 どちらも通常の本格推理小説としてでも書ける内容と思います。ただ作者は、倒叙や変則会話方式を選択しました。 意図を理解するのは難しいですが、書きたい事が有効に書ける方法を選んだものと勝手に推察します。 表現方法は異なっても、楷書の推理小説であることは分かります。
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第三の時効<横山秀夫>
新しい警察小説の開拓者の短篇集です。 この分野に限っては完成されたと言ってよいでしょう。事件と警察内組織を併せて描く手法は見事です。
2003年9月5日
浅草殺人ラプソデイ<梶龍雄>
南チエカ シリーズの長編です。まずは本格推理小説、一風変わった登場人物。そして背景。 ともすれば、劇画モードになりそうですが、やはり本格です。
2003年9月6日
鶯を呼ぶ少年<日下圭介>
日本推理作家協会賞受賞作。何故いまごろ読むのかは、ただ読む機会がなかったからです。 作者は特に初期は動物・植物の性質をトリックに使用した作品が多くあります。伏線がはりやすく、レベルの高い作品が多いです。
2003年9月11日
神がみの戦場<日下圭介>
第二次大戦ころを舞台にした作品です。あまり古くない時代を舞台にする事も、後期の作者にはしばしば見られます。 戦争と言っても、経済戦争と呼ぶ内容です、具体的には・・・・・・。 中国と日本を舞台に、歴史の大きなながれと、個人個人のそのなかでの対応が描かれます。
2003年9月13日
比翼<泡坂妻夫>
新作を読む楽しみと、いつまで読めるかの心配が同居します。 色々なタイプの作品を、自分の中に取り込んできた作者のそれぞれのジャンルの近作を集めた短篇集です。 小さな謎を短く書いています。私の好きなタイプの作品です。
2003年9月16日
スイス時計の謎<有栖川有栖>
助教授火村と作家有栖シリーズ、その中でも多く書かれている国名シリーズです。 短篇集では、国名が付く作品が含まれる事になります。本集では、表題作が中編で内容的にクイーンの国名シリーズを 意識した内容になっており、かなりレベルの高い作品集といえます。
2003年9月20日
閉ざされた旅<南部樹未子>
昭和30年代に推理小説は大きく変化をとげました。 すなわち、色々なスタイルを試みる作者たちの登場です。この作者もその一人で、全く本格推理小説とは別方向で 男と女(特に女性)の心理を深く掘り下げることに特徴があります。あえて言えば、倒叙・犯罪小説に近いと言えます。 年齢の離れた男女の相手への思いの食い違いが、テーマとなっています。
2003年9月22日
ヴェロニカの鍵<飛鳥部勝則>
画家であり、本格推理小説作家です。 どの作品にも、絵が添付されている特徴があります。一般に最近の作品では、イメージを大事にしたものが多くあります。 その意味から、美術方面の仕事をしている人が書いた推理小説は独特の雰囲気があります。しかしイメージは言葉に出来 難いです。 推理小説的には、密室を取り扱う手法に工夫があります。大分類を行うと前例はありますが、なかなかのものと思います。
2003年9月26日
鎌倉XYZの悲劇<梶龍雄>
犯人当て本格推理小説とカバーに書いてあります。 確かに意外な犯人の設定になっています。複数の過去に類例のあるトリックを、オーバーホールして組み替えると 全く新しいトリックとなったと言って良いと思います。 怪しげな設定と見立てで、筋が読めた人はかなりの推理力と思います。ただ、頼りにならないような探偵が登場した時の 不自然さをどの程度に感じるかがポイントと思います。
2003年9月28日
深夜の法廷<土屋隆夫>
「深夜の法廷」「半分になった男」の2作を収録。 どちらも通常の本格推理小説としてでも書ける内容と思います。ただ作者は、倒叙や変則会話方式を選択しました。 意図を理解するのは難しいですが、書きたい事が有効に書ける方法を選んだものと勝手に推察します。 表現方法は異なっても、楷書の推理小説であることは分かります。
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年月別に読んだ本の感想を随時書いてゆきます。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。
本格推理小説が中心ですが、広いジャンルを対象とします。
当然、ネタばれは無しです。